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第75話 海防団本部

日常に戻りつつも、以前とは少し変わってしまった生活についてけない~( ´△`)小説を読んで逃避気味の私です。最近は悪役令嬢ものにハマってしまいました。

サクによると私がいるこの棟は、海防団の寮らしい。1、2階は男性寮で、3階が女性寮に分かれている。驚いたのはトイレだ。部屋にはないけど、各階に水洗式があるんやって!流石に日本のと仕組みは違うやろうけど、どんなのか今後の参考に知りたいと思った。仕組みについて尋ねてみると"あんまり詳しくは知らないなぁ。それに施設内部についての事は、一応海防団の機密事項だからごめんねー!"、とやんわり教えてもらえなかった。


国の軍とかと同じやねんなぁ。深く関わったら、私の秘密がばれて実験体にされるかも・・・。ここは慎重に行動せなあかんな、と思った。


ロビーに戻って棟の中を見学するつもりやったけど、なんとなく怖くなったのでマーブルの部屋に戻る事にした。するとまた別の人から声をかけられた。


「メイ、探したぞ。副団長が呼んでる。俺に付いてきて。」レドだ。

「は、はい。」


結局そのまま、本部のある建物へと移動した。


―――――――――――――――


寮棟から本部への連絡橋を通り、直接副団長の部屋へと向かった。


「副団長、レドです。連れて来ました。」

「入れ。」


「失礼します。」


私も続いて「失礼します。」と中へ。かなり広い部屋でさすがは上官部屋やな、と室内を眺めた。


「レドはもういいぞ。」「はい。」と一礼して出て行った。


タイマンはかなり緊張する・・・。


「適当に座ってくれ。」と言われたので、少し離れたソファーに移動して腰をかけた。改めて見るとナナミ副団長はそこまで大柄ではなかったけど、風貌がリカの父親に似てて、威圧感はその3倍あるな。話すと砕けた感じやけど、海賊の頭のような野獣っぽさがある。


「あー、緊張してるか?!気楽にしてくれ!ただ今回の礼を言うために呼んだだけだからな。」

「はい・・・。」


「カイトは元気にしてるのか?」と、それから他愛のない話をして、本当に今回の件についての感謝の言葉とハラ王国まで送ってくれると約束をしてくれた。


「お前、冒険者登録まだだよな?ギルドには行ったことはあるのか?・・・ハラ王国の【ジザ】にいるギルドマスターのグァレンド・バズゥーを一度訪ねた方がいいかもな。」


「あの、実はグレさんには聖霊使いって知られてるんです。」

「なんだ、そうか!親父さんと知り合いなのか。なら安心だ。・・・それにしてもお前、色々持ってんな?!」


「その、たまたまっていうか、成り行きというか・・・。」

「その幸運は冒険者にとって大事だぜ?『運も実力のうち』って古代語もあるだろ。そういう出会いは偶然のようで必然でもあるからな。」


なんか哲学的?見た目と違って意外と知性派なんや、って失礼か。


「と、柄にもねぇこと話したな!まぁこれからお前もマーブルと付き合いがあるだろうし、海防団に興味があればいつでも来いよ!」

「ありがとうございます。僕も今回、皆さんのおかげで助かりました。」


「そうだ。これやるよ。受け取れ!」と投げた。


キャッチして見ると、これ認識番?首からかけてるのに似てるな。


「それ持ってたら、とりあえずここの本部と寮には入れるぞ。困った事があれば訪ねて来い。」

「あ、ありがとうございます!」


「レド!メイを案内してやれ!」

「失礼します。」


扉の前に待機していたレドと一緒に部屋を出た。しばらく沈黙していたが、ふとお互い視線が合った。


「それ、特別訓練生の認識番。」チラッと私の手元に目をやった。

「あ、これさっき副団長さんから頂いたんです。」握ったままの認識番を見せた。


「あまり人に見せない方がいい。ナナミ副団長の印が彫ってあるから、メイはナナミ派とみなされる。」

「ナナミ派?」


この特別訓練生の認識番は、毎年訓練生の中から数人に渡される物だが、表立ってスカウトはできないことになっている。ただし入団にあたって団長と副団長の2人には推薦枠みたいなのがあり、暗黙の了解で俺の隊に内定したって証だとか。だとしたら、私が貰っても仕方ないんですけど?!


