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第12章①サプライズ計画-後編-

首都【ノグ】に到着すると、大門があり順番に検問を受けていた。私達も並んで待っている。


さすがに国の中枢を担う街ともなるとすんなり入れないんやな。

【カタ】は賑やかな街やったけど、ほぼフリーパスやったし、人間ばっかりやった気がする。ここらで獣人とかドワーフにお目にかかりたいものだ。


「止まれ。今回は何でここに来たんだ?」偉そうに門番の兵士がアーロンに尋ねる。


「行商と娘に会いに来ました。友人も連れて。」


チラッと荷台の私達を見て、特に気にする様子もなく「入ってよし。」と、呆気ないものだった。


中に入ると石畳の道がいりくんでいて、道の両側には所狭しと家々が建ち並んでいた。


「うわー。」

「どうだ?すごいだろ。【ドン】は人が少ないから余計驚くだろ?」とガイルが“後で案内してやるからな”、と言った。


マリーはまた少し馬車に酔ったのか、カノンが介抱してくれていた。


【ノグ】にはアーロンが商談用に借りた家があるらしい。普段は、獣人族の『ノクターン』という子が住み込みで管理していると教えてくれた。


キターーー!!獣人族と初遭遇♪


馬車で移動中にもパラパラと人族ではない種族がみられていた。あと混血種であろう人達も。

奴隷とかではないようなので、ちょっと安心。


「着いたぞー。」


【ドン】よりは小さめの民家やけど、一軒家やし十分立派な造り。「ノーン!居るかー?」トントンッと何回かドアを叩くと中から大きい猫が二足歩行で出てきた。


「お帰りニャさいませ、だんニャさま。」

え?ここアキバの執事カフェ??


