第1話 運命と出会い
多少短いですがお許しを!
「……………………は?」
どこかに落とされたような感覚に襲われ、目を開けるとそこは、西洋をモチーフにしたであろうバカでかい聖堂、そして目の前に広がる一本の道。
いやいやいやいいやいやいや!はっ!?えええええええええっ!?
大混乱の頭を抑えて、頑張って今に至るまでを振り返ってみる。確か俺は、普通に起きて、普通に家を出て、潤に会って、登校してて、それであの交差点で…………
……交差点で?
だめだ、そこからのことがどうしても思い出せない。ここに落ちたときに頭を打ったせいか?そもそもなんでここに落ちたんだ?ここはどこだ?今は何時だ?
「パニックのバーゲンセールだな…」
パニックに乗じてエリート戦士みたいにかっこつけてみたが、現状は何も変わらない。辺りを見回してみるが、道はこの一本しかないようだ。
しかしよく作られてんなこれ。ほとんど石でできてるっぽいが完成度がやばすぎる。一切触らないようにしよう。
エリート戦士のおかげでほんの少し冷静さを取り戻した俺は、行動を起こすしかないと、道を進むことにした。それにしても遠いわ。ゴールは見えてるが、距離が尋常じゃない。はあぁ、っとため息をつきながらも一歩一歩進んでいった。
おそらく30分は経っただろう。なぜなら寂しまぎれに歌を歌っていたが、チャラヘッチャラと60回以上言ったことは確かだからだ。ようやく着いた。バカでかい聖堂に見合ったバカでかい扉だ。押すんでいいんだよなこれ…?
不安、混乱と、自分を見失いそうなほど精神は疲弊していたが、深く息をつき、意を固めてゆっくりと扉を押す。少しずつ漏れ出す光の眩しさに、思わず目を閉じながらも押し進む。扉を開け切った後、ゆっくりと目を開けた。
「……なんだこれっ!?でっっっっっけぇ!」
それは、このでかい聖堂にすら見合わない。人の手では作りえない。天井にこそ届きはしないが、正面の壁の一面を覆うほどの。時計だった。
「アラチカイキ!よく来たわね!!」
どこからか声が聞こえる。幼そうな声だが、誰だ?こいつ、俺のこと知ってるのか…?
「誰かいるのか!?本当に何もかも分からないんだ、何か知ってるなら教えてくれ!」
「ここよ!!」
上からかっ!
反射的に時計の上を見上げる。そして自分の目を疑った。中学生くらいだろう。小柄で、ベージュ色の髪で肩くらいまでの長さ。典型的な、美少女のなかの美少女。白いワンピース。そしてなにより、
「翼…………!?」
翼が生えていた。そんな女の子が、重力などないように、時計の上からゆっくり降りてくる。
「はじめまして!!私はミール!ここを管理してる、いわゆる天使よ!」
降り立つと同時に、元気な声で、満面の笑みで、そう言った天使。
頭がどうにかなりそうだった。
2話同時投稿です!