第4章①決意
この優しい人達を大切にしたい。
「ふぁ~あぁ~~」
久しぶりにぐっすり眠れた。
身体がめっちゃ軽いし、頭もスッキリしている。
窓の外を見ると、
かなり日が昇っている?!
やばっ
寝坊したかぁー
バタバタと急いで着替えて
部屋をでると、
「おはよう。
よく眠れたようね~」
とニコニコとマリーが朝食?の準備を
してくれている。
「ごめんなさい!
寝すぎたみたいでー」
「先に顔洗ってこーい。
ゆっくりな!コケるぞぉ」
と言ってガイルは出かけて行った。
今日は特に何も予定を言われてなかったよな?
と顔を洗いながら考えていた。
食事をしながら、傍らでマリーが
編みものをしているのをみていると
「ふふっ
これはね、メイ君のなのよ」
えっ、て驚いた顔をすると
「何ができるかは楽しみにしててね。」
と鼻歌をうたいながら、編みものを続けていた。
食器の後片付けをしてから、
「少し出かけてきてもいいですか?」
とマリーに聞いてみた。
「いいわよ~
でもあまり遠くには行かないでね。」
と、立ちあがり奥の部屋から鈴の首飾りを
持ってきて
「これを首にかけて行ってね。
この鈴の音があなたを守ってくれるから。」
熊避け?
とか思いながら
「はい。
ありがとうございます。
行ってきまーす!」
と一度外に出たものの、
一応、ガイルからもらった短剣を取りにもう一度家に戻った。
なんとなくマリーに気付かれるのが恥ずかしかったので、そ~っと入る。。
奥にあるガイルとマリーの寝室から、
声が
聞こえた。
「うっ・・・ひっく・・
ネイマ・・・」
扉の隙間から覗くと
小さなボロボロになった布切れのような服らしいものをを抱きしめながら
マリーが泣いていた。
――――ネイマ?
・・・・・
あ。
もしかして・・・
・・・きっとガイルとマリーの子供の名まえだ。
やっぱり、マリーにとってはまだ
辛い出来事なんやな。
あんまり長くここには居られないな。
物音を立てないように自分の部屋に行き、
またこっそりと、外に出かけた。
「はぁ~~」
行く宛もないけど、とりあえずこの辺りで
一番小高い丘に向かって歩いて行った。
ちょうどいい岩場にもたれ掛かり、空をみた。
私の今ある武器、もといできること。
・・・
・・・・
・・・・・・ない。
自衛出来るほどの剣術はまだないし、
何よりまだ子供やから仕事は限定される。
それに、まだこの世界のことを知らなさすぎる。
学校に通って勉強できればなぁ・・・
こんな風に思うなんて。
日本にいたときは、あたりまえのように
学校に行って、義務教育受けて、
やりたいと思うことは大体できた。
学校だるーとか、めんどくさいとか
言ってたっけ。
でもそれって、親がお金を出してくれて、
私の生活のために働いてくれて
養ってくれてたから、不自由がなかったんや。
恵まれた環境にいたのだと、改めて思いながら
感傷に浸るーー。
この世界で本当に独りなったとき
どうやって生きていけばいいんだろう。
いつまでもガイルやマリーの親切に甘えているわけにもいかない。
グゥ~~キュルル。。
・・・こうやって考えていると
何をしているわけでもないのに
お腹がすく。
私って・・・
ま、生きてる証拠かぁ
とか、上手くまとめた風に思っていると
「メイどこだー!!
いるなら返事しろー!」
ガイルの声が聞こえた。
「ここにいるよー!
今行くー!!」
ガイルやマリーを無駄に心配させてはいけない。
それだけは心に決めた。
私を見つけたガイルの顔に安堵の表情がみえ、
「ごめんなさい。」
と抱きついた。
「いいんだ。
無事ならいいんだ。」
ガイルも私の頭をクシャクシャッとして
はじめて手を繋いで家に帰った。