「紹介するよ。ここで仕事を手伝ってもらっているノクターン・ララ君だ。」

「お初にお目にかかりニャす。どうぞ以後、お見知りおきくださいニャせ。」


・・・ニャ訛りのせいで、イマイチ締まりがなくてそこが逆にもえる。しかもフサフサの長毛でベストがやや埋まってる感が堪らない。本人はあくまでも紳士風。


お互いの挨拶もそこそこにマリーはカノンとガイルに付き添われ、部屋で休むことになった。

心配やけど居ても邪魔になるから、ノグの街を見て回る事にした。

アーロンはノクターンと話をしているので、少し出かけて来ると伝えておいた。


「うわー凄い。」

『人が多いねー!』


ネイマと二人ブラブラと歩いた。とりあえず、中心部に向かって進んだ。

案内板みたいなのに魔法学院の場所が書いてあったので行ってみた。


「ここかぁ。」


でっかい建物が二つ道を挟んで並び建っていた。なんか、張り合ってるみたいにみえる。

門は向かい合い、それぞれに一人ずつ門番のような人がおり、横に守衛所と書かれた小さめの小屋があった。

ちょうど真ん中に立ってたら、「おっ坊主見学か?」「君、見学志望ですか?」と同時に声をかけられたのでキョドってしまった。


「あ?こっち見に来てんだよ!声かけんじゃねぇよ。」

「おやおや。たちの悪い輩に絡まれる前にこちらに来なさい、君。」


えー・・・言い出しにくい雰囲気やん。なんか勘違いしてるし。


「僕、まだ入学の年齢に達してないと思うから。それに見学じゃなくてノグの観光に来てるだけだよ!」

とわざと幼い感じを出してみた。


「そうか!でも剣術とか興味あるだろ?!見ていけよ。俺が口添えしてやる。」


『面白そうだよ!行ってみようよ~。』


「君、少し魔力はあるようだけど魔法は使えるのかな?魔法が使えるなら学院はいつでも大歓迎だよ。」


面倒に巻き込まれるのはゴメンやからなぁ。

「魔法使えないんだ。剣術は少しだけ父さんと練習してるよ!」


「よし!決まったな。こっち来いよ、坊主。」

そのまま剣士官学校に入って行った。


「ちょっと待ってろ。」

そう言って守衛所に戻った門番の人は、首からかける木彫りのIDカードみたいなのを貸してくれた。

“帰りにまた寄って返してくれたらいいからな”、と気前良く送り出してくれた。


「けっこう中は広いんやなー。」


今は授業中のようで生徒らしい子供はあまり見かけなかったが、校庭のような場所で30人くらいが剣術の授業を受けていた。

遠巻きに見ていると、先生らしき人が近づいてきた。

「もっと近くでみていいぞ?まだ小さいな。見学者だろ?」と気さくな感じだったのでお言葉に甘えさせてもらった。


剣がメインみたいやけど、離れた所では弓、斧とか槍を持っている子達もいた。

年齢的には私より少し上やけど、まだ全体的に幼い。

「ここは下級生クラスだ。坊主よりちよっと年上の子が多いな。まだ武器の扱いが上手くいかない子もいるがな。」と先生が言っていた。


男子が多いと思ってたけど、少ないなりに女子もいる。

2~3人やたらと剣術の上手い子がいた。

一人は女子だ。弓や槍のグループにも命中率や動きのいい子が数人がいた。


「あら、見学者?君、何歳なの?」

突然声がして振り向くと、さっきの剣術上手い女子だった。

黒髪の美少女で、A○Bとかに一人には居そうな容姿や。


「僕は9歳。観光に来てたら門番の人がせっかくだから見て行けって。」

「あぁ。ワンダさんね!魔法学院の人と張り合ってたんでしょ?」

「そう。両方に声かけられたから、困っちゃったよ。」


クスクス笑う彼女は、『リカ・バイヤー』といい、今年入学して寮生活をしている。首都に住んでいるか、通学圏内でない子は基本寮生活になると教えてくれた。


「僕は、メイ・パロット。【ドン】から観光に来たんだ。」

「え!私も【ドン】出身よ!」と驚いていた。


あ。ガイルの先輩って“バイヤー”じゃなかった?

「リカって、ドンで警備兵してるおじさんの子供?」

「そうよ。知ってるの?!」

と話が盛り上がっていると、“集合ー!!”と号令がかかった。


「いつまで居るの?私が街を案内してあげるよ!」

「いいの?明後日なら少し時間ある。」

「じゃあお昼くらいに門の前集合ね!」

と走り去っていった。


それから学校の中を見て回り、ワンダさんへ木彫りIDを返して、一度アーロン宅へ戻ることにした。


――――――――――


ちょうどお昼くらいなので、何が食べれるか楽しみにしていた。


『「ただいまー。」』

「おう!お帰り。」

ガイルとアーロン、ノクターンが食事を運んで並べていた。


「母さんとカノンさんは?」

「ちょっと診療所にな。医者に診てもらいに行ってる。」

「そんなに体調悪いの?」『“心配ー!”』ネイマも紙に書いて伝えてた。


「念のためにな。休んでからは落ち着いてたんだ。だからカノンが付き添ってくれてな。」

「さぁネイマも坊主も!ノグの料理食べて元気だせ!」

「さぁさぁ坊ちゃん方、こちらに座ってくださいですニャ。」


テーブルに並べられた普段食べられない料理が食欲をそそり、ちょっと元気になってきた。


「明日昼休みに、ミリュの面会に行くからなー。それまでにここに集合だぞ?」

「あ、明後日の昼は少し出かけてくるよ?」

「なんだ?用事か?」

 

さっきの出来事を話すと“やるなぁ!”と親父組がやたら冷やかしてきた。

“ジルさんに知られたら殺されるぞ?”とガイルから脅かされたが、アーロンは他人事(ひとごと)だと思っているのか大笑いしていた。


明日はミリュの誕生日祝いやし、マリーが元気になってくれたらいいなぁと思いながらご飯を食べていた。



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