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2話 お嬢様の猛攻(アタック)

今年はお盆も何処にも行かないので、続き更新致します。依頼主のお嬢様エピソード、もう少し続きそうです。

ハラ王国内は警戒する程の危険はないから気楽なものだ。あえて注意するなら誘拐や強盗とか人に対してだけやし。


【オキ】の宿屋では護衛用に2部屋借りてくれた。ミトラス以外は満場一致でミトラスとクラーク、私とリカの部屋割りで決まった。


依頼金には宿代込みが多いから、今回はラッキーだ。自分達で現地に着いてから宿を探すか野宿の時もある。リカにはリラックスして欲しいから、部屋にロープを張って大きめの布で即席カーテンの仕切りを作った。


「そんなに気にしなくていいのに。」

「これでミトラスも安心してくれると思うよ。」


リカは不満そうだけど、あのままやと後でミトラスが部屋に来て居座りかねない勢いやった。私の安眠のためですから!


夕食を食べに1階の食堂へ行くと依頼主のお嬢様モモが待っていた。


「リーさんと・・・メイさん、でしたよね?あのミトラスさんは?」


「まだ部屋にいるのだと思います。お嬢様はお部屋で食事をされないのですか?」

「ええ、皆さんとご一緒したくて!もちろん、私の奢りですので遠慮せずに頼んで下さい。」


げっ!好きなものを好きなだけ食べたいのに~。そんなこと言われても遠慮するわ。


「お気持ちは嬉しいですが、申し訳ないので僕達は別で頂きます。」

「そ、そうね!お嬢様、私達の事はお気にせずにどうぞ。」


「待って!・・・本当の事を言うと、私・・・ミトラスさんの事をお慕いしているんです!」


言っちゃった!言っちゃったよ、この人。


「以前何度か士官学校時代の時にお見かけして、冒険者になったと噂を聞いてからは依頼で何度かお会いしたんですけど。・・・彼にはずっと思う人がいると知って・・・。」


「あの、そういうの僕達は何も知りません。」


「分かっています!ただ、機会を頂きたくて・・・もうこんな風に会うことも出来なくなるかもしれないから、最後に、私が頑張るお手伝いをして頂けませんか?!」


「そういう事に・・・巻き込まないで下さい。護衛に関してはお嬢様を必ずお守致します。でも、それ以外は依頼内容にありません。」


「・・・ごめんなさい。でも!あなた達は私を守る義務があると言いましたよね?!・・・なら、それは食事中も含まれますよね?!」

「・・・分かりました。ミトラスを呼んでくるので少々お待ちください。」


リカは背を向けて歩き出した。

「僕はお嬢さんを見てるよ。」


席につくと目を伏せてお嬢さんは話出した。


「すみません。私、調べたんです。あのリーさんは女性で、ミトラスさんの思い人・・・なんですよね?」

「僕からは言えません。」


「お父様にも無理を言って今回の旅をお願いしたんです。だから自分勝手なのはわかってますけど、この機会を逃したくないんです。」


ほんまに自分勝手やなぁ。ミトラスが来たらリカと違う席でご飯を食べよう。


「この旅の後にお見合いをする予定なんです。だから・・・少しだけ協力してもらえませんか?!」


「お嬢さん・・・事情は分かりましたけど、僕達は関係ないです。それにミトラスもこんな風にされたらいい気持ちはしないと思います。」


「じゃあどうすればよかったの?!」

「直接ミトラスに思いを伝えればいいじゃないですか。元々当たって砕けるつもりなら、この旅の間に自分で正面から、正々堂々と話したらどうですか。」


「・・・・・。」

「リーがミトラスを連れてくるので、後は自分で頑張って下さい。まだ機会はあるし、今日は少し話をして、トルスの森の宿屋で告白はどうですか?夜に二人で散歩とかして。」


「ええ?!二人で?!」

「だって思いを伝えたいんですよね?」


「それは、その・・・まだわからないけど。」

「どちらでもいいですけど、僕達を頼らないで下さい。そんなにミトラスを思うなら、自分の力で頑張るべきです!」


「メイ!連れてきた。」


「え?どうしたんだよ?」

「ミトラス、お嬢さんが今夜一緒に食事したいんだって。」


「は?なんだ。・・・別にいいですよ。な?クラーク。」


ちらっとクラークが私を見る。同意するように視線で合図する。


「お前がそういうならいいんじゃないか?」

「じゃあ、あそこ空いてるから行くか!」


5人掛けの席へと歩き出す。ミトラスとお嬢さんを見送り、私とクラーク、リカは反対方向の位置にある席へと座る。


ミトラスが慌ててこちらへと走り寄る姿を見て失笑するクラーク。


「おい?!お前らなんで来ないんだよ?!」

「お嬢様はあなたをご指名なの。」

「こめん。この旅はお嬢さんがミトラスと仲良くなりたくて依頼したみたいなんだ。今日と明日だけ付き合ってあげてくれない?」


「ミトラス、いやリーダー。この依頼を成功させるために犠牲に・・ククッ、よろしく頼むよ。」

「酷いぞ?!お前らぁ・・・。」


「・・・ジュールドに着いたら、あんたが言ってた剣の訓練に付き合ってあげる。」

「え?!ま、マジで?リカ・・・いやリー!本当か?!約束だぞ?!」


「僕はご飯奢るよ!」

「俺は、誉めてやる。」


「クラーク!なんかお前だけおかしいだろ!」


「「頑張って!」」「まぁ頑張れ。」

「う~~・・・仕方ない。わかった!任務を全うしてくる。」


遠目で二人を見守りながら私達は和やかに夕食を食べた。お嬢さんとミトラスは始めこそ緊張していたようだけど、そこそこ盛り上がっているように見える。この依頼、無事に終われるかなぁ。

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