表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/106

error code.84

無人を倒して帰還した三人はその胸にある疑念を抱いていた。


抱いた疑念を解き明かすためにアリア達は彼女のことをよく知っている人物であるカルーラの元へと足を運んでいた。


彼がいる場所はテントが張られた一角。

ひっそりとその場に位置する。


腹が減る頃合いになった時刻ーーー。


テントにいた女性陣が暗くなった空を確認し外に出る。


彼女達は今晩の支度をするためにあちこちに散らばっている葉をかき集めて焚き火を始める。


かき集めた葉に火を起こすと、その火を使って夕食の準備が開始される。


彼女達と入れ替わるように外に出る男性陣。

彼らは、次の日の食材を取るべく狩りに出かけた。


しかし、そう遠くまで行くことはなくなるべく近場で狩れる食材を集めて引き返す。


夕食の支度が終わると同時に遠くまで足を運んで取ってきた食料を女性陣に渡すと彼女達はその食材を手に取り調理する。


外は夜が訪れ辺りはすっかり暗くなる。

そんな中で楽しそうに談笑する男女の声が聞こえる。


平穏な日々とは言い難いが、今日は比較的に良き日だった。


無人が向かって来て一時は生死が問われるような深刻な状態だったが、アリア達がその脅威から自分達を守ってくれたという事実に全員が歓喜を覚える。


そのお礼も兼ねての食事会が行われた。

アリア達を中心に楽しい会話が飛び交う。


彼らがどう旅をしてどのような経緯でこの場所に来たのかを興味津々に聞いている。


他の者達が歓喜に浸っている中―――


一人訝し気な表情のリースは誰とも話したくないのだろうか。

テントで籠ったまま出てこないらしい。


そのことを事前に聞いていたアリアは今日の出来事が頭を巡る。


同時にリースも今日の出来事を振り返っていた。

勝手な行動をした上に忠告を守らずに向かってきたアリアに対しての怒りが収まらない。


自分と変わらない年齢の彼女に。

その勇敢さは認めるが、無謀とも取れる行動に叱責を加えたくなった。


自分の方が大人びているからという単純な理由ではなく―――


ふと、上を見上げる。


そこはテントの中だ。

当然、空は見えない。


だが、上を見上げたくなった。

なぜか分からない。


上を見上げたくなる時を自分にはあるのかと思い、目を細める。


暫し上を見上げた後。


今日はやけにテントの外が気になり、そっと覗いてみる。


暗いーーー。


とても暗いーーー。

夜は一層増していく。


その夜の暗さを紛らわすために火を焚いている。

瞬き揺れ動く炎に視線を合わせながら、その先にいた人物達の姿が目に入る。


その姿を見た瞬間ーーー自身の中で再び湧き上がるものがあった。


自分がこうなっている原因の彼女ーーーアリアは地面に座り込んでいるカルーラと話をしていた。


静寂が辺りを包み込む中―――

アリアは真剣な瞳でカラーラを見つめ、自身の中に抱いていた疑問をぶつけるように問いただした。


「カルーラさん教えてください。どうしてリースちゃんは……あんなにも過敏に私達が来ることを拒んでいたのですか?」


話を伺いたいというアリアのお願いを承諾したカルーラだったが、存外飛んできた質問の内容に低く音を上げ唸る。


「……ふむ」


アリアのじっとこちらを見つめてくる瞳にカルーラは普段の落ち着いた雰囲気とは違いたじろいでいるように見えた。


口から出た質問に対する答えをカルーラが出すまでアリアはじっと待っている。


「リースが貴方方の助力を拒んだ……ということですか」

「そうです」

「尋常ではないくらい拒否されていましたよ」


アルマリアが付け足すように言う。

一度彼女を見た後、カルーラは視線を下に落とした。


「ふむ……」


カルーラは再び唸る。

すると―――


「誰かの助けを借りることを極端に嫌っているとなると、単にプライドが高いのか。それとも一人で功績を物にしたい我欲の強い人間かだが……。それにしたって異常なまでの拒否反応を垣間見た。あそこまで一人で固執するには何かしらの深い事情、もしくは理由があるのではないか?」


カルーラが答えるよりも前に口を開いた人物がいた。

視線を下げていたカルーラが声のする方を見る。


視線の先には紳士服を見に纏ったユースティアが鋭い眼光を向けて見つめている。


その鋭い視線はカルーラに向けられていた。

射抜くような冷たい目に。


「……」

「どうなんだ?」


的確な彼の言葉にカルーラは思わず無言になる。

よそから来た客人にこのような話をするのは多少気が引けるのだが―――


「まぁ、宜しいでしょう。貴方方の真剣さに根負けしました。お話致します」

「やっぱりリースちゃんが一人に拘るのには何か理由があるってことですよね?」

「左様です。あの子が一人で無人と立ち向かうようになったのにはきちんとした理由がございます。あれはまだリースが幼い頃のお話です―――」



★☆★

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