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第62話 フリナドゥ諸島

なんとか師走を乗り切り、お年玉企画として1/1~1/3の3日間に連続投稿できるよう創作中です!あまり期待せずお待ちくださいませ(笑)

「おー。見えてきた!あれが次の目的地だ。」


マレ・リベロ国を出発してから3日経った。


ロゼがゴウに遠見鏡を見ながら、太陽や星との位置確認や地図の見方を教えていた。


遠見鏡(とおみレンズ)は単眼鏡と同じで、双眼鏡より立体感はないけど海では欠かせないアイテム。


「メイも見てみろよ。」

ゴウに促され、フリナドゥ諸島を確認した。


「あそこが本島だけど、先に4つか5つくらい小さい島があって、そこも含めて国らしいぞ。」

「じゃあ、全部の島を回るのかな?」


私とゴウがロゼを見ると「そうだなぁ。たぶん島の奴らに挨拶も兼ねて回ると思うぞ?」と言った。


「すごい!」「どんな所か楽しみだな!」

と期待顔でいる私達をみて「あんまりウロウロするなよ?けっこうクセのある奴らだからなぁ。」と苦笑いをした。


―――――――――――――――


本島到着。航海中に捕った魚を港に卸し、宿屋に向かった。


「俺達はここの偉いさんに挨拶してくるから、今日は船の掃除をして解散だ。明日は早朝すぐに出発する。各自時間に遅れるなよー!」

モリー船長とキララ3兄弟は宿屋に荷物をおいてすぐに出て行ってしまった。


「なんか慌ただしい滞在になりそうだね。」

「まだ昼だし、飯食ってさっさと仕事終わらせようぜ。」


宿屋の食堂で軽く食べた後、船に戻り清掃をした。船員達は交易品を届けたり、雑務があるのでゴウと2人だった。


「ふぅー。まだ夕方まで時間あるなぁ。」

『お疲れさま!』『お疲れー♪』ネイマとテテュスが手伝ってくれたので早く終わった。


“2人ともいつもありがとう!助かったよ~”


「メーイ!こっちも終わりだぁ。」ゴウも疲れた様子で合流した。


「汗流したいな。」

「うん。めっちゃ汗臭いよね。」


テテュスがいるから海水から真水にしてもらって、簡易風呂っぽいので時々はキレイにしてたんやけど・・・。


この世界では川や湖で身体を洗ったり、布で身体を拭くのが一般的。お風呂文化は、庶民にはまだまだ定着していない。


ちなみに我が家やジンクス家は魔法が使えたり、色々商人のツテもあるのでなんちゃって五右衛門風呂を提案してからはずっとお風呂です。


「とりあえず湖とか捜してみるか?」

「そだね。近くにあるか宿屋の人に聞いてみる?」


フリナドゥ諸島の気候は、熱帯だ。雨が降ったら少し気温が下がるくらい。


「水浴びなら、この宿屋の裏手に池があるよ。ただ金がいるぞ。」

宿屋の主人が教えてくれた。


「どうする?」「とりあえず見に行ってあんまり高いならやめようか?」


歩いて10分くらいで、湧水から池ができたようなこじんまりとした所に着いた。


「看板あるよ。」

「“1人銅貨3枚。水を汚した者には罰金。金貨3枚!”うわ!高っっ!」


「“支払わず使用した者、罰金あり。金貨5枚!!”だって。罰金高くない?」

「なんか怖いな?やめておくか。」


「この箱に銅貨3枚入れたらいいんでしょ?せっかく来たから、汗だけでも流そうよ。」

「そ、そうだな。」


銅貨3枚を箱に入れて、服を脱いで池に入った。


「あー!気持ちいい!!」

「ここの水キレイだし、いいな!」


テテュスもここの湧水は鮮度がいいと誉めていた。


「そろそろ出ようかな。あー?!服がない!」

「え!ここに置いてたぞ?!」


『メイ~僕ね、今犯人追いかけてるからちょっと待っててー。』

“ネイマ?!大丈夫なの?!テテにも行ってもらうよ!テテごめん、お願い!ネイマを追いかけてー!”


『オッケー!泥棒なんて許さないから!』


「メイ・・・。ど、どうする?裸で宿屋に戻るか?」

「えーと・・・あ、僕冷えてきたからちょっと用を足しに行ってくる。少しだけ待っててくれる?」


ゴウから見えない所に隠れた。“転移(マイグレート)”!


最近転移魔法についてわかった事やけど、契約聖霊の所には自分が行ったことない場所でも行ける。


どうやらイメージするのが場所ではなくて、その聖霊でいいからかなって思ってる。まぁ契約という繋がりのおかげなのかもやけどね。


『あ、メイ!ちょっとここで待って。』犯人をじっと見つめるネイマが念話してきた。

『・・・もう!前くらい隠しなさいよ!』テテュスは私を見て顔を背けた。

“何もないんだから仕方ないでしょ!”と、私も顔が真っ赤になった。


あれ?でもここって宿屋?

