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序章:始まり(中)

「キジ!どうにかならないのかよっ!」

バックステップを使って、うまくライジの攻撃を避ける。

「なるか。」

キジもキジで独特のステップをつかって避けた。

ドコーン!

すごい大きな音が響き渡る。その音を聞いて動物たちが逃げていった。

「くっくっく、流石に手も足もでないか!ぐふふ、人間など弱い下等生物なのだ!」

ネメアの獅子に操られているライジが、天を向いて不気味な笑いをした。

「そんな黒人の器で言われても・・・。」

キジは、若干不慣れなようだ。ま、俺もなれないが。

「このまま、防戦一方だと確実に長引くぞ?」

「そのようだ。」

「しかも、則られている状態とはいえ元は人間の身体だ。あんなことしていたら・・・。」

「だが、攻撃したらライジにダメージが残るぞ?」

「じゃあ、どうすれば!」

「リンと京子に任せるしかないだろう。」

「・・・何にも対策が立てられないのか。」

結局、人任せになってしまったらしい。

「頑張ってくれ。」

そう願うしかなかった。







「今よ!」

「OK!」

合図と同時に攻撃する。

「遅い!」

しかし、後一歩と言うところで避けられる。私の『土』はコントロール重視に対して、京子ちゃんの『風』はスピード重視。

「もー、京子ちゃん。もっと、遅くしてよ!」

私の『土』は、京子ちゃんの『風』のスピードについていけない。

「無理だよ!これでも精一杯スピード落としてんだから!」

「ふふふ、味方同士でいがみ合ってどおする?」

ネメアの獅子が片手を挙げながら突っ込んできた。近づいたた振り下ろす気だ。

「く、やあ!」

私は、地面に手をつけて周りの土を盛り上げて京子ちゃんと一緒に守る形にする。

「流石リンだね。コントロール抜群じゃん♪」

「この壁は一分も持たないわ!急いで次に。」

「わかってる。」

そう言って、目を瞑って集中する。私は細長い塔を作るイメージを頭の中に描く。

獅子が、刺さるような大きな塔。

「準備OKだよ、リン。」

「分かったわ!」

目を開き壁に触る。そして、爆発するイメージを描く。すると、見事に壁が全方へ爆発した。

「キャン!」

そんな声をだしながら

「お、可愛い声出せるじゃん!」

京子ちゃんは、頭の上にためていた大きな風で出来た玉を獅子に向かって投げる。しかし、獅子もあたらないように立とうとする。

「逃がさないわ!」

さっきのイメージを呼び戻して、奴の四肢に貫かせる。が・・・

「な・・・!」

貫くどころか、『土』をあげたのにもかかわらず削られてしまった。それほどまで奴の皮膚は

「硬い・・・!」

奴は当然とした様子で、すぐさま立ち上がって避ける。

「どーやら、リンの『土』は一切効かないらしいね。」

「そうみたいね。」

奴の攻撃を避けながら戦う。『巻物』を使うのに馴れているとは言え、正直長時間使えない。

「取り合えず、作戦考えないとまずいぞ。」

「そうね。いつも通りという訳には行かないみたいね。」

考えて、私。こういう時こそ、頭を使わないと。

「どぉするよ?」

京子ちゃんがキツそうに尋ねて来る。

「そうね、取り合えず弱点を見つけないと。」

視線を獅子に向ける。硬そうな皮膚で全身が覆われていて片目が塞がっている。一見、獅子に見えるが太陽の光に浴びるたびに光る皮膚。ん、待って。―――そういえば。

「京子ちゃん、祈祷君はこの敵と戦ってたっていってたわよね?」

