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第13話 バーベキュー夜の部①

「つっかれたぁぁーーー!」

『お疲れ様ー。』


家に戻った時には夕暮れで、とにかく無事に終わったから安心したのと疲労感でクタクタだった。

リカは一緒にパロット家へ。


ミリューイとライールは自分の家に帰った。カノンだけ後から参加する予定らしい。

アーロンも来たかったみたいやけど、子供だけを家に残しておくのも心配やから今回は遠慮したみたい。


ツインズは、私の部屋でまだ寝てる。

リカにはツインズの部屋を使ってもらって休むように伝えた。


私はマリー達の寝室で一休み。


「あら、メイもぐっすり眠ってるのね。」

『“メイも頑張ってたからね!僕もルーとリマの面倒みたよ!”』


ネイマが筆記で、マリーに伝えた。

「ネイマもお疲れ様。おやつ食べる?用意するわよー。」


『“ありがとう!でもメイが起きるまでここにいるから今はいいよ。”』

「わかったわー。私は夜の準備をさせてもらうわねー。」


マリーが台所に戻っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーー



「今日はこの辺にして、そろそろ向かうか!」

ジルは、溜まっていた報告書などの書類整理を終わらせ、借りたままの馬車でパロット家に行くつもりだった。


「リヴィにも声かけていくか。」


酒や食べ物を荷台に積んで、オリヴィアの元へ。


「おーい!リヴィ!!いるかー?」


返事がない。まだ見回りから帰ってないのかもしれない。

一旦戻って、もう少ししたら迎えにこ来よう。


「あの!!あと少しで用意できるので!ジルさんは家で待ってて下さい!」


扉越しに大きな声が聴こえた。

「わかったー!待ってるぞ。」


ジルの足音が遠くなり、オリヴィアは扉の前に座り込んだ。


“・・・もぉぉ間が悪いのよー!お風呂入って裸のときにくるからぁ!”


急いで着替える時間もなかったので、濡れたままタオル一枚で走ってきたのだった。

床は水浸し。


でも今日は綺麗な格好で行こうと、心に決めてたから。

久しぶりに化粧もして、服も着替えて・・・。


一緒にお酒を飲んだりするのはいつぶりだろう。

近くに居てもなかなか機会がないから、嬉しくて楽しみで仕方なかった。


「あ!早く用意しなきゃ。けっこうジルさん短気だしね。」


バタバタと濡れた床を走り、部屋に戻った。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


「ただいまー!」

「お帰りなさい、あなた。」


ガイルもいつもより少し早めに帰宅した。

「あれ?メイは?」


「今日は頑張ってたからねー。まだ寝てるわよ。寝室使ってるから静かに入ってね?」

「ネイマも一緒か?」


「ええ。ルーとリマもまだ寝てるし。あ、リカちゃんがチビちゃんの部屋で寝てるから入らないでね。」

「わかったよ。ジルに殺されるからな!」


ハハハッと大きな声で笑ったので、すかさずマリーに“静かに!”と怒られた。


寝室では、メイがよく眠っている。

久しぶりにじっくりと顔を見た。


「随分大きくなったなぁ。」

優しく頭を撫でる。


『“パパお帰り!”』ノートに文字が見えた。

「ただいま、ネイマ。」


ネイマの姿は見えないが、その存在を微かに感じることがある。


「ネイマ、メイを頼むな。コイツは凄い奴だが、まだ子供だ。無理しないようにしっかり見ててやってくれ。」

『“わかってる!任せてよ。”』


「2人とも有名になったり、英雄にならなくていい。無事に必ず帰ってきてくれ。冒険者が嫌になったらいつでも戻ってこい。恥ずかしくないからな。絶対だぞ?」


『“うん。また絶対無事に戻ってくるから。約束するよ!”』

「ありがとう。・・・ネイマ、愛してる。メイも愛してる・・・。」


ボソッとガイルが言った。



『“それ、フラグ立つやつだから、やめてよ!笑”』照れ隠しにネイマもノートで返事した。


ガイルはつい無意識に言ってしまったので、急に恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にして黙って出て行ってしまった。


『“フラグにも反応しなかったなー。パパ照れ屋だなぁ。”』


でもネイマは嬉しかった。

普段は思っていても口にしないガイルが、ちゃんと伝えてくれた。


偶然でも、ここを旅立つ前に聞けたのは本当に嬉しかった。



「あなた?顔が赤いけど大丈夫なの?」


リビングに戻ってきたガイルの様子が少し変なので気になった。

「あ、いや別に大丈夫だ。水もらえるか?」


夜の宴会準備を一通り終わらせたので、マリーもお茶を入れて一息ついた。

「皆で集まって、食事ができるなんて久しぶりねー。」

「そうだな。チビ達がいるから忙しいし、最近はアーロンとも飲みに行ってないしなぁ。」


「今日は残念ね。皆で来ればいいのに。」

「メイだってあんなに疲れてるからなぁ。ミリュやましてやライはまだ小さいし。」


「さっき久しぶりにメイの顔じっくり見たよ。男の顔になってた。・・・大きくなったよなぁ。」

「そうねー。チビちゃん達が生まれてからなかなか構ってあげられなかったけど、いつの間にかお兄ちゃんになってたわ。」


「あなた寂しいんでしょ?もうすぐ2人がここを出ていくのが。」


「・・・そうだな。寂しいよなぁ。」


マリーは素直に話すガイルに驚いていた。


「子供はいつか旅立つのよ!あなたがそんな顔したら、メイもネイマも困ってしまうわよー。」

「はは。本当、俺も歳をとったってことだよな。」


「戻ってくるわよ。あの子達きっと。ここには帰る場所があるんだから。」

「無事に帰ってくることを祈るしかないよな・・・。」


「まだ先の話よー。心の準備をして、その日が来たら送り出してあげましょ。」

「マリーは強いなぁ。」


「強くなったのよ!メイのおかげでネイマにも会えた。ルーやリマを授かってからは4人の子供の母親だからね。何があってもしっかりしなきゃって思ったのよ。」

「そうだな。ルーやリマだって、兄ちゃんの事待ってるんだから。ネイマも一緒だし絶対帰ってくるよな?」


「そうよー。ネイマが付いてるから、私も送り出せるの。1人だったら大反対してたわ!」

「ハハハッ!!よーし!今日は飲んで騒ぐぞー!」

「ちょっと!まだ早いわよー。」


ガイルは立ち上がって、とっておきの果実酒を出してきた。

メイとネイマが大人になったら一緒に飲むつもりだったが、今日あけて、また旅立つときに新しいものを買おうと決心した。

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