第7章①ステータスオープン
ステータスの数値がよくわからない・・・
恵比寿天さまの夢から覚めて、ガイルとマリーには”大丈夫。なんか夢みてたような気がするけど忘れた”と伝えて、とりあえず納得して二人は部屋から出て行ってくれた。
”自分の身体とかみたけど、何も変化はないよなぁ”
とか思いながらも期待半分、否定の気持ち半分でぼそっと言ってみた。
「ステータスオープン。」
すると目の前に本みたいなのが視えた!
「やったー!」
思った以上に声が大きかったので慌てて口を手で押さえて、”落ち着け~落ち着け~”と深呼吸をした。
そーっと手を伸ばすと紙のような、でも間に空気が入ってるみたいな不思議な感覚で、ペラペラとページをめくることができた。
最初1ページ目。
メイ 9歳 男性 人族(異世界人)Lv.8
生命力 500 体力 300 魔力 100 知力 1000 俊敏性 200 器用さ 200
幸運 1000
加護:恵比寿天、弁財天、布袋尊
ユニークスキル:笑顔Lv.1 交渉Lv.1 通訳Lv.1
称号:霊体との媒体者
これ・・・
”霊体との媒体者ってーーー!!!”と口を押えながら顔が青ざめた。
そうなんです。私、死んだ方が視えるんです・・・。
看護師のときも大変やった。夜勤のラウンド(巡視)でウロウロしてるおばあさんに声を掛けたら部屋に戻って行ったから安心して、ナースステーションに戻ったんやけど。
ふと気になって部屋番号確認したら、誰も居ない部屋だったとかね。
あと、泣き声がしてどこかの部屋で亡くなった方のご遺族かな、と思ったらすぐ横で子供が私の服の裾を掴んでいたり・・・(もちろん身体は透けてる)
何ができるわけでもないし、視えたり、聴こえたりするのもいつもではない。
私からの接触はできなかったし、本当にただただ迷惑な体質だった。
”こっちに来て全くないから忘れてたわ・・・”
それにユニークスキルで、【笑顔】ってなんやねん。
次のページをみると、ご丁寧に加護やユニークスキルなどについて説明が書いてあった。
”トリセツか!”
《ユニークスキル》
・【笑顔】保有者が笑顔になる事によって周りが幸せになり、一時的に保有者を含め周りの幸運値をあげることができる。
・【交渉】あらゆる場面での交渉事を保有者に有利に傾くように、相手のもつレベルや加護、ユニークスキル、称号の効力を一時的に下げたり、封印できる。
・【通訳】保有者が知らない言語を読み、書き、話せるようになる。
”チートきたぁ!”とガッツポーズ。読み書きは大事や!
でも基本的に戦闘に関しては、自分で力をつけていくしかないみたいやな~。
レベルもいきなり50超えとかちゃうし、知力と幸運値以外はふつうっぽいもん。
いやいや、感謝せなあかん。これでも十分やな!
ただ・・・
この《称号》がなぁ・・・説明がざっくりすぎる。
・霊体と交流し、その力を扱うことができる。また媒体として身体を貸すことも可能。
って、身体を乗っ取られるんちゃうん!?
さすがに日本ではそんなことなかったけど、この媒体って言葉が気になるわ。
3ページ目からは、ガイルやマリー、カノンやアーロン、ミリュなど出会った人たちの事が書いてあった。
ただしステータスはなくて、私が見て聞いた内容だけが記されている。
あと嬉しいことに、マップもあった。これも自分が行ったことのある場所だけやったけど、これでいいねん!
RPGが大好きな私にとっては、行ったことのある場所が記されていく、このコンプリートしてやるぜ!感がたまりません♪
他にもロダティーやバグドとか私がここで得たことは、それぞれ項目になってまとめられている。
やっと異世界人特典を頂けた私は、興奮してもう眠れそうにもなかった。
「ステータスクローズ。」
目の前の本が消えて、いつもの部屋の窓が見えた。
”恵比寿天さまー!ありがとうございます!!”とりあえず、窓の外の空に向かって手を合わせておいた。
そろそろ陽も昇り始めていた。