「え?うん。」

「・・・。」

つい、ニヤリと笑ってしまう。

「私の賭けに乗ってくれる?」

「いいよ!」

京子ちゃんもニヤリと笑った。

「じゃあ、まず私たちを『風』の上に乗って移動すうわよ。」

「そんなこと出来るわけないぜ?」

「京子ちゃん、その言い方おかしいわよ?」

「え?」

「じゃあ、まず太い板をイメージして。」

「うん」

京子ちゃんがイメージしている間に私は、長細い大きな壁獅子にぶつけ、距離を取る。

「く、小賢しい!我にそんな攻撃きく思っているのか!」

獅子は、だんだん苛付いて来ているようだ。

「できたよ。」

「なら、『風』でその板を作って。」

頼むと京子ちゃんの周りに『風』が集まる。

「何をしたいのか分からんが、ふざけるな!!!」

獅子が突っ込んで来る。

「出来たよ!」

「じゃあ、乗って!」

そう言って私と京子ちゃんは、『風の板』に乗る。獅子が木を使ってすばやくこっちにくる。

「上がって!早く!」

「分かった!」

ひゅうう!!変な音がなる。が、見事、上へ上がる事が出来た。

「こんな使い方があるなんて・・・。」

京子ちゃんはびっくりしている。

「きっと馴れればもう少し小さくても上がる事が出来るようになるわ。さてと、次行くわよ!」

「次?」

「そう、次よ。」

そう言って、ネメアの獅子が私たちを探しているうちに作戦を京子ちゃんに伝えた。






「キジ、流石に疲れてくるな。」

「同感だ。」

キジと俺は、長時間の防戦に耐えていた。武道派ではない俺らにとって結構キツイものだ。一発当たれば重症の攻撃だし、当たり所が悪ければ即死の攻撃だ。そんな状態の中に放り込まれたら、どっと疲れるだろう。

「なあ、やっぱこっちは気絶させるまでの攻撃したほうがいいんじゃないか?」

俺は、息を切らしながらキジに話しかける。

「だな。」

彼も、エネルギー消費は最小限に押さえたいらしい。

「うるせぇえ!!」

ライジが、俺に標的を定めラリアットを仕掛けてくる。もともと、ストライプスという軍関係の仕事で鍛えられている。それに加え、『魔獣』に操られて、普通の時よりも本能が鋭くなり数倍強くなっている。それだけならまだいい。さらに、憎悪が心の割合をほとんど占めていると思われる。やっぱり、憎しみや怒りは、通常の図りきれない力が生まれる。もう、『普通』には戻れない領域に達している。

「っく!」

そんな攻撃を側転で何とか避けきることに成功した。靴にちょっとかする攻撃。俺は、油断した。『かすったぐらいじゃあ大丈夫だろう』と。しかし、そんな憶測は所詮憶測だった。

「がぁぁ!!」

ちょっとかすった靴は吹っ飛び、俺は、三回転ほどして地面に付いた。そう『かすっただけ』という憶測は『人間』だけに通じるもの。ライジは、もうその域からはみ出している。そう、『すでに人間ではない』。

「大丈夫か!」

キジが叫び、ライジに向かって飛び蹴りを放つ。俺に気をとられていたライジは、『人間の器』なため吹っ飛んだ。

「ぐ、かすっちまった。」

「立てるか?」

「ああ。」

足に激痛が走る。青くなっているに違いない。が、そんなことで立てないなんてハンターは甘くない。そんなのを引きずっている人が待っているのは死だ。

「ああああ!!!カスどもが!!」

ライジは、キレた様に立ち上った。そして、キジにめがけてパンチを放った。が、軽々とパンチをキジによって避けられた、地面へと激突した。地面は、彼の生き良いを受け止めきれずひびが入った。

