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平行世界の交差点  作者: Nuke
第1章 異界編
3/5

第2話 これからとやっぱりエリート戦士

頭ではまとまっていても、文にすると難しいですね…泣

まだまだ続くので、なにとぞよろしく!

第三話 これからとやっぱりエリート戦士


 「……あの、ミール…さん?」

 「ミールでいいわ!」

 「……ミール、聞きたいことは山積みで何から聞いていいか分からないんだが、とりあえずここはどこだ?そんで俺はどうなってるんだ?俺はなんだ?」


 最大限に頭を回し、そして最良の選択肢を選んだであろう。

 こんな落ち着き払った質問ができるなんて、やはり日頃の行いだよな。問うことで見えてきた自分の状況に、小刻みに震える膝をごまかしながらミールの返答を待つ。


 「…………?あ!そうね、あなた記憶がちょっと飛んでるのね!」


 元気過ぎる声に僅かに怯む。どこから出てきたんだ、その元気。


 「交差点のとこまでは覚えてる?」

 そこまでは、明確に記憶にある。そこからが不自然に、誰かに切り取られたように真っ白だ。


 「…ああ」

 「あそこであなた、トラックに轢き飛ばされたわ!」


 !? えっ、ええええええええっ!!??


 「それでここは」

 「ちょいちょいちょい!トラックに轢き飛ばされたわ!って……」


 とりあえず全身の筋肉を引き絞る。引き絞りに引き絞って、


 「………俺、死んだの…?」

 「…うーん、ま、そんなとこかな!」

 「……………。」


 軽すぎる返事に言葉を失わざるをえなかった。唖然とし、それでも頭の整理を急ぐ。

 俺、死んだのか。

 まだ意識があることや、急な展開過ぎるせいで、死の実感が湧かない。感情が湧いてこない。


 「正確にいうとあっちの世界では、トラックに轢かれたあと病院に運ばれ寝たきり状態。それで魂だけがこっちの世界に移って、今のあなたができた、的な!」

 「的な!って!軽いな!」

 ついに声に出してつっこんでしまった。


 ちょっと待ってくれ、とあれやこれや考えてるうちに沈黙が流れる。


 「……少しわかった。でもまだ全然わかんないんですけど」

 「オッケー!なら今から全部、説明するわ!」

 ぱちんと指を鳴らすと同時に、どこからともなくホワイトボードがでてきた。


 …こいつなんでもできんのか?

 とりあえずその場で体育座りをして、話を聞く体勢を整えた。


 「まずは世界のことからね!パラレル・ワールド、ってのは聞いたことあるよね?」

 パラレル・ワールド……?知ってるに決まってるじゃないか、男のロマンだぞ。


 「あなたが住んでた世界を『主界』って言ってね、いっぱいある世界の中の中心みたいなものなの。そして、その主界を軸として派生した別ルートの世界を『平行世界』と言うわ。でも平行世界って言っても、些細なことでは生まれないし、できたとしても結局大して変わらず主界に戻っていくケースがほとんどね」

 なるほど、端的でわかりやすい。日本語が流暢すぎることは置いといて、今は話を聞くことにしよう。


 「あとね、たまーに起きるんだけど、平行世界になってから主界に戻らない場合があるの。それを放っておくと、だんだんそっちの世界が大きくなったりして、バランスが崩壊して、最終的には全部滅びるわ!なんでかは知らない!そして、全ての世界を同時に見れる唯一の場所がここ、『天界』よ!その天界を管理しているのがわたしたち天使なの!」


 …………………………。


 「……えっ、天国とかじゃないの?」

 「天界よ!」


 やばい。マジで頭が燃え尽きそう。そろそろ整理できてきたと自覚してたのに、見事に打ち砕いてくれた。

 しかもなんだその絵は、園児の落書きじゃないか。脳でパーティーが開かれているような状態だが、ずっと気になっていた疑問が一つあった。


 「いろんな世界のことはどことなく分かった。でも、一つだけ聞きたいんだが、どんな経緯があって俺はここに落ちたんだ?」

 まあ、嫌な予感しかしないのだが。


 「…んんっ!…まあ、その、ちょっと昔話するとね、昔は私以外の天使がたっくさんいたの。ここでそれなりに楽しく暮らしてたんだけど、ある時主界に興味を持ち始めた何人かの天使たちが、向こうに行ったきり帰ってこなくて。誰もそのことは気にしていなかったんだけれど、その間その天使たちは自由に暴れまわっていたの……… そして気づいた時にはすでに遅く、天使が来たという『イレギュラー』によって主界から分かれてしまった別の世界……とても大きな『平行世界』ができてしまっていたの。それも二つね。…破滅を恐れた他の天使たちは、みんな暴走を止めに行ってしまったわ。幼かった、私一人残してね。でも、向こうで力をつけていた天使には敵わなくて、一人たりとも帰ってこなかったわ」