話は戻って、団長と副団長達にはそれぞれ印があるから、誰から推薦されたのかが分かってしまうらしい。本人にその気はなくてもそれぞれに熱狂的なファンやら支持者がいるから嫉妬の対象となり、寮に入ってから無駄にしごかれる事があるそうだ。


「そうなんですか。僕は海防団に入らないから大丈夫だけど、勘違いした誰かに恨まれるのも困るので教えてもらえて良かったです。レドさん、ありがとうございました。」

「役に立てたなら、良かった。」

少し微笑んだ顔が眩しい!!


やっぱり高嶺の花すぎて、周りに人が寄り付かなかったタイプ?年下の私に結構気を使ってくれるし、いい人やん。


兄貴(マーブル)とは小さい頃から知合いなんですか?」

「訓練生の時に会った。聖霊使いは珍しいから、アイツは有名人だったな。」


「俺は魔力がないから、まさか入団できるとは思ってなかった。」

「きっとすごく頑張ったんですね。」


「えっ・・・。まぁ、ナナミ副団長が何故か目をかけてくれたから。」

「良かったですね!見ててくれる人がいると頑張れますよね。」


「俺も特別訓練生の認識番を持ってる。」

「そうなんですか!」


「記念に今も大事にしてる。俺を認めてくれた証だから・・・。」


だからナナミに懐いてるんや。マーブルも認識番貰ったんかな?何となくナナミ派っぽいもん。となると、あと1人の副団長が気になるわ。


「メイ、お前もナナミ派だ。ということは、俺は先輩・・・。これからは気軽に呼んでくれ。」

「え?いや、団員じゃないんで先輩だなんて呼べないです。」


「む・・・先輩が嫌か?だったら、レドでいい。友人だ。よろしく頼む。」

「さっきより距離縮まってますけど?!僕のが大分年下なのに?!」ツッコミ所満載!


「構わない。俺は顔が怖いのかあまり親しい者がいない。色々助言をしてくれたら助かる。」

「レドさんは怖いんじゃないんですって!もう~・・・わかりました。僕も友達が増えるのは嬉しいですから、改めてよろしくお願いします。」


「レドでいい。それに友人に敬語はおかしい。」

「・・・じゃあレド?よ、よろしく!」


「こちらこそだ、よろしく頼む。」

そういって無意識に笑顔になったレド。やばっ尊すぎる。これ、目の保養すぎて友達ポジションおいしいわ。ご馳走様です!


若干心拍数があがり、深呼吸して心を落ち着かせていると、遠くから誰かを呼んでいるような声が聞こえた。


「おーい・・・おーい!メイー!!」


はっと我に返り、レドがまた無表情になった。


「やっ、やっと仕事が終わったぜ。あっお前?!なんで居るんだよ?!」真っ先にレドに絡むマーブル。


「副団長に呼ばれたから、案内していた。じゃあメイ、今晩一緒に飯でも食おう。迎えに来る。」

「待て待て待てー!俺が奢るんだ!」


「食堂のだろ?無料だからお前が奢る訳じゃない。」

「ちがーう!外に飯食いに行く許可をとったんだよ。」


「俺もとってくる。同行しよう。」

「なんでだよ?!レドは関係ないだろ?!」


「俺はメイの友人だ。一緒に行く。」

「はぁ?!俺は身内だ!兄貴分だからな!」


「まぁまぁまぁ!せっかくだし3人で行きましょうよ!部屋は兄貴のところ泊めてもらうんだし、食事は皆で食べる方が美味しいよ?」


「ほらな。じゃあ後で。」

「う・・・メイがそれでいいなら。ま、いいか!」


「2人ともありがとう。」


こうして夜は施設外で夕飯を食べに行くことになった。

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