第81話 パーティー結成?!
今年も終わりですね。色々ありましたが、来年が良い一年になりますように!
今日はミトラス達と『小鳥のさえずり亭』で待ち合わせをしていた。
ランチをすることになっていたが、早めに来てゆっくりと外にあるテラスで街並みを眺めていた。ネイマとテテュスは街の散策をすると聖霊体になってお出かけ中。
帰りにミリューイの顔でも見てこようかな、と考えていた時「メイ?!」と呼ばれて振り返るとリカが立っていた。
「リカ久しぶり!手紙届いた?」
「読んだわよ。こっちに来るなら連絡してよね。」
なんか視線が痛い・・・。リカは躊躇なく私の隣に座ったんやけど、後ろにいるお連れの存在忘れてません?
テラスは扉が解放されているので、出入りは自由。でもお連れの2人は初めてましてなので遠慮したのか、中のテーブルに座ってこちらを凝視している。
「今日は1人なの?!よかったら一緒にご飯食べましょ♪」
「ごめん。今日は別の人と約束してるんだ。」
「誰?あ・・・まさか・・・。」
噂のまさかの人達がご登場。リカはテーブルの陰に気付いてゆっくりと振り返った。
「ミトラス!!クラークまで?!」
「よ、よう!!なんだ!リカも居るのかよ。今日は俺達がメイと約束してるんだよ!」
「久しぶり。」
「ミトラス、クラーク!はは、久しぶり。えっと、どうしようか・・・。」
「向こうに行けよ、リカ!中でピア達ずっと待ってるぞ?!」
「わかってるわよ!・・・そうだ!!皆で一緒に食べない?」
「リカ、すまない。今日は俺達、大事な話があるから遠慮してくれ。」こういう展開を一番面白がるクラークがまっ先に断った。
「何か大事な話?・・・そう、なら仕方ないわね。」立ち去ろうとしたその時、リカの連れの2人がやって来た。
「初めまして!私、ピア・メイヴィスって言いますぅ。あの、ご一緒させて下さい♪」
「もう!ピアやめなって・・・。あ、ごめんなさい。私はリカの友人のフォリア・オブキって言います。」
「あーもう、お前ら!あっち行けよ!!」ミトラスがキレた。店内の注目が集まる。
「ちょ、ちょっと落ち着いて!とりあえず椅子はあるし、広いんだから皆座って落ち着こう?」
周りの椅子を人数分集めて、水を持ってきてもらった。着席し、気まずさもあり全員水を一気に飲み干した。
「「「「「ふぅ。」」」」」
「なんか大所帯になってしまったけど、僕もとりあえず自己紹介するね。メイ・パロットです、よろしく。」
「ごめんね、姿見たら嬉しくて・・・なんか迷惑かけちゃって・・・。」リカは反省しているようだ。
「まぁ!とりあえず注文しようぜ。メニュー回すから順番に決めろよ!」なんだかんだと場を仕切り出すミトラス。それを見て笑っているクラーク。おや?フォリアなんとかさんはミトラスに熱い視線を送ってない?
