第1章③現状
グタグダにならないように頑張ります!
「あの、さっきはありがとうございました。」
部屋を出てすぐにリビングのような場所にいた
クマ親父に声をかけてみる。
クマ親父が振り向くと同時に
「あら、まだ横になっていてもいいのよ~」
と別方向から、柔らかい女性の声がした。
「あー。コイツは女房のマリーだ。
俺は、ガイル。」
「さっきのスープだけで足りた?
もっと食べていいのよ~」
矢継ぎ早に話しだす。
「あー!マリーはちょっと待て。
コイツに話しさせてやれ。」
たしなめられて、マリーは ”はいはい“
という表情でどこかへ行ってしまった。
「すいません。」
申し訳なさそうにすると、ガイルが手招きで
ここに座れ、と椅子を指した。
暖かい暖炉の前に座ると、マリーがいい香りのお茶を持ってきてくれた。
優しい笑顔で、“どうぞ”と、また席から離れていく。
ガイルによると、真っ裸で岩場に倒れていた私を見つけてくれ、介抱してくれたらしい。
特に外傷はなかったが、寒さで体温が低下してかなり衰弱していたようだ。
本当に幸運だった。
この人に、ガイルに助けてもらえなければ私は死んでいたかも・・・
一通り話しを聞いて、私も自分について語る番になった。
まだ、全てを話す勇気はない。
ガイルはいい人だけど、現状を把握していない私が
自分でも到底信じがたいこれまでの経緯を話すには、
リスクが高すぎる。
「わ、あ。いや、僕はメイと言います。」
「気が付いたら、あの荒野?みたいな場所にい
て。記憶があいまいで・・・
なんで、あんな状態だったのか。
わ、分からないんです。」
少しうつ向き加減で、考えながら標準語で喋るもんだから、なんかどもってしまう。。
「そうか・・・」
ガイルは一言、それから少し考え込んでいた。
気まず~・・と思っていると、
「まぁまぁ♡」
マリーが、雰囲気を察したのか、天然なのか
この空気を浄化するがごとく、大量の食事を運んできた。
「しばらくは、ここにいてゆっくり考えたらいいわよぉ♪」
と言うと
「はぁ~~。。
そうだな。よし!
しばらくメイはここにいろ!!」
とガイルは迷ってはいるようだったが、
マリーに押しきられる形で
私・・改め僕の居候がなんとか決定しました。