「てめえら!呑気に話してんじゃねー!!」

ライジの檄が飛ぶ。

「やっぱ、すげえ力だな。」

「ああ、『巻物』を使ってもあそこまでは無理だな。」

「やっぱ、『巻物』使わんとちときついか。」

キジも限界を感じているらしい。

「じゃあ、どっちがいく?」

「祈祷、お前言ったほうがいいかもしれん。」

「なんで?」

「俺よりお前の方が読む時間短いし。」

「わかった。じゃ、足止めよろしく!」

俺は、できるだけ明るくいった。ポーチから『巻物』を取り出しながら遠くに逃げた。

「ふん。早くしろよ?」

後ろで、小さい声が聞こえた。



「お前俺を舐めてんのか?」

「は?お前なんぞ俺一人でもいけるわ」

・・・こんな操られるほどの精神の持ち主が俺らに勝るなんて思えんがな。

「くそがぁ!てめぇ、防戦一方の癖に舐めたこといってんじゃねぇぇぇ!!!」

そんな声に、ついカチーンと来てしまう。

「黙れ!お前の攻撃当たれて居ないくせに!」

「がああああ!!!」

第二ラウンドが始まった。






「いくよ、京子ちゃん!」

「おう!」

私と京子ちゃんは作戦会議を終えた後、自分の集中力を高めていた。これからやる事は、いつもと違ったことをするし気を引き締めなくてはならない。

「いたわ!1時の方向よ!」

「OK!」

私は、自分の本能をできるだけ鋭くしながら、奴の所に向かう。『土』の能力は、京子ちゃんの『風』や祈祷君の『水』と違って地面に触れなくてはなっらないから不便だ。『風』に乗って、上に上がっている時点で私の能力は無意味。だから、集中して能力を使っている京子ちゃんの目になって上げなくてはならない。

「目標がこちらに気付いたわ!」

「じゃあ、足止めしないとな!」

京子ちゃんは、カッと目を見開き闘志を剥き出しにした。その瞬間、京子ちゃんの手に『風』が集まっていくのが分かる。『巻物』を使うものだから分かるのかもしれないが、なぜか『力』の集まり具合が直感だか分かる。

「はぁ!」

そう言って見えないカッターを獅子にぶつける。だがキン!っという金属音とともに防がれてしまった。だが、ここまでは計算のうちだ。

「じゃあ、行くよ!」

京子ちゃんの掛け声とともに『風』の板から下りる。

「よし!」

私が、合図のよう声をだす。獅子は、降りたり上がったりしていて混乱気味だ。

「今よ、京子ちゃん!」

「うん。」

合図と同時に術を出す。私は、『上』から、京子ちゃんは『下』から。

「!!!」

「あなたは、私たちを馬鹿にしすぎよ。あなたの近くにトンネルを掘って、そこに京子ちゃんの『風』が通れば簡単にこんな事出来るわ。」

「そうそう。俺の『風』にリンの『土』をプラスさせれば何処でも運べるっつーの!」

「な!しまっ!」

ドカーン!

私と京子ちゃんが放った攻撃が見事顔に命中した!

「よっしゃ!」

「やった・・・!」

私たちはついがガッツポーズを同時にしてしまった。

「でも、リン。なんであれが食らうってわかったの?」

「ネメアの獅子の目にダメージが残っていたでしょ?」

「うん。」

「アレは、最近出来たあとだった。だから、多分だけど祈祷君がつけたんじゃないかなって思ったの。」

「へぇ〜。」

「それに、弱点があるみたいなの。」

「弱点?」

「『魔獣』と呼ばれる種族は、本来『知能』と『本能』が兼ね備えている種族とされているわ。一見強そうに見えるけど、実は、そうでもないみたい。『本能』とは、動物個体が、学習・条件反射や経験によらず、生得的にもつ行動様式。特に防御本能は、生死に関わる大切な機能でしょ。でも、その機能は獅子の頭の中でとても壁が出来てしまう事になるの。『知能』というなの壁がね。人間のように物事で、考えようとする生物と違い、『野生』という名の社会で生きているネメアの獅子にとって『本能』が強くなるはずなのよ。でも、さっきの感じを見てみれば分かるように物事で考えてしまっているの。まるで、人間みたいにね。本当は、『本能』で動く生物なのに、『知能』で考えてしまう。そんなことしていたら、二つの考えが同意に起きて、錯乱してそまう。その錯乱のせいで思考が一時的に止まるのは必然なの。」