 ………なんて重い話するんだ、どうしようトイレ行きたい。暗い話にどうしても言葉が詰まる。


 「その二つの世界のうちの一つは、天使により恐竜が蘇えさせられた世界。恐竜によって大勢の人々が殺されて、全人口は半数以上減ったわ。危機に瀕した人類は結託して、一つの国を建てた。今も凶暴な恐竜共に人類が抗う世界、私は『異界』と呼ぶわ。そしてもう一つの世界は、悪魔が召喚された世界。ここで分かってることは、天使が要因で悪魔が召喚されたということと、人類はすでに滅亡した、ってことだけね。それ以外は全く情報がないの。未知だらけのこの世界はそのまま『地獄』と呼んでるわ。………それでね、私には一人、兄がいたの」

 ずっと元気だったミールの顔が少し曇り、声に勢いが消える。


 「とっても頭がよくて、強くて、誰にでも優しかった。照れ屋で、不器用だったけど、私を一番に愛してくれた。そんな兄も『奴ら』を止めに地獄へ行くことになった。みんな頭に血がのぼってて冷静じゃなかったけど、兄だけは、兄さんだけは、分かっていたの。もうここには帰ってこれないって。だから兄さんは、出る直前に私に最後、『絶対こちらに使者を送るから、だからあとは頼んだ』って、本当に悲しそうな顔をして、そのひとことだけ残して去っていったわ。だから私は、この言葉を信じて、ここでずっと待っていた。…そして、ついに、ついにこの時がきた!そう!アラチカイキ、あなたは兄に選ばれた使者、この世界の救世主ってことよってええええっ!なんで後ろ向いてるの!?」


 …………やめろよ!こういう、心にくる系はやっぱ無理だ。俺は五年生になったときにもう泣かないって決めたんだから、家族感動系ホントやめて!一息ついて、鼻をすすりつつ振りかえる。


 「無理だ」


 「ええっ!?無理って、まだそんな詳しく…」

 「どうせ異界やら地獄やらに行って、ボスキャラと戦ってこいとかだろ?無理だ。成績まずまず、運動そこそこ、特技ドラクエのレベル上げくらいの俺にそんな力はない」

 「うっ…… でもあなた、兄さんに選ばれたのよ?全世界全時間のなかからあなたが」

 「兄さんから選ばれたって…… じゃああんたの兄貴のせいで俺は死んだってことか?」


 それを聞いたマールが固まる。みるみるうちにつり上がる眉と、手を腰に当てグイっと顔を海輝に近づけて。


 「はあぁ?兄さんをそんな風に言わないでくれる?きっとたまたまあなたが今日死んだとか、あなたが産まれること自体が兄さんの仕掛けだったとか、そんなとこよ!そうじゃなきゃあの完璧兄さんが考えなしに、あなたみたいな、パッとしなくて冴えなさそうで、頭悪そうでダサくて心がみにくひはい!いはいいはいやえてぇぇぇぇ!」


 兄のこと言うと急に口悪いなこいつ、ブラコンめ。言いたい放題言ってくれるから、とりあえず頬引っ張ってみたが、こいつ誰かに似てるかと思ったら……


 「…なあ、もし俺がこの問題全部解決したら、その後俺はどうなる?」


 「それは心配ないわ!もちろん、全て終わったらあなたを元の世界へ戻してあげる!」

 頬は真っ赤だが、その輝く目は嘘を言ってないようだった。


 「……もし断ったら?」

 「………説得し続けるわ!」


 妙に納得できるその返答に、思わず噴き出す。…妹や潤、いろんな人に迷惑かけてるな。やっぱり本音は、戻れるのなら今すぐにあの場所へ戻りたい。


 「言い分は分かった。できるなら俺も手助けしたい、けど本当に戦う力がないんだ。何か変なパワーとか、チートアイテムとか授けてくれないのか?」


 「ちっちっちっ、甘いわねゆとり世代。力を手に入れるためには自らつけるのみ!変なパワーとかはあげれないけど、あそこで修行してもらうわ!」


 ! 指差す方向には小さな時計と扉。 修行……


「あそこの部屋は時間がゆっくり流れるようにしてあるの!たしか一週間が、あっちで一ヶ月とかだったかな?まあとにかく!あそこでゆっくり修行できるわ!」


 妹、潤。今すぐ戻って安心させたい。面倒くさいことは放っぽけて、お前らに会いたい。

 だから、俺は、


 「やります」

 「決まりね!じゃあさっそくあの部屋へ行きましょう!」

 

 それでもエリート戦士になりたかった。

 

本当に素人でまだまだ勉強不足なので、よければ些細なところでもアドバイスをどうかおねがいします。

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