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第51話  完成!必殺〇〇

なんとか月1回更新キープできました(笑)読んで頂けたら嬉しいです。

フレッドに何回教えても、カウンターをカウタと言うのでもう諦めた。


私も具体的な技のやり方はわからんから、まず避けつつ、相手の力をいなす練習をした。


これは意外と上手くて、私の剣が未熟なのもあるけど、木刀に見立てた枝で斬りかかると回数を重ねる毎にフレッドの動きはスムーズになった。


「この“いなす”という技は何となく掴めてきたけど、ここからどうやって反撃する?」

「うーん・・・。あ!“突き”は?」


「突き?斬るではないのか?」


「槍は突くでしょ?斬りかかることもあるけど、やっぱ特徴は突きだと思う。けっこう威力あるよね。で、剣は斬るって連想するけど、それをカウンターの時に突きでいくと不意討ちでいいかなって。」


剣やから、私としてはフェンシングのイメージやけど。


「カウンターはやっぱり意外性でしょ!」と言った瞬間、あの有名な塾講師の顔が頭をよぎった。


「ただ、こっちの隙も大きくなるね。」フレッドの表情が曇る。


「そうだね。でもそれこそ、必殺技なんだから全てを賭けて、命を懸けるつもりでやらなきゃいけなくない?」


「・・・メイの言う通りだ。私はまだ覚悟ができていなかった。成人の儀が上手くいかなければどのみち王族ではなくなるかもしれないしな。」

「もし・・・お城を出ないといけなくなっても、そのときは僕がまた一緒にどうしたらいいか考えるよ。」


「ありがとう。でも・・・私は母様のお腹にいる弟か妹にも会いたいから負けるつもりはないよ。」

「そうだね!よし!!絶対完成させよう!」


その日は遅くまでトコトン練習した。まだ決め手となるまではいかなかったけど、形にはなってきていた。


フレッドと別れて宿に戻り、すぐモリー船長の所へ向かった。頼み込んで明日急遽休みをもらい、その日はソッコーで寝た。



――――――――――

テテュスに水薬を作ってもらって、洞窟へ。

今日で完成しなきゃ、もう打つ手がない。


『顔が恐いよー?深呼吸深呼吸!』

『大丈夫!なんとかなるってー。』

“だといいけどね。応援団が暗い顔してちゃダメだね!”


ネイマとテテュスに励まされ、自分が必要以上に気負っていることに気付かされた。私がこんなんじゃあかんな。もっと肩の力を抜かな!と深呼吸しながら歩いた。


フレッドはもう来ていた。疲れた顔で、突きの練習をしていた。


「おはよう!早いね。」

「おはよう。今日もよろしく。」


休憩させ、水薬を飲ませた。横になってもらい、マッサージをしてあげた。


手や足も張っていて、連日の特訓が身体を痛めつけていた。まだ12歳なのに、背負ってるものが大きいなぁ。


「メイは医術の心得があるのか?凄く身体が楽になった。」

「医術というか、まぁ近いけどお医者様みたいにはできないけどね。疲れがとれたなら良かったよ。」


1時間程眠ってもらい、それから特訓再開。

本気度をあげるために、短剣にエンチャントして実践シミュレーションした。


「・・・明日はお兄ちゃん達長剣を使うよね?」

「ハァ、ハァ・・・そうだね。」


「もう1本剣ない?」

「練習用の木刀がある。」


「昼からは、それで仕上げよう。今からは、作戦会議しよ。」

「作戦?」


長男と次男について詳しく話してもらった。

聞けば聞く程次男はくせ者っぽい。これは、王道の強キャラやな。


狙うなら長男か。割りと感情の起伏があって、剣も力強さはあるけど大味な感じやし。隙が作りやすそうかな。


一応、私が考えたプランは伝えた。けど、タイミングは戦ってる本人にしかわからんから、判断は自分で決めてもらうけどね。


「なるほど・・・。そういう考えはなかったな。」

「1人じゃ無理だよー。当事者だと目の前のことに必死になるからね。第三者がいてこそだよ。」


「本当にありがとう!メイと友人になれて良かった。」

「大げさ!でも僕も新しい友達ができて嬉しいよ。」


ようやくフレッドの表情が和らいだ。

笑うと幼さがあってかわいいのよ。あー・・・。なんか急にルーとリマに会いたくなってきたなぁ。


それから一度解散して、ランチのあとまた集合することになった。


――――――――――


午後からは必殺技の仕上げ特訓。

ひたすら繰り返してフレッドはボロボロで泥だらけ・・・。


「ちょっと休もう?」

「い、いや・・・。うっ・・・今ちょっとわかってきたからこのまま続けてほしい。」


まぁ傷はテテュスの水薬で何とかなるけどね。私も相手役買って出たけど、もっと強くないと練習相手にもならへんなぁ。


でもこれはタイミングを計る練習やから!必殺を決めるための練習やし!

私はうまくいくことを祈るしかない。フレッドが納得するまで付き合おう。


・・・

・・・・・

それから日が暮れるまでほとんど休まなかった。気を失うかのように倒れ込んだフレッドに膝枕をして『 水薬(マーウサブマ)』を少しずつ口に注ぎ込んだ。


コクッ、コクッ、と飲み込むのを確認しながらゆっくり、ゆっくりと傷も癒えていった。


「ん・・・。あれ?私は眠っていたのか?」

「気が付いた?もう帰らないと外も暗くなってきたよ。」


「あ。傷が治ってる・・・。ありがとう、メイ。」

「いやいや、これくらいお安い御用だよ。」


「最後にもう1回だけ、いいか?」

「わかった。」


剣を構えてお互いに向かい合う。


私はひたすら斬りかかり、フレッドは剣を受け、いなす。そしてあの決め手を使う場面ーーーーー。



「で、できたー?!?!」

「ハァハァ・・・。こ、こんな感じでいいのか?」


「うん!うん!!まぁひたすら機会を待つしかないけどね。あとは運次第かな!」

「はは。神のみぞ知る、かな。それまで私も何とか耐えないとだね。」


「あとはタイミングだから、悟られないようにね。頑張って!!」

「あぁ。・・・感謝するよ、メイ。」


『よかったわねー!』『がんばれー!フレッド!!』ネイマもテテュスも大喜びだった。

”二人とも協力ありがとうね!”


『『応援団だからね!明日は絶対観に行くよ!!』』



ーーーーーさぁ、いよいよ明日は本番!!

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