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第6章②お互いのことを知ろう!

いつかガイルやカノンの若かりし日の話も書きたい、とか思ってます。

「師匠ー!」


外で休憩していたガイルとミリューイに駆け寄った。


「大丈夫だったのか?」


「もっちろん!完治したって言われたよー。」


ガイルも“ホッとした”と、立ちあがり

「カノンに礼を言ってくる。」と商店に戻って行った。


「ねぇ!少しここでお話しよ♪」とミリューイが持っていた水筒から飲み物を淹れてくれた。


「そうだね。」


ガイルと選手交替で、今度は私がミリューイのお相手をすることになった。


「じゃあ改めて。私はミリューイ・ジンクス。8歳よ!得意なのは魔法で、最近国立魔法学院に入ったの。」


「僕はメイ。実は記憶があいまいなんだ。自分が何歳だとかどこに住んでいたとかは覚えてない。4ヶ月くらい前にガイル師匠に助けてもらって・・・それ以来お世話になってる。」


「へぇー、記憶喪失ってやつなの?」


「わかんないけど、たぶんそうなんだと思う。」


「魔法は!?メイは魔法は使えないの?」


「・・・たぶん使えない。よく分からない。」


本当に残念ながら、魔法が使えないんよー!てか、使い方がわからんだけなんかな?聞いてみようか?


「ねぇミリュ。魔法ってどんな感じで使うの?」


“そうねぇ”とどう説明したらいいか考えている。


大体、ステータスボード的なやつがあれば苦労せえへんねんけどな。自分の適正とかわかるし。

あー!チート能力欲しいわ。せめて、ステータスボード見たーい。


「私、火系魔法が得意なんだけどね。簡単な魔法なら例えば右手の手のひらにそのイメージを頭で創造するの。」


一応やってみる。右手をみつめて・・・


「それから言霊、つまり言葉に魔力を帯びさせるのよ!」


は?それはよく分からんねんけど・・・


「その魔力を帯びさせるってどんな感じなの?」


「んーーー。思いを込めて“火よ出ろ!”って全身で伝える感じかな!その時の呪文は“ファイア”なんだけどね。」


火の玉・・・松明とか?ほんで・・・気持ちを込めて念じる。


火の玉(ファイア)!」


・・・・・

そっと目を開けるが、何も起こらない。


「うーん。メイは魔法適性ないのかもね!」


やっぱりか。ま、分かってましたけどね。


「ミリュの魔法凄かったね。バグド倒したやつ。」


「あれバグドだったの!?うちでは、あの時の話は禁止だから知らなかったのよ。」


「なんで追いかけられてたの?ちょっかいかけたの?」


「ち、違うわよ!転移魔法の先がファブールの森だっただけで、気がついたら後ろからスッゴイ勢いで勝手に追いかけてきたんだから!!」


「え!ミリュって転移魔法とか使えるの!?スゲー。」


ふふんっ♪と得意気にミリューイが笑った。


「あ、でもミリュの臭いでバグドが寄ってきちゃったのかもね。魔獣って人の臭いで出てくることがあるらしいよ。」


「そ、それはそうかもだけど。ちょっと家に帰るつもりが、やっぱりノグからだと距離が遠かったみたいね。イメージしてたのと着地点が合わなかったのよ。」


「ふーん・・・ねぇミリュ。学校って楽しいの?」


「え・・・まぁ。まぁまぁかしらね。」


急に黙り込んでしまった。


あれ・・・地雷やった?

そういえば、ミリュって飛び級で入学した特待生やったかな?


「ミリュ!僕と剣術の稽古しようよ。ガイル師匠から教えてもらったでしょ?」


「い、いいわよ!」


向かい合って剣を構える。「あ、魔法なしね!」


師匠から教えて貰った型とかをお互いに教え合いながら、けっこう楽しく過ごした。


――――――――――



ジンクス商店の中から、二人の様子をガイルとカノンが眺めていた。


「久しぶりに あの子(ミリューイ)の楽しそうな姿をみたわ。メイ君のおかげね。それに命の恩人・・・ガイル、本当にありがとうね。あと巻き込んでしまったこと、ごめんなさい・・・。」


