第6章③まさかの展開-後編-
神様って自由でいいですね!
自室に戻り、ベッドの中。
さっきまでの出来事を思い出していた。
あのあとしばらくしてマリーが「さ、いつまでも泣いてたらネイマにも笑われるわね~。」と
”今日はもう休みなさい。疲れたでしょうから”と食器を片づけ始めた。
ガイルは私の頭を撫でて、「今日は歩いたからな!ゆっくり休め。」
と自分の泣いた顔をみられないようにか、前を歩きだし手を引いて部屋まで連れて行ってくれた。
「おやすみ。」と優しい声で、リビングの方へ戻って行った。
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「はぁ~~~~~~・・・。」
今まで溜め込んでいたものを吐き出すように、私はため息をついた。
でも気持ちは幸せでいっぱいだった。
久しぶりに安堵した、というかこの世界に来てずっと気を張ってたから全身脱力したみたいや。
”まさか養子にしてくれるなんて”
ここで過ごさせてもらってるだけでもありがたかったのに、得体の知れない 子供を自分たちの子供に・・・
「いいんかなぁ・・・」
全部本当のことは言われへんくても、正体を隠したままってけっこうしんどい・・・
でも”中身は38歳の女性です!”とか余計怪しいよな。
――――――――――
”おーい、おーい”
・・・・・ん?
あれ?私いつの間にか眠ってた?
”聞こえてるんやろ?こっちを見てみぃ”
起き上がってみると、真っ白な空間にいた。
「おい。今更かい・・・・」
この段階でテンプレ展開?!
「もうええわ・・・」
ともう一回寝ようとしたら
“起きな損するでー!絶対後悔するでー!!”
と耳元で騒ぐので、仕方なく話を聞くことにした。
「えーと神さまですか?」
目の前にはお爺ちゃんが浮いてた。
“そやでー。儂は 恵比寿天やで”
めっちゃニコニコこっちをみている。
「七福神の?」
“そうやで。漁業の神さんで、特に商売繁昌の神さんでちょっと有名やねん”
自分で言って照れてる。
「失礼を承知の上で聞きますけど、なんで今更現れたんですか?」
“はい!発表しまーす。あんさんは合格でーす”
はい?って感じやけど、恵比寿天さまが言うにはこちらの世界を発展させるためにときどき他の世界から人々を交換するらしい。
できるだけ無念のうちに亡くなった人とかやる気のある人材を選んでるんやけど、たまに悪い魂を持つ者がおるから最近はテストして、神さまのお眼鏡にかなった者にだけ加護を与えて新しい世界をエンジョイ!してもらうそうだ。
「待って下さいよ!私死んでないですよね?」
そう。疲れ果ててはいたが、眠ってただけ。
“ごめんなぁ・・・あまりの深い眠りに死んでると思って魂をちょぉ~っと抜いてしもてん”
おい!!
可愛く言ってもアカンやろ!
「それ、問題になりませんか?」
“あんさんが許してくれたら別に問題ないで~”
軽っっ
“ほんでな、加護を特別に3つ付けたる!それでどや?特別やでぇ。普通は2つまでやから!内緒やで”
なんか腹立つけど、貰えるもんはもらっとこ!と思って他にも色々聞いてみた。
私の魂と交換に、この身体の持主の子の魂は地球に送られたらしい。
私は魂が抜けたことで死んだらしく、死因は原因不明の心臓発作と処理されたんやって。
てか、状況的に突然死やん!!かわいそうな感じや。独身で看護師やったら過労死とか孤独死やと思われてるんやろうなぁ・・・現代日本の問題としてニュースとかで流れてたら嫌やな。
「ほんなら加護について教えてもらえますか?」
恵比寿天さまは七福神なので、他の6人の神さまから承諾も得てるからそれぞれの持つ加護を与えてくれるらしい。
・【大黒天さま】財宝、福徳開運の神様。大地を掌握する神様(農業)でもある。
・【毘沙門天さま】武将の姿をしていて、右手に宝棒、左手に宝塔、足の下に邪鬼天の邪鬼を踏みつけている。七福神では、融通招福の神。
・【弁財天さま】音楽の神、言語の神。財宝を授けてくださる神でとあり、知恵財宝、愛嬌縁結びの徳があるといわれている。
・【福禄寿さま】長寿、幸福の徳を持つといわれている。招徳人望の神様。
・【寿老人さま】福禄寿さまと同じく星の化身らしい神さま。長寿延命、富貴長寿の神。
・【布袋尊さま】いつも笑顔を絶やさず人々に接している神さま。笑門来福、夫婦円満、子宝の神として信仰が厚い。
う~~ん・・・
“加護がついたら、それに対する運がごっつー上がる感じやなぁ”
「あのーステータスってみられないんですか?」
“あー。あれなぁこっちの世界ではまだないねんけど、やっぱり欲しいん?”
「もちろんですよ!憧れですやん!!」
“まぁ一部の人間とかエルフとか視えるやつはおるからなぁ。問題ないやろ。よっしゃ!サービスで付けたるわ~”
「ありがとうごさいまーす!」
私は、加護を【恵比寿天さま】、【弁財天さま】、【布袋尊さま】にした。
正直恵比寿天さまは、迷ったんやけど目の前におるのに選ばないのは、申し訳ない気がしたのもあるけど。
“あんさんの加護は一緒におる人にも多かれ少なかれ影響するよってにな~”
「いい影響なら問題ないです!」
“それと、儂を選んでくれたからおまけにあんさんの前の身体のときの能力が使えるようにしといたで~”
え!!まさか・・・
「いや、あれは困ります!!」
“こっちでは役に立つと思うで~。ほんならあんじょう気張りぃや~”
「ちょっ!まだ聞きたいことあるんですけど!?」
“また気紛れに夢の中に遊びにくるかもやで~”
おい!!待てー!
・・・・・
・・・
「大丈夫か?!」
「メイ君・・・」
・・・・・・
「待って!!」と急に飛び起きたから、ガイルが驚いて尻もちをついていた。
“あれ?”
周りを見るとガイルとマリーが心配そうにこちらを見ている。
「お前、うなされたけど大丈夫か?」
ガイルの言葉を聞いて夢を見ていたんだと気がついた。
「うん。」
はぁ~・・・
マリーがそっと水を持ってきてくれて一気に飲んだ。