第11章①同化
魔法の練習楽しいな♪byネイマ
タンダンの丘でネイマと二人、聖霊魔法の練習をしていた。
ミリューイが魔法学院に戻った日から一週間。風魔法を中心にほぼ毎日だ。
【浮遊】は、ネイマとだったらある程度の移動と高さは浮けるようになった。偵察向きかな。
【風壁】は、身体の周りを風が覆うような状態になる。ネイマが居れば、その範囲は拡がる感じ。
【強風】は台風のときの風に押される感じ。竜巻ほどの威力はないので、攻撃という程ではないけど目眩ましにはなるんちゃうかな。
一人やと持続時間は大体5~10分くらい。エナが抜けはじめる感覚も掴めてきた。
ネイマは私との契約が初めてやから【同化】に興味があるみたいやけど、とりあえず魔法の練習を優先させてもらっていた。
『メイ~!そろそろ同化やってみようよ!』
「あれするとしばらく離れられなくなるんでしょ?なら、家に帰ってからね。」
『えー。ここでやってみても大丈夫だよ?』
いやいや、アンタにはわからんやろうけどフラグたつ気配するから!
「安心してるときにこそ、何かあるのだよ。」
『じゃあ、剣術の練習しよっか!』
ネイマが実体化してくれたから、模擬試合できるのは本当にありがたい!
「うん!行くよー?」
『いいよー!』
―――――――――――――――
『「ただいまー!」』
「お帰りなさい。」
マリーは”もう少しかかるわよ~”と夕食まで時間があるので、一度部屋へ戻った。
『ねぇねぇ♪同化やってみようよ~。』
粘るなぁ。
「分かったよ。」と根負けして、お互いに向き合った。
『 風』
霊体に戻ったネイマ。”あ~♪動きやすいなぁ”とクルクル飛び回っている。
「ど、どうやるの?」
”そのままでいいよ~。じゃあ行っくよぉ~♪”
”同化”
え?!そこ日本語なんや?とツッコミいれてたら、ネイマが私の中に入った瞬間・・・
部屋中に風が吹き荒れるような感覚で、身体の中に轟轟と風が渦巻いている。
魔力・・・エナが全身に満ちていて、力を持て余すってこんな状態なんやと感じた。
頭の中でネイマの声がする。
”どう~?”
「うん・・・。凄いよ。魔力が溢れるってこういう事を言うんだね。」
”でもホントに【同化】できちゃうなんて。びっくりだよ!”
ここで魔法はマジでヤバイ。私でもわかる。
深呼吸して、神経を集中する。身体の中に渦巻く風をなんとか収めようとしてみる。
”うわー!メイってこんな世界に住んでいたんだね~”
「え?!」
”記憶が全部流れてくるよ?”
いやーー!!プライバシーの侵害やで!
「覗くのやめてくれる?なんとかなんないの~?!」
”うーん・・・難しいかも。メイもエナのコントロールができたら僕の記憶が流れてくると思うよ?”
「今日はここまでにしとこう!ネイマ、同化解除して。」
”はーい”
” 風”
エナが抜けていく感覚はあるけれど、ネイマの声はまだ頭の中で響いてる。耳からの認識ではない。
「まだ異世界の記憶流れてる?」
”今はないよ?でもメイの身体からは脱け出せないなー”
記憶の流出が止まったんならいいわぁ。
焦った・・・。
「ネイマ。今の記憶のことは僕以外には内緒だからね!誓って!」
”は~い”
ほんまにわかってるんかな・・・。
”お腹空いた~”
「じゃあご飯食べに行こうか。」
――――――――――――
その日、夕食が始まる前にネイマは身体から離れることができた。
20分くらいかかったかな?
同化してる時間にもよるのかもしれんから、まだまだ観察していかなあかんな。