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「よし、全員作戦は頭に入れてるな?作戦通りに行くぞ!」

『おう!』

『任せとけ!』

『アルトの方こそ作戦頭に入っているのか?』


最後の一人の言葉で笑いが生まれる。

アルトのコブある声で弛緩していた空気が和らぐ。


「緊張感がある奴らじゃないのは分かっていたが、後で全員しばき倒す!」


握り拳を作って皆の前に見せると、辺りは静かになる。


「仕方ねぇ。もう一度確認するぞ?」


念のため再度作戦の確認を行い、アルトの指示でそれぞれが作戦通りの行動を取る。


無人を四方から追い込むように全員が散開して様子を伺う。


息を殺してバレないように。

部隊は二つに別れる。


一つ目の狙撃部隊は無人から一定の距離を取り、狙撃ポイントを見つけてその場からじっと指示があるまで動かないようにしていた。


二つ目の近接部隊は足音で気付かれないように細心の注意を払い、無人のねぐらとなっている場所まで行動する。


やがて、全員が所定の配置に付いて、後は最終確認を行うアルトの合図を待つだけだった。


彼らの的確な行動のおかげで、今回も順調に事が進みそうだとアルトは思いながら、全員の配置を確認する。


「よし、全員所定の配置に付いたな。無人は未だに動く様子はなしか……。こっちとしては都合が良いな。さて、行くぞリース!今日も無人を狩るぞ!」

「うん、分かった。アルトも私の足引っ張らないようにしてね」

「リーダーの俺にそれを言うのかよっ⁉︎」

「ふふっ、集中するから黙って」

「酷い言われようだな⁉︎」


リースがアルトをからかい、小悪魔のように笑う。


「全く……。お前のオンオフの切り替えスイッチはどこにあるんだか……」


彼女の笑みを一度見てしまえば、アルトに怒る気力は起きない。


しかし、眼を見張るのは一度戦闘スイッチが入れば、彼女の集中力は凄まじい。


アルトは安心して自身の仕事に全うする。

静かにその時を待ち、リースの準備が整うのを待機し耐える。


そして、準備を終えたリースはアルトに視線を送り、一つ頷いて指示を出すよう促す。


「準備は整った!全員行くぞ!」


アルトが手を挙げて、全員に合図を送る。

それを皮切りに仲間達が一斉に無人に向かって走る。


一目散に駆け寄った仲間に続いて、アルトも無人に近づく。


近接部隊が無人の手足を削ぐために武器を具現化する。


『燃えろ私怨!』


その言葉に反応した武器が呼応するように全員の手に現れる。


彼らに続いてアルトも武器を出す。


「燃えよ私怨!」


相性を唱え終えると、その手に武器が具現化する。


彼の武器は巨大な斧だった。

無人の強靭な体をいとも簡単に潰すかの如く。


その武器は無人の体を容易く切り裂き、真っ二つに断裂し、体を奪っていく。


他の仲間達も同様に三日月のような湾曲のサーベルや貫くのに特化した槍を具現化させ、硬い装甲で覆われた無人の体に攻撃を加える。


力を加えた武器が無人の体を切断し、行動力を削いでいく。


アルトの作戦は見事に成功していた。

瞬く間に無人達は、その生命を奪われていく。


作戦の餌食となった無人に成す術はない。

生命の理に置いて、敵より先に思考の先読みをする。


人間同士が相手ではない以上、無人が考えていることは分からない。


だが、ある程度の行動パターンを把握し、その全てを頭にインプットすることで、先読みに近い戦術を編み出している。


考えを読むことはそう難しくはなかった。

何故なら、奴らは人間を狙う。


ならば、その隙を突けばいいだけだ。

自分達を狙うならば、その自分達を餌として与えてやればいい。


そうすれば、自ずと無人は考えている行動を取る。


足を狙われた無人は動かなくなり、アルトの指示を受けた仲間達の無慈悲な攻撃が飛んでくる。


同情はない。

これが奪う者と奪われる者の違いだろう。


一歩間違えれば、狩られていたのは自分達かもしれない。


同情なんてしてる暇はアルト達にはなかった。


これが親しみのある生物であっても感情を抱いたかどうかも分からない。


雄叫びを上げて力尽きる無人の姿に、アルトは確かな感触を実感する。


今日も無事に終わりそうだ。

ホッと胸を撫で下ろす。


初めに感じていた懸念材料など既に頭の中にはない。

不安を忘れて無人を狩ることに没頭する。


やがて、全員の攻撃力を持って四体の無人を討伐することに成功する。


近接部隊が無人の足を削いでいる間に、狙撃部隊が無人の体に弾丸を当て、風穴をあける。


狙撃部隊の賢明な攻撃により、近接部隊はだいぶ楽に片付いたと思っていた。


今日も無人の討伐が終わる。

それは彼らの仕事の終わりを意味していて、気の緩む者もいた。


彼らの目の前には無人の残骸がある。

それは動くことはない。


確実に四体の無人を倒した。

倒した手応えがあったからこそ、全員が安堵の様子で談笑する。


ただ一人を除いてはーーー。

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