そして興味津々に私を見ているピアというキャピキャピ(死語)娘。この子が一番ややこしそうやな。
注文を終え、少し間が落ち着くとクラークが話し出した。
「とりあえず飯の後に話合わないか?部外者がいたんじゃあの話はできないからな。」
「何ですかぁ?そういう言い方だとますます気になります~。クラーク達だけで内緒話ズルイですよー?」
「ピア!いい加減にしな。一緒に食事するだけでも申し訳ないのに・・・。」
「本当にごめんなさい・・。」リカが言うとピアも黙った。
「なぁ、メイ。どうせその内にバレるんだから、この場ではっきり返事してくれていいぜ!」ミトラスがリカを気遣ってちらちらと横目で見ながら言った。
「おい、ミトラス。いいのか?」クラークが真剣な顔で問う。
「いいじゃねぇか!ダメだったらそれまでだし、了承してくれたんならそれこそコイツらだけじゃなく、学校全体に知れ渡るんだからな!」
皆の視線が私に注がれる。
「じゃあ、結論から言うけど。条件付きだけど、例の件了承することにした。よろしくね!」
「よっしゃー!!」「よし・・・。」ミトラスの大声とクラークの呟きは対照的だった。
「えーと、何の話ですかぁ?私達にも詳しく教えて下さいっ♪」ピアはグイグイ質問してくる。
「き、聞いてもいいなら私も聞きたい!!」リカも身を乗り出す。フォリアは黙っていた。
ミトラスが得意げに「えー、どうしよっかなぁ~~。」と急に勿体ぶりだした。
「ムカつくわねー!!はっきり言いなさいよ!!」リカが遠慮なくツッコむ。絡んでくるのが嬉しいのか、ミトラスはなかなか言うおうとしなかった。
「来年仕官せずに、俺達はメイと一緒に冒険者になる。」クラークがさらっと言った。
「「「えぇーーー!!!」」」女子3人の叫び声が響き渡った。お店の人に怒られて、テラスと店内の扉を閉められた。中にいる他のお客様のご迷惑になりますって。
リカは口元を抑えながら「ど、どういう事?!詳しく聞きたいわ!!」と目の前に迫ってきた。
「私も聞きたいー!!」同じように口元を抑えながらピアもモゴモゴと言った。
「え、ミトラス・・・。仕官しないの・・・?」フォリアは呆然としていた。
来年15歳になるのを機に、冒険者登録する予定だった。そこでミトラスとクラークから一緒にパーティーを組んで活動しないかという提案を持ちかけられたが、元々単独行動のつもりだったので資金集めの仕事をしている間に結論をだすことになっていたと経緯を話した。
「ミトラスもクラークもどうして冒険者になろうと思ったの?」リカは素直に疑問をぶつけた。
「・・・俺は世間を知らなさすぎるな、って思っただけだ。剣が強くて優秀だって言われていい気になっていたけど、メイとか見てたら俺はまだまだ知らない事多いんじゃないかってさ。それに仕官するなら今じゃなくてもいいしな!」
「俺もだ。決められた道を進んできたけど、それを外れてみるのも面白そうだなってな。それにミトラスには俺が付いててやらないとな?」
「はぁ?!頼んでねーだろ!!」ミトラスは怒っているようで、顔は喜んでいる。わかりやすいなぁ。
「・・・いいなぁ・・・。」リカが呟いた。
「リカさん?!」「リカ?!」
「だって自由でいいじゃない。私も冒険者になろうかなぁ・・・。」
「何言ってるんですかー!」「何言ってるのよー!!」
ピアとフォリアのシンクロ率が凄い。
「ねぇ・・・メイ、ミトラス、クラーク!お願い、私もそのパーティーに入れて下さい!!」
「「「「えぇー?!?!」」」」「?!」
「ずっとこのままでいいのかなって考えてたの。仕官の道は途絶えるけど、今までやってきたことが無くなるわけじゃないもの。でも何をしたらいいか、どうしたらいいかずっと悩んでた・・・!」
皆が絶句している。
「突然の申し出で驚いてるだろうけど、絶対足手纏いにならないって約束する!!だから・・・お願いします!!」椅子から立って頭を下げた。
「ど、どうする?」ミトラスがニヤけた顔で聞いてきた。
「おい、思い付きで言うな。冒険者は命懸けだぞ。」クラークが静かに怒っている。
「思い付きじゃないわ!真剣よ!!」ちょっと涙目のリカも本気のようだった。
「メイ、お前が決めろよ。なぁ、いいだろクラーク?」
「・・・そうだな。このパーティーのリーダーはメイだしな。」
「え?!聞いてないけど・・・。」
「メイ!!お願いします!」リカも譲らない。
店内からのドアが開いて、給仕がランチを運んできた。
「えっと、とりあえず食事がきたからこの話は一旦保留にしよう。パーティーの事も具体的に後から話すよ。」
リカは黙って頷き座った。それからの食事は皆無言だった。