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第7章③突然の訪問

台風一過のような性格のツンデレなあの子。

風の聖霊になったネイマと一緒に暮らすようになってから数日経ったある日。


ガイルは仕事、マリーは畑の手入れでそれぞれ忙しくしていた。


マリーの畑の手伝いをしてたんやけど、ネイマが遊ぼうってグルグル私の周りを飛び回るから落ち着かなくて、休憩と称して部屋に戻ったきた。


「ネイマ?マリー先生(お母さん)のお手伝いしてるんだから、もう少し大人しくしててよ。」


“だって~メイは毎日剣術や文字の勉強でちっとも遊ぶヒマないよ?わたしと一緒に遊ぼうーよ”


「じゃあ明日!明日時間つくるから。今日はマリー先生のお手伝いさせてよ?ね?」


“う~~ん・・・じゃあ約束ね!明日はぜったいね~”


そんなやりとりをしていると、外から「きゃっ!」と驚いたようなマリーの声が聴こえてきた。


「先生ー?!」と慌てて外に見に行くと、畑に尻もちをついているマリーとなぜかミリューイがいた。


「ごめんなさいー!マリーおばさんっ。」


「大丈夫よ~ちょっとびっくりしただけよ。」


ミリューイがマリーを起こそうとしている。


「マリー先生大丈夫?ミリュはなんでそこに・・・」


「もうー!メイが全然来ないから、私が遊びに来てあげたのよ!」


いや、まだそんなに日にち経ってないやん。


「突然ミリュちゃんが目の前に現れたから驚いたわ~。」


「転移魔法で来ました♪この前ここに来たから、位置は正確だったみたいです。」


いや、そういう事ではなくて・・・しかもドヤ顔。


「先生ケガはない?本当に大丈夫?」


「えぇ、何ともないわよ~ありがとう。少し休憩しましょうか。ミリュちゃんもいるし、お茶を淹れるわね。」


マリーは家に戻っていった。


「おばさんのお言葉に甘えてお邪魔しまーす。」


いやいや、“突然アポなしですみません”とかはないんやな・・・


マイペースな性格やな、と思いながら私も家に入った。



リビンクでミリューイが座っている横に、ネイマがいた。


“久しぶりだね~ミリュ♪”


ミリューイは全然気付いていないが、一方的に話かけていた。


“おっきくなったよね~。ミリュは昔から魔法が得意だったよね”


ネイマとミリュって会ったことあるんや。


「さぁ温かいお茶よ~。クッキーもどうぞ。」


「ありがとうございます!」


「先生のクッキーおいしいんだよね♪」


私も大好きなマリーの特製クルミ入りクッキー。

甘さとクルミの絶妙な苦味がたまらん。小腹がすいた時に食べるとまた更においしさが増していく~。


クッキーを食べる子供達の姿を見て、微笑むマリー。


いつの間にか、ネイマがマリーの傍へきて抱きしめていた。


“良かった。ママ・・・”とネイマが呟いていた。



ネイマとマリーをみてほっこりした気分でいると


「メイはやっぱり魔法使えないの?」とミリューイが聞いてきた。


「たぶんね。大体人間が魔法使えるのは珍しいって師匠が言ってたけど?」


「まぁね。でもせっかく友達ができたのに、また遊べなくなっちゃうとつまらないでしょ?魔法が使えれば、一緒に学院へ通えるじゃない♪」


「魔法は使えるようにはなりたいけど、学院には興味ないなぁ。師匠や先生にまだまだ教わることもあるし。」


「あら、魔法の勉強がしたいなら学院が一番いいわよ。国中から才能のある魔法使いが集まってるんだから。それに国立剣士官学校だって建物は違うけど、すぐ隣にあるし。」


へぇ。剣術を習うところもあるんやな。


「ところで、ミリュは謹慎中なんでしょ?学院だってもしかしたら退学かもしれないって聞いてたけど?」


「心配ないわよ!だって私ほどの天才魔法使いを国が手放すはずはないわ!」とふんぞり返っている。


こいつ・・・反省してないな。

カノンが魔力を過信するなって言ってたのに。


「ミリュちゃん。お母さんは、ここに来てること知ってるの?」


とマリーに聞かれるとあからさまにギクッとした表情になるもすぐに取り繕い、

「おばさん大丈夫!メイとあと少し話しをしたら帰るからっ。」


カノンには黙って来たらしい。


マリーは困った顔をしているが、ミリューイがお昼前には必ず帰る約束をしたので、畑仕事に戻っていった。


「おばさんは心配症ね。」


「当たり前だよ。謹慎中なのに魔法使って、カノンさんにまで内緒で来ちゃうなんて。バレたらかなり怒られるね!」


「な、何よぉ。大体メイがなかなか来ないからじゃない!」


「え?だってまだ3日くらいとかだよ?それに僕だけじゃまだミリュの家まで一人で行かせてもらえないよ。」


「情けないわねぇ。男の子なんだから、うちにくらい一人でおつかいに来れるでしょうに。」


まぁね。行けないわけではないけど、ガイルとマリーはちょっと過保護やから。

距離はあるけど舗装された道やし、一泊二日とかでなら明るい時に帰れるから、あんまり危険はないと思うけど。


「じゃあミリュがいつ学院に戻るか決まったら、その前に今度は僕が遊びに行くよ。それと、帰りが遅くなると師匠や先生が心配するから、一晩泊めてもらえるようにアーロンおじさんやカノンさんにお願いしてみてよ。」


この提案を聞いた瞬間、ミリューイとネイマの目がキラキラし始めた。


「それいいわね!!メイ、なかなかやるわねっ。」


“楽しそう~~。私も絶対ついていくからね~”と同時にミリューイとネイマがしゃべった。


「じゃ、そういう事で!ミリュはそろそろ帰ったら?あ、連絡は早めによろしくね。」


「分かったわ♪転移魔法で迎えに行くわね。」


こうして、約束の証におでことおでこをくっつけた。もちろん、ネイマも一緒に。

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