第9話 楽しい企み
ネイマとお昼ご飯の準備をしていた。
多分昼すぎには到着するって言ってたし、一応ジルとリカの分、あとオリヴィアのも作っておかないとね。
『ピザ美味しそうだねー♪』
「焼くのは直前ね。とりあえず具材を色々のっけよう。」
この5年で少しずつではあるけど、日本に居たときの食べ物を再現してきた。
調理道具とかこの世界にないものもあるから、アーロンのツテやカノンやガイル、マリーに協力してもらい食材とかも研究している。
幸いマリーが料理上手なので、こちらで食事が合わなくて困ったことはなけど、慣れてくるとレパートリーを増やしたくなるねん。
「ジルさんけっこう食べるだろうし、ウーパのスープ煮も作っておこう。」
『ウーパ捕まえてくるよ。』
ネイマは生きてるものには基本、私以外には触れない。だけど、弓の矢とかナイフで突き刺して持って帰ってくることはできるし、死んだら捌いて血抜きとかもしてくれる。料理スキルもけっこう持っている風の聖霊です。
スープの出汁作りをしていると、トントン、と扉をノックする音。
「入るわよー。」
オリヴィア結構早かったな。
どっさりとクッキーやら、砂糖漬けの果物、ハーブを持ってきてくれた。
「リヴィさん、沢山ありがとうございます。」
「私も頂くんだから気にしないで。さぁ、何すればいい?」
「飲み物とテーブルの飾り付けとか準備お願いします。」
「了解!」
それからネイマがこっそり戻ってきたのでウーパを受け取り調理した。
釜戸に火を入れて、ネイマ用のピザを先に焼いて別室に用意した。
『美味しそうだから先に食べるねー!』
「うん。味の感想聞かせて。」
『オッケー!』
オリヴィアに気付かれないように静かに行動する。
「あ!馬の蹄の音が聴こえるわ。」
オリヴィアは動体視力や耳がすごくいい。国境警備兵には有利な能力だ。
馬車が停まった。
しばらくしてノックもせずにリカが勢いよく部屋に入ってきた。
「たっだいまー!!」
「「おかえりー!」」
「何?!すごくいい匂いがする。さっき食べたばかりなのに美味しそう~。」
「もう少し時間かかるから、部屋に荷物運んだら?」
「出来たら呼んでね!」
外に出て行き、今度はジルも一緒に入ってきた。
「「ジルさん、お帰りなさい。」」
オリヴィアが嬉しそうや。
「戻ったぞ。2人とも俺が居ない間ありがとうな!メイも頑張ったみたいだな。トロ爺からきいたよ。」
苦笑いしながら、料理の続きを急いで作った。
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食べ終わると、ジルとオリヴィアは話をしてくると出て行ってしまった。
リカはデザートを食べながら、学校での話を色々してくれた。
「ねぇ、リカはリヴィの事どう思ってる?」
余計なお節介やけどジルの老後の事もあるし、脈があるなら応援したいよなぁ。
「どうって?別にいい人だな、とは思うけど。」
「ジルさんの事慕ってるよね、あれ。けっこう長いことみたいだけど、娘としてはどうなの?」
「メイもそういう事気がつく年になったのね~。私はパパがいいなら賛成よ?」
「そうなの?娘は嫌がるもんかと思ったけど。」
「そりゃあ小さい時なら反対したかもだけど。私ももうすぐ成人だしね。パパが一人でここに住んでるのは気になるのよ。」
「兵士としては有能そうだけど、日常生活大変そうだもんね。本人はそう思ってなさそだけど。ここに来たとき、まず家の掃除したよ!」
「あははっメイがやってくれてたの?ありがとうー。いっつも帰ってくると掃除で終わっちゃうんだから。」
リカは反対してなさそうやし、あの楽しい企みを伝えた。
「それ楽しそうー!!いつやるの?」
「リカは明後日帰るよね?」
「そうなのよ。それに、マルコとルイーズにも遊んであげる約束したから実質明日しか時間がないわ・・・。」
ホームパーティーくらいのつもりやったけど、どうしたものか。
でも実はひとつ考えがあった。
ストラ海岸でバーベキュー♪
誰かの家に集まったらどうしてもその家の人達が負担になるし、持ち寄ってバーベキューやったら片付けも平等やん?
とりあえず、ジフ村と麓組は私とカノンの転移魔法で連れていくしかないよなぁ。
あ、ミリューイも帰ってきてるはずやから手伝ってもらおう。
ニヤニヤと考え事をしていたようで
「何?!何か思いついたなら言ってよー!」
とリカに揺さぶられて我にかえった。
とりあえずこの案を話すと
「すごくいいわよ!それできたら素敵な思い出になるわ!」
とノリノリでリカが手伝いを申し出てくれた。
“善は急げ”と言うし、役割を急いで割り振ろう。
家に帰ってガイル達にも許可とらないとあかんし、ジンクス家にも今日中に伝えないとね。
「忙しくなるぞー!」
「何でもするから言ってちょうだい♪」
早速2人で行動に移した。