この部屋は見たことないけど、なんか雰囲気が・・・。突然人の声が聴こえた。


「?!・・・何だよー、大した金じゃないぞ!ガキを狙ったのが失敗だったな・・・。まぁいいか。飲み代の足しにはなるだろ。」

「あんた!服まで盗ってきてどうすんのさ?なんか臭わない?汚いわぁ。あーやだやだ!」と女がポイっと私の方に服を投げた。


“くっ!コイツらぁ!人の服をゴミみたいに扱って・・・”服を回収して、ササッと着替えて後をつけた。


『どうやら宿屋の従業員みたいね。』『見張っておくから、ゴウに服を持っていってあげて。』


“ごめん。そうする!”見張りはネイマとテテュスに任せて、急いで池に戻った。


「あ。あー!もう~~どこに行ってたんだよー!帰ってこないから心配したんだぞ!」

「犯人見つけたから追いかけちゃって・・・ごめん!!でも服は取り返したよ。」


「マジか!!誰だよ?!」

「宿屋にいる人みたいなんだけど・・・僕らのお金も盗まれたんだよ!」


「何?!子供から金を盗むなんて最低だな・・・。ここの銅貨も返してもらおうぜ!」

「箱に鍵かかってるし、まずは犯人を捕まえよう!」


「よし!とりあえず戻ろうぜ!」

「分かった。けど、ゴウ・・・。早く服着てね?」


―――――――――――――――


宿屋の部屋に戻り、一番に荷物チェックをした。

とりあえず盗まれているものはない・・・。


あー!!でも何なん?!この国、宿屋も油断ならん。荷物を一旦船に戻そうかな?


ドンドン!と音がして、勢いよく扉が開いた。


「メイ!持物は大丈夫だったか?!」

「うん、今のところはね。でも落ち着かないから、船に戻ろうかと思ってさ。」


「・・・そうだよなぁ。俺、父さんに言ってくる!先に船に戻っててくれ。」

「うん。気を付けてね!」


“ネイマ!テテ!聴こえる?”

『うん!犯人は2人組の男女みたいよ。』

『宿屋の主人は無関係かもしれないけど。あの2人ここの従業員みたいで、さっきから怪しい行動してるよー。』


“どこにいるの?”

『今、女は食堂で働いてるわ。』『男の方はねー。あ、部屋を見て回ってるよ。』


“ありがと!現場をおさえてやるっ”


荷物を持って廊下を見渡す。ここは2階。造りはコの字型やからすぐに居場所はわかるねんけど、下を覗くとあの男が、部屋の扉をガチャガチャと回していた。


「何やってるんですか?!」大声で男に声をかけた。


「あ!お客さん?いやー、そ、掃除をしようとしてただけなんですよ。」

「普通扉を叩いて、客が居ないか確認しますよね?あなた、本当にここの従業員ですか?」


「も、もちろんですよ!主人に聞いて下さい!あ、用事を思い出したなぁ!」三文芝居をして、男は逃げるように去っていった。


「怪しすぎる。」思わず独り言を呟いて、2人を見張っていたネイマやテテュスと合流した。あのあと男は食堂に来て女に何かを伝えていたらしい。


ーーーーーーーーーーーーーー


船に戻り、寝室で横になって休んだ。ゴウもしばらくしてやって来た。


「ここ、かなり危ない所だ。」


ゴウによると、フリナドゥ諸島は刑期を終えた元囚人とか国を追われた人間が多く、本島を含めて各諸島も色々な国の裏社会の巣窟らしい。


「どうしてそんな島に来たの?!」

「だよなぁ!まぁただ、父さんが内緒に教えてくれたんだが・・・。」


表向きは行き場のない人間の拠り所としての島、裏の顔は市場でさばけない交易品とかを売り買いする闇市。あと、闇ギルドとか奴隷ギルドもあるとかないとか。あくまで噂で詳しくは分からないらしい。


船員達も確かな事は知らなくて、裏の人達と関わることになるから、見ないフリをするのが利口だと教えられた。絶対口に出すなって、ロゼからきつく言い聞かされたと話してくれた。


「お金だけは取り返したいけど・・・。」

「まぁ今回は諦めて、高い勉強代と思うことにしよーぜ。あの父さんが念を押してたんだ。」


大金ではなかったけど、汗水垂らして働いた報酬やのに!泥棒がこのままなのは悔しいなぁ。


「あ!」

「何だよ?!」


「ご、ごめん。何でもないよ。」

ちょっと妙案が浮かんだが、ゴウも居るし、とりあえず今は静かに休むことにした。

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