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第70話 救出大作戦②

しばらく救出大作戦編が続きます。今月も2回更新する予定です!よろしくお願い致します!

「な、なんだ?!」思わずマーブルは大声を出した。ナナミはアジトの方からの声に反応したが、真っ先にコヨチールがテテュスの元へ向かった。


”テテ?!何があったの?!”『テテ!!大丈夫?!』念話でも叫び声が聞こえたので驚いた。


『・・・ご、ごめん。いきなり、女の1人が部屋に入って来て・・・男をメッタ刺しにしたの・・・。びっくりしちゃって・・・。』


”えぇ?!”『死んじゃったの?』


『う、動かないわ。』


『テテ大丈夫?!って、うわ!!何これ・・・。』

駆けつけたコヨチールも凄惨な現場に言葉を一瞬失った。しかし、あの聖霊視できる男が2階に近付いて来たので、テテュスを連れてすぐにその場を離れた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「ソラ?!お前・・・何てことしてくれたんだ・・・。」レラの悲鳴を聞いたセヨハンは、半裸状態で呆然と立っている。


血まみれのソラは成し遂げた達成感で、高揚し興奮しており、誰も近づくことができなかった。レラは泣き崩れ、その傍らでララが自らの震えを隠すためにレラを抱きしめていた。ヨドは淡々としており、バルの生死を確認。死んでいると判断し、死体をズルズルと運び出した。


「・・・あ、お、おい。ヨド・・・ど、どーすんだ。こんな事本主(もとぬし)様に知られたら俺達は・・・。」なんとか声を振り絞った。


「とにかく今は商品を依頼主に届けることです。こちらは任せて下さい。」ヨドの言葉で我に帰り、セヨハンは自分の部屋に戻った。


ララはレラを別室に連れて行き、少し休ませることにした。


着替えたセヨハンの気は重かったが、ソラの所に戻り「着替えてこい。」と指示し、外の井戸で水浴びするように促した。


ソラは”ふふふ・・・これで・・・”と何か呟きながら、ゆっくりと立ち上がり、ふらふらと1階に降りて行った。


ーーーーーーーーーーーーーー


一旦外に出たコヨチールとテテュスだったが、隣の部屋で途切れ途切れの会話を聴いていた。


精霊組はこの内容をすぐに皆へ伝えた。あまりに突然だったので、ナナミは作戦を続行するべきか悩んだが、人質はその間も船に連れて行かれていたため予定通り進めることにした。


テテュスとコヨチールはナナミ達と合流。セヨハンが手伝い始め、あと少しで作業が終わると予測し桟橋に移動することになった。


一方ネイマは、ジズルを見つけて作戦内容を伝えた。猿轡(さるぐつわ)と手足の拘束を外し、合図の時を待った。


私は転移魔法でネイマの元へ移動。

感知(ディテクト)”・・・他に人の気配がないので安心した。


”ネイマ、そろそろ離れた方がいい。ナナミ達も来るみたい。監視役ありがとう。ほんとに助かったよ!”

『いざって時は僕も戦うからね!メイやテテュスが危ない時は止められたって行く!』


”分かってる。頼りにしてるから”

『うん、頑張ってね!』


ここでネイマは離脱。私が感知可能なギリギリの範囲内で待機してもらうことになった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


時刻は深夜2時頃。闇に包まれ、正直周りはほとんど見えない。私は闇魔法で姿を隠しているから周りの様子がわかるんやけど、ナナミやマーブルはかなり見えにくくて辛そう。


「おい、メイ。内密シークレットウィスパー解除しとくぞ。」「あ、はい!」


2つの腕輪を合わせると、氷が割れるようにパリンッと音がして煙のように消えていった。ふと、ナナミを見ると右手にもう1つ腕輪があった。私の視線に気が付き、「これか?一応仲間を呼んだ。間に合うかはわからんけどな。」と、まだプニプニと柔らかい腕輪に手を置いた。


テテュスから『もうすぐ全員くるわよ。』と連絡があった。それを伝えると「じゃあ俺、行ってきます。」とマーブルはコヨチールと船内に乗り込み、身を隠した。


「俺達もそろそろ行くか。」

「はい。テテ行こう!」

『うん!』


水膜(アクアベール)。」ナナミと自分に魔法をかけてもう一度”感知(ディテクト)”。船の人質と今荷車で運ばれている数も合ってるし、アジトにいた奴らも全員こっちに向かっている。


「頼むぞ。俺は何も見えてないからな。お前に付いていく。」

「はい、テテが先導してくれるので大丈夫です。行きます。」


海に入り、泳ぎだす。暗い海を進んでいると得体の知れない何かに飲み込まれそうな、不安感に襲われる。水膜(アクアベール)のおかげで少し冷んやりはするけど、濡れへんから寒くないし息も苦しくない。テテュスが海流を穏やかに調整してくれるのでスイスイと前に進めた。


ふと見上げた空に星がたくさん見えて、気持ちがちょっと和らいだ。


「メイ、大丈夫か?」


「は、はい。さっきまで少し怖かったんですけど、上を見たら星がキレイで・・・。」

「ぶはっ!お前は意外と肝が据わってるよな。海に慣れてる俺でも夜は怖い。でも聖霊やお前がいるし、俺も助かってるんだぜ。」


「ありがとう、ございます。」「悪ぃ。話すと無駄に体力使うからな、さぁ気合いいれろよ!」


「はいっ!」


船から遠ざかり、見えなくなる手前で待機。船の航路をテテュスが海流を操り誘導する作戦。目的地点までマーブル達が見つからなければいいんやけど・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁはぁ・・・。これで、全部、だなっ?!」セヨハンが息を荒げて尋ねた。

「はい、すぐに出発します。朝までに間に合わないと取引になりませんから。」


「キン、ギン!これ積み込んどけ!!俺は休む!」すでに大将気取りのセヨハン。キンとギンはバルが殺された事をまだ知らなかった。


「ヨドはこっちに来い。」2人は船長室へと消えて行った。ソラはぼーっとしており、ふらふらと船内へ入って行った。距離を置いて、ララに引きずられるようにレラが歩いている。


ギンは周りを見渡し、ララに小声で聞いた。「おい、ソラ変じゃねぇか?アジトで何かあったのか?」

一瞬表情が強張ったが「何も・・・。」と、一言だけ。隣のレラは真っ青で小刻みに震えていた。


「チッ、絶対何かあったはず・・・。なぁ?キン、あいつらおかしいよな?」

「・・・主様がいない・・・。」


「そうだな。俺達が運んでる間に船に行ったんじゃないか?」

「・・・ソラの手に・・・血が付いてた・・・。」


「ま、まさか・・・。」

「・・・俺達も殺されるんだ。」


「今からでも遅くない!キン、逃げようぜ!」

「無理だよ。もう疲れた・・・。」


クソッ必ず何か手があるはずだ。俺達は泳げるし、どうせ殺されるかもしれないなら海に飛び込んで逃げるか?

いや・・・だめだ。気力の落ちたキンを抱えて遠くへは逃げられない。これが陸地なら可能性もあるが、全員が揃った今となっては遅すぎる・・・。


ギンは途方に暮れて持ち場に戻るキンを追いながら、夜の海を見つめていた。

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