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第5章①はじめての戦い-前編-

話をまとめられるか心配です・・・

ガイル師匠とマリー先生から、剣術の実践訓練許可が出てから3日が経った。


そろそろかな、と短剣の手入れもしっかりしたし私の準備は万端だった。


今日は自主練の日やけど、最近ガイルが連休申請してたのをちゃっかり確認していた。

マリーが"この機会に少しまとめて休んだら?"と話していたのを聞いたからね。

ただいつからかは、まだ言ってなかった。


ガイルはかなり働いていると思う。

まぁ週に1回は休みがあるけど、家でじっとしていることは少ない。

私の剣術指導をしたり、買い物へ行ったり、たまに[緊急の用事]で出掛けることもある。


辺境地の警備兵みたいやし、色々あるんやろうな。

でも怪我をして帰ってきたことは、一度もない。

かなりの腕前の様子。実践で見学できたらいいなぁ。




結局、朝食の後お声がかかるのを期待していたが当てがハズレたため

自主練のためタンダンの丘へ行くことにした。


――――――――――――



いつもと変わらない真っ青な空。

思いっきり空気を吸い込むと自然のエネルギーが身体の中を満たしていくように感じる。


"素振りと走り込みしてから帰るかな"とストレッチをはじめてすぐに


「だ、誰かー!!

 助けてぇぇーー!!」

と女の声が聞こえた。


しかもこっちに大きい音と一緒に向かってきている。


緊急事態やな・・・


咄嗟に小枝を集めて持っていた火石で火をつける。

SOS信号だ。


ガイルに言われていた通り動く。

次に退路を確認。

遠目でこちらに向かってきている人の姿がみえてきた。


時間はない。

でもいつも来ている場所だったので、いくつかルートを決めた。


すぅーー、と息を吸い込み

「こっちだーー!!

 こっちに走ってこーい!」

と女に向かって叫んだ。


「お願い助けてー!」

と走り寄ってきたのはまだ少女だった。


「とにかくこっちへ!」


追いかけて来るものの姿を見る前に少女の手を取って全速力で走りだした。

少女は大分バテてきており、私が引きずるように手を引いている状態ただった。


このままだと追いつかれる――――


その時、ここからすぐの岩場に私がギリギリで入れるくらいの洞窟があるのを思い出した。

草木も生い茂っているので何とかやり過ごせれば・・・!



進路を岩場の洞窟に変え、必死に走った。

途中、チリンチリン―――

と鈴が何かに引っ掛かり落ちたようだか引き返す余裕はない。


"ハァハァハァ・・・"

私も苦しくなってきた。

少女はそれ以上に疲労困憊で、もう歩くのがやっとの状態だった。


"あった・・・"

目の前に小さな入口がみえ、まず少女を中に押し込み私も入っていった。


真っ暗で、天井が低い。

ここに入ってこられたら終わったな・・・

とか妙に冷静に考えながらフラフラの少女の背中を押して進む。


ドド--ン!!ドド--ン!!


・・・・なんか突進してる・・・・


イノシシ!?


この辺りは[バグ]っていう、食用にもされるイノシシみたいな動物がいる。

魔獣との違いは魔力があるかどうからしい。

攻撃系魔法を仕掛けてくる魔獣は少ないが、身体強化系や防御系魔法は割りと多いと教えてもらった。


"もっと奥に行かないと!"と思ったが、少女は座り込んで動かない。

小声で「おいっ動けるか。」

と問うが息が速く、話せる状態ではないようだ。


その間も突進して岩場全体が振動を帯びて揺れている。

なんせ天然の洞窟やし、強度がわからんからいつまでもつか・・・


私の身体で、この少女を担いで行くのは無謀やし、見捨てるわけにもいかんし。。


とりあえず少女にマリーが持たせてくれていたロダティーを飲ませる。

意識はあるし、ここでもう少し少女の回復を待つことにした。


しかし、相手が待ってはくれなかった。

かなり大きな音がして、岩場が崩れはじめた。

向こうは光が見えはじめてる。


ここもいつ崩れるかわからない・・・

考えろ。考えろ。


"できるできないじゃない。やるしかないんだから。"


看護師の時の座右の銘だ。


目の前で助けを待っている人がいる限り、私が直接何かできなくても人を呼びに行くとか

何か今できる最善策を必死に考えて素早く実行する―――――


こうやって恐怖や不安と向き合ってきた。


とにかく足掻いて時間稼ぎしよう。

小石を集めて、大きめのはバリケードにもならないだろうけど少しは足止めしてくれるかな。


緊張と興奮で、頭がぼーっとする。

だけどやることは、自然と身体が勝手に動いた。



ドカーーーン!!

一瞬砂埃で前がみえず、小石がバラバラと落ちてきて少女を庇った身体に鈍い痛みが走った。


「ブフフン!!」

大きな鼻息が聞こえそっと目を開けると


かなり大きなイノシシがいたのがみえた・・・


このピンチをどうするか。後編に続きます。

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