第13章 男旅その5~和を以て貴しとなす~
読んで下さった皆様、本当にありがとうございました!来年もマイペースに続けていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしますm(__)m
『セイレーン』に戻ると、宴会のように盛り上がっていた。
他の客の中にも遠洋漁船から帰ってきた漁師とその家族がいたため、皆で無事を喜びあった。
ロゼ以外にも獣人族やドワーフ族、エルフ族もいた。人数は少ないけどね。
初エルフ族とドワーフ族は、船でのメンテナンス担当や技術職、警護担当の魔法使いとして等、漁師枠ではないようだったが、様々な人種の人達が一緒に船に乗っていることを知り驚いた。
何よりも皆、共通語である日本語を使っている。
私からしたら文字をみない限り、全部日本語で聞こえてるねんけど。
「父さんすげー!やっぱり共通語話せるだなっ。」
「私も将来勉強したい!」
子供達から、尊敬の眼差しを向けられやや照れているロゼ。
尻尾がしっかりブンブン動いているのが、またカワイイ。
「お前達ももっと話せるように勉強しないとなっ。」
ここで補足事項。ゴウとチイはジュールド共和国語と片言の共通語を話していたんです!
ガイルとアーロンは、共通語は話せるので会話が成り立ってたんです!
食事の後、アーロンはロゼと話していたので、私達は市場を見に宿を出た。
「明日でさよならだね。」とチイが一言。
「そうだね。なんか寂しいなー。」
「手紙のやり取りしようぜ!」ゴウが提案。
「うん!それで、もう少し大きくなったらジュールド共和国に僕行くよ。」
「絶対だよ?!」チイが尻尾を振って喜んでいる。
「約束だな!」とゴウも尻尾・・・ブンブン回ってますね!
おでこを合わせようとすると、“なんだそれ?”って聞くから、約束の証だと教えた。
「じゃあ、俺らの国の約束の証・・・。あ!ちょっと待ってろ。」
露店に走っていき、何かを探して購入。
はぁはぁはぁ、と息を切らして戻ってきた。
貝殻のブレスレット。あ、この前ミリューイの誕生日に買ったのと似てる。
「これ、持っててくれよ。俺達の国では何か身につける物を贈るんだ。」
「ありがとう!」
受け取り、手につける。“私もちよっと待ってて”、と露店へ。
身につけるものかぁ・・・。
・・・・・
二人とも成長期やしね。同じ物にしよ!
あ、ネイマの分も。
「はい、これ!」貝殻のブレスレットを二人に渡した。
「わーい♪」
「ありがとうな!」
『僕も後でつけるー。』とネイマ。
それから市場を見て回って、楽しい時間を過ごした。
セイレーンに戻ると、部屋でロゼは寝ていて、アーロンは出かけたと宿屋の主人『アリア』が教えてくれた。
「今日はめでたい日だからね。これ、サービス!」とお茶とお菓子を出してくれて、私達は食堂で時間を潰した。
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翌日、カナタ一家と別れ、私達も【ドン】に向かって出発。
アーロンが、ジフ山脈の宿泊用民間で泊まったときにガイルとの若い頃の話など色々聞かせてくれた。
この世界についても。
実は魔族もいるらしい。
アーロンも見たことはないが、この世界に存在していると。
昔話に魔王と人族の戦いや、それこそ勇者物語があるが、ここ500年くらいは魔族自体見かけることがほとんどなく、風の噂程度。
大きな戦争もなく、割りと種族間の均衡も保たれており、平和なのだとか。
自分も昔は冒険者になろうと思っていたが、魔法が使えないことや剣術も自衛程度はできるが、相手を殺すことができない性分だとわかり諦めたと教えてくれた。
「メイ。お前は聖霊魔法が使えるだろ?それにどんな種族にも偏見をもたない。それは凄いことだ。記憶がない事と関係してるかもしれないが・・・。」
じっと顔を見つめてきて
「まだ何になるかわからないが、もっと世界を知ることだ。機会があれば、俺の仕事についてきてもいいし、ガイルと一緒にドンの見回りに行ってもいい。カノンにも薬草や魔法をもっと教えてもらったらいい。いくらでも協力してやるからな。」
なんか、ほんまにありがたいな。
「アーロンおじさん、本当にありがとう!おじさんも僕にとっては、もう一人のお父さんだよ。旅も楽しかったし、ゴウとチイの事、最後までありがとうね。」
「そうか。嬉しいが、ガイルには言うなよ?アイツやきもち焼くからな!」
と私の頭をクシャクシャと撫でて笑っていた。
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翌日の昼過ぎくらいに、ジンクス家に到着。
マリーが駆け寄りギュッと抱きしめてくれた。
「母さん、ただいま!」
「お帰り。メイ君・・・。」
ネイマもギュッとしている。それを感じたのか
「ネイマお帰り。二人とも無事でよかった・・・。」
数日ぶりの再開を果たし、恒例のようにジンクス家に泊まることになった。
夜にはガイルも合流し、ゴウ達の事を伝えた。
その日も遅くまで大人達は飲んでいたが、私は疲れていたので食べて早々に部屋へ戻って眠りについた。