「おい、やめろよー。お前らしくねぇな!こっちも助かったんだ。あの時、ミリュが魔法使えなけりゃあ、 あいつ(メイ)もどうなってたか・・・。」


お茶をひと口飲んで、「それに手当てしてもらって、マリーのためにルナの実まで持たせてくれた・・・俺だけだったらあそこまで気がつかなかったよ。こっちこそ、本当にありがとな。」


“じゃあこれでこの件は終わりって事でいいわね”と懐かしいお疲れさま!の合図、お互いの拳を突出して軽く当てた。


「あ~でもまだ問題が残ってたのよねぇ。」


「何だよ?」


「ミリュの学院の処罰よ~。もう、いっそ退学にしてもらって家で普通に暮らせたらいいんだけどね。」


あの子(ミリュ)が望んで行ったんだろ?とりあえず学院の判断が出るまでは様子見ればいいじゃないか?」


「そうだけど・・・おだてに弱くて意地っ張りだから、魔法を褒められて入学決めたみたいだけど、本当は寂しくて家が恋しいみたいなのよ。」


「そりゃまだ8歳だからなぁ。俺なら絶対行かせないね!」


「本当よね~。ガイルったら”ネイマは絶対嫁には行かせない”って言いふらしてたもんね。」と言ってカノンは”しまった!”と口元を抑えた。


その様子をみてガイルは「大丈夫さ。実はな、マリーとも最近久しぶりにネイマの話をしたんだ・・・」


「え!?マリーが?メイ君のこともあったからまた悪夢にうなされて大変だったんじゃ・・・」


「そうなんだけど・・・メイの奴がな。あいつが”ネイマってどんな子だったの?”って聞いてきた。」


それから、ネイマと過ごした楽しかった日々の事を想いだして、二人でちょっとずつ前に進んでいこう、と話し合ったことをカノンに報告した。


「そう。良かったわね。

あの子・・・メイ君のこと聞いた時に素性もわからないようだったし、ガイルや

マリーが子供を側に置くことに不安はあったけど。余計な心配だったみたいね。メイ君はネイマが連れて来てくれたのかもしれないわ・・・。」


少し沈黙して、ガイルは照れながら

「まぁもう息子みたいなもんだけどな!あいつ(メイ)がどこの誰で、前に何かあったんだとしても、メイがここに居たいって言ってくれる限りは全力で守る!いつか旅立つ時が来ても、俺たちが帰る家になるさ。」


「そう。安心したわ。メイ君もきっと不安だと思うから、その気持ちは伝えてあげた方がいいわよ。」とカノン。


「マリーとも話し合って、メイにもどうしたいのか聞いてみるつもりだ。」とガイルの表情は明るかった。


カノンは、この3年間ドンを必死で守ってくれたガイルに本当に感謝している。

辺境の地は人手が少なく、激務の上に危険が多い。なのに給料は、首都の下っ端兵士とそんなに変わらないのだ。

だから、ほとんど1~2年で辞めるか、転属希望で新しい兵士を送ってくる。

しかも新人~中堅に満たないレベルの兵士が来ることもあるので、ケガや死亡者が極端に多い時もあるのだった。


元魔団隊所属だったので、カノンも時々こっそりと国境警備は手伝ってはいたが、子育てもありなかなか表だって動けなかった。


ガイルが赴任してからはほとんどケガ人や死亡者は出ていない。この3年間はカノンの負担も少なく、薬草研究に集中できた。おかげで色々な研究も進み、回復キャンディが完成したのである。


”でもガイルの表情は厳しかったのよね~。昔のような明るさはなくって、仕事に忙殺されてるような感じだった”と思う。

今のガイルをみると、ようやく本来の姿を取り戻したようにみえた。


「私も久しぶりに、マリーをお茶に誘ってみようかしら♪」


「そうしてやってくれ。やっぱり、ミリュを見ると辛いんじゃなかと思って、なかなかここにも連れてきてやれなかったし・・・。マリーはこの3年間、一人で闘ってきたんだ・・・」


「そんな事ないわよ!ガイルが側に居てあげたじゃない。マリーだってそう思ってるはずよ。」


”そうかな”とまた少し照れたような顔をして「そろそろ帰らないとな!」と二人(メイとミリュ)を呼びに行った。


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