「???」

どうやら、京子ちゃんには、理解できていないみたい。

「簡単に言えば、馬鹿だから私の罠にはまったの。」

「ただの馬鹿じゃん。」

「そうだよ。」

あんな攻撃、本当ならバックステップか、サイドステップで避けられるもの。でも、出来るはずが無かった。『知能』がそこらの生物より良いからって、馴れない頭を『人間みたい』に使って考えながら行動しようなんて無理に決まっている。下手に頭を使わなかったら、『本能』というなの『生き抜く力』が私たちを飲み込んでたかもしれない。

「じゃあ、リン。祈祷のところにいくか!」

「京子ちゃん!『いくか』じゃなくて『いこうよ』でしょ!」

「気にしない。」

「気にしなさい!」

そう言って、獅子に背を向けた。が

「ぐ・・・るる!」

「「!!!」」

奴は、口からものすごい量の血が出ていた。しかし、それを感じさせない感じで立ち上がった。

「くっ・・・!」

油断した。ちゃんとトドメを刺せたか確認しとくべきだった。緊張と解けてしまった瞬間、『巻物』の効果も切れてしまっている。京子ちゃんも予想外だったらしく、『巻物』の効果を切っていた。

「グルル・・・浅はかな娘どもだ。我があの程度で死ぬとでも思ったか!」

ネメアの獅子は、ゆっくりと近づいてくる。この距離じゃあ、『封字』を読む時間は絶対に足りない。しかも、ダメージはあるとはいえこの余裕。私たちを食らうくらいできるであろう。

「京子ちゃん!私が、相手をするわ!祈祷君たちを呼んできて!」

「そ、そんなこと!」

京子ちゃんは、声を震えながら叫ぶ。

「これでも、年長者よ。最後くらい、いい事してあげたいじゃない。」

「・・・っ。」

京子ちゃんから涙が流れそうになる。

「はやく!」

「・・・絶対生き残っていてね!」

「わかった。」

そう言って、京子ちゃんがダッシュしてこの場を立ち去る。

「ほほぉ、チーム愛か。」

「『魔獣』の癖に気使ってくれてありがとう。」

「我は、器が大きいのでな。あの小娘はお主の覚悟に免じて助けてやるわ。」

「そう、それは良かった。」

「では、おとなしくしとれば楽に逝かせてよるぞ。」

「あらあら、余計な心配はしなくても結構よ。私、抵抗しないなんていつ言ったのかしら?」

そう言って、バックの中から、コンバットナイフと、長剣を取り出す。そして、右手には長剣。左手には、ナイフ。これが、私のスタイル。両利きの私には、もってこいのスタイル。だけど、この魔獣バケモノには皆無。うまくいっても相討ち。悪ければ、何にも出来ずに死ぬ。・・・それだけは、避けたい。どうせ、終わるのならこの『魔獣』を退治しよう。そう心に決める。

「はぁぁぁ!!」

私は、長剣を大きく振り上げ奴を斬った。が、キンという音と共に空しく折れてしまった。

「ふん、こんなもの効かぬわ!」

がはは、と大声で笑い始めた。その声で、ぜんまいのねじが切れた人形のようにガクンと地面に膝をつける。

「最後の抵抗もこの程度。やはり、人間なぞ弱きものよ!」

「くっ。」

分かってはいた。だが、現実を突き付けられるは、ここまで悲しいものなのか。ナイフほどまで折れてしまった長剣を見て、いろんな思い出が走馬灯のように駆け抜けた。

こんな風に思うなんて死ぬ前のようだ。

いや、死ぬ前なんだ。

「あはは・・・。」

つい、笑いが出てしまう。きっと、実感がないからだろう。

「では、地獄でな!」

そう言って、奴は手を振り上げ爪を立てる。逃げれるわけも無く、頭が真っ白になって目をぎゅっと瞑った。




私は、ここで気を失ってしまった。


こんにちは、作者の封雷光です。

まずは、更新について読者の方に深く謝罪したいと思います。楽しみにしてくれている読者の方々すいませんでした。正直いって、テストやら何やらで更新が伸びに伸びこんなに遅くなってしまいました。


この小説は、本気で書いています。ので、この様な自体が再度起こるかもしれません。が、必ず更新します。ので、最後までお付き合い頂けたら幸いです。



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