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序章:始まり(上)

あれから一週間経った。ライジは、全治二ヶ月となったがまたストライプスに復帰できることになった。

「祈祷、生きているか?」

そう言って入ってきたのはうちの社長だ。俺はあの後、病院に搬送され全治二週間を言い渡された。

「生きてます。死に掛けましたが。」

「・・・それは良かった。」

「社長、今の間はなんですか?」

俺は、最高の笑みで聞いた。

「・・・・。」

なぜ黙るんだ、社長?

「仕事はいつ復帰できるかわかった?」

「3週間ぐらいと聞いています。」

「ほぉ、給料は当分・・・」

なるほど、あの『魔物』退治の報酬を渡したくないのかぁ。

「わかりました。あ、社長。」

「何かね?」

「『魔物』退治の報酬は下さいね。」

「・・・・。」

なぜ、黙るんですか、社長?

「さて、そんな話は置いといて。何のためにきたんですか?お見舞いなんて柄じゃないでしょう。」

社長は、社員を大切にしない。その証拠に、依頼の内容とそれ相応の報酬となればどこにでも社員を投入する。この前、うちの社員のキジが魔物がうじゃうじゃいる森に投入した。

「・・・わかっていたのか。」

「はい。」

「最近他の街で『魔物』の暴走が頻繁に起きるようになった。」

・・・なに?

「い、今なんて・・・?」

「だから、『魔物』の暴走の頻度が上がったんだ。それもかなりにな。他の街で犠牲者が大量にでている。」

「!!!」

あんなのが全世界で?そんなことになったら・・・。

「でだ、お前のようなハンターを全世界から徴収されることになった。理由は、いわなくても分かるよな?」

「・・・このままだと、人類が滅んでしまうから。」

現在の人類は、10億人程度。その中でハンターは、1万人以下。街は一万ぐらいある。数字を見て分かるようにハンターのいない街がある。そんな街が、『魔物』の暴走を停められるとは思えない。ってことはハンターがいない街は壊滅状態。人がもっと減っていく。

「正解だ。今から起こる事くらい予測がつくだろ?」

「『魔物』の暴走をとめる。」

「または、『魔物』を全員殺す。」

社長が言った。

「・・・そういう考えもありますね。とりあえず、どこに徴収されるんですか?」

「旧ブラジル地区、オーストラリア地区、南アフリカ地区だ。」

「『魔物』のすくない地域ですね。」

「ああ、これ以上ハンターが死なないようにするためだ。」

「・・・。」

『革命』のとき落とされた核兵器は、北極に落ちた。『未来の手』に、近ければ近いほど人の形が無くなっていく。そのため、北に『魔物』が集中し、南に人間、赤道あたりには、『魔人』が集中した。

「いつでればいいですか?」

「明日からだ。この街も時期に破棄される。」

「・・・なに!」

「この地域は、旧日本地区。『魔人』が多いとはいえ、いつまた『魔物』が暴走するかわからねぇ。」

「・・・。」

しょうがないか・・・。

「いいか、会社にある12の『巻物』をどんな事があっても守るんだ。」

「わかった。」

今会社にある『巻物』は『装幀巻物』を除いて12ある。あるが、その中の4つは『究極の巻物』と社長が呼び、封印している。

「もう皆で準備を終わらせている。必要なものだけいえ。お前の家から持ってくる。」

「そんなものはない。」

俺には、家族がいない。理由は簡単。父も母もハンターで『魔物』退治のとき一緒に死んだからだ。一人っ子だった俺はいく当てもなく二人が働いていた会社に引き取られた。その後、その恩返しか社長の会社で働いてる。

「・・・そうか。」




次の日、早朝に病院を抜け出すと3人の会社の同僚が玄関にいた。

「おはよ、祈祷♪」

「おはうございます、祈祷君。」

「早いな。」

彼らを順に説明すると、一番最初に話しかけてきたのは一番若い京子だ。彼女は、長い髪の純日本系の顔立ち。社長から言うと「巫女の服を着たら似合う女」らしい。因みに、俺も純日本人で「てんぱー」というものらしい。

次に、話しかけてきたのは見るからに優しそうな顔をしているリンだ。彼女は髪が茶髪で目が蒼いところをみると色々な人種が混じっているらしい。最後に話しかけてきたのは、親友で幼馴染のキジだ。

彼は、リンの妹で、髪の色や目の色がそっくりだ。俗にいう「いけめん」というものらしい。

・・・まったく、社長のいっている言葉はまったく分からない。

「おはよう、皆。」

「・・・傷大丈夫なのか?」

そうキジが話しかけてくる。・・・ん?

「・・・大丈夫だ。というか、痛みがない?どういうことだ?」

そういって包帯を取ってみると

「!傷がなくなっている。」

「「「!!!」」」

一体何が・・・。

「皆さん待ってください。」

そんなこと考え得ていると声が聞こえた。ん、この声は?声の方を向くとライジが立っていた。

「僕も連れてってはくれませんか?」

「・・・だめだ。傷が治っているならともかく、傷が深かっただろう。傷を負ったものにこられても足手まといだ。」

「それが・・・傷がなくなっているんです。あなた同様に。」

「・・・。」

どういうことなんだ。なぜ、俺やライジの傷が無くなっているんだ・・・?

「戦力が増えるのは歓迎だ。誰かは知らんが連れていこう。」

そう考えているとキジがそう切り出した。

「おい!そんなこといって・・・!」

俺が反論する。

「良いに決まっているだろう。その身体つき、兵でもやっていたのだろう。」

「はい。ストライプスの隊長をやっていました。」

ライジが淡々と答える。

「ほぉ、益々好条件ではないか。」

「でも・・・。」

「はいはい。でも、だっては禁止だ。そんなこといっていたら話が進まない。簡単に奴が戦力になれそうなら連れて行けばいい。今見てどう見ても使えるし、戦力になるだろう。」

「・・・。」

「沈黙は肯定とみとめる。」

「・・・っ。じゃ、聞かせてくれ。何で一緒にいきたいんだ?」

「・・・『友達』が危険なところに行くのを見送るだけなんて嫌なんだ。。」

「おいおい、俺とお前はまだ一週間の仲だぜ?」

「・・・それでも、『友達』が危険なところに行くのを黙ってみているのは嫌なんだ。僕の友達は、『魔物』が暴走した時に僕が友達と言える人は全員死んだ。あの時、俺は何も出来なかった。・・・いや、しなかった。自分が死ぬのが怖くて。動けず、震えていた。皆が死んでいくのを見て、とても自己嫌悪に陥ったよ。・・・僕はもう嫌なんだ、あんなことは。もう自分だけ黙って見ているなんて、出来ない。」

「・・・。」

「繰返すが、沈黙は肯定と認めるぞ?」

キジが確認する。

「・・・。」

「じゃあ、よろしくな。俺はキジだ。」

「よろしく、僕の名はライジ。ストライプス第50番ライジ曹長です。」

そう言って特有の敬礼をする。これは、地方の軍とストライプスと間違えないようにするためと俺は考える。

「よろしくお願いしますね、ライジさん。私はリンです。」

「よろしくぅ!俺は、京子。」

「こら、京子ちゃん。俺じゃないでしょ?」

「いいじゃん!気にしない気にしない。」

「はぁ、まったく。」

といつもの様にリンと京子でコントを繰り広げた。

「ま、そんなことは置いといて。皆、俺の『巻物』持ってきてくれた?」

「ああ。ほらよ!」

そう言って、キジが二つの『巻物』を投げてきた。

「ありがとう。」

そう言って『封印』と『水』の『巻物』を受け取る。受け取ったら俺はいつものように装備する。装備といっても、服についている専用のポケットにいれるだけだが・・・。

「じゃ、いきますか。」

そうキジが言う。

「おう。」

そう言って俺等は、歩き始めた。




もう戻ってくることの無い街。そう考えると自然に涙が出そうになる。街を歩きながら色々な思い出が甦ってくる。良い思いでも・・・嫌な思いでも。他の街に行ったことないので、不安と好奇心でいっぱいだった。「どんな風何だろう」とかぐらいしか思いつかなかったけど。

そんな事考えているとキジが話しかけてきた。

「・・・この街ともお別れだな。」

「ええ、そうね。色々なことがあったわ。祈祷が木から落ちて大怪我して・・・。」

「そうそう、祈祷が大昔のホラー映画見て怖いって大泣きしたり・・・。」

「そうだね♪まったく、祈祷ったら・・・・」

「ストップ。皆さん俺の悪い思い出しか思いつかないの?」

「「「うん。」」」

「・・・。」

三人ともハモりやがった。しかも、ライジが笑いこらえてるってどういうこと?お前助けろよ。

「ま、そんなことはどっかに置いといて。本当に色々な事があったわね。」

多分皆同じ事を考えているのだろう。俺とリン姉弟と京子は親がいない。行方不明か死んでいるかのどちらかだ。

リン姉弟俺と同じく親が死んでいる。リン姉弟の親が病弱で、母親がしんですぐ後追うように死んだらしい。

問題なのは京子で。ある日会社前に京子が倒れているのを俺が見つけた。見ると傷だらけで何があったのか聞けないぐらいだ。実際今も聞けていない。

「ほらほら、みんなで白けた顔しないの。張り切っていこう!」

と京子が皆を元気つける。

「そうだな。」

とキジも続ける。

「じゃ、いきましょうか。」

とリンも続く。

「じゃ、行きますか。」

そういった瞬間。


「じゃあな、お前ら。」

って後ろから声が聞こえた。が、皆振り向かない。それが、『礼儀』だからだ。言い訳だろが何だろうが無視する。悪い思いばっかりしてきた。だが、そんな日々でも小さな幸せがあったしとても大切だった。

「・・・死ぬなよ。」

俺たちにとっては、彼はとても大切な『親』だった。






「な、キジ。俺たちどこに向かうの?」

俺は、旅立ってすぐ、キジに質問した。

「空港に向かって飛行機をチャーターしてオーストラリア地区に向かう。ま、オーストラリアに着かん限り次の目的地が分からない。」

「え、社長に聞いてないの?」

「おう。」

自信満々に言われてもなぁ。

「ま、オーストラリアの空港できけばいいさ。」

なんと能天気な・・・。

「・・・わかった。でもさ、この森通らなきゃだめ?」

「ああ。この森通らないと大分遠回りになる。」

「なになにぃ?祈祷びびってんの?」

「どんまいです、祈祷君。」

「お前ら俺に一斉攻撃やめろ。」

おいおい、なんでライジが笑ってるんだ?せめてこらえろよ。話を戻すが、俺らの目の前にはライジと戦った森が広がっていた。

「一日歩けば夕方には抜けられるから大丈夫だ。」

キジが補足する。

「とりあえず、いくか。」

「そうですね。」

「ごぉ〜!」

「・・・。」

「どうした、ライジ?」

キジが聞く。

「いや、なんでもありません。」

ライジが丁寧に答える。

「・・・そうか。」

キジは、半信半疑で頷いた。







森に入って行くと、この前の戦いの跡が痛いたしくのこっていた。ネメアの獅子と戦った所に近づくにしたがってライジが挙動不審になっていく。

「ライジ、気にするな。ネメアの獅子は・・・。」

俺が、ライジを落ち着かせようと話しかける。

「キロウク・・・サイイトラスロイエア・・・。」

「!」

今なんて・・・!

「・・・!」

「!!」

リンとキジがライジの異変に気付く。

「・・・どうした?」

京子は、気がついていないようだ。

「ライジ、どうしたんだ?」

「・・・。」

ライジは、聞いても気付かないかのごとく下を向いている。

「くっくっく。あっははははははは!!!」

ライジが大声で笑い始めた。

「お前ら本当に馬鹿だな!!!この人間の異変に気付かないなんて!!!」

「「「「!!!!」」」」

そう叫んだ瞬間。皆ライジから一斉に離れて『巻物』を開きながら『封字』を読む。

「は、お前らの『読む』時間は前回の戦いで把握している。後3分程度でつくからこいつと遊んでろ!」

そういったあとライジが剣を抜く。

「いいか、リンと京子は『読み』続けろ。俺と祈祷でライジをとめる。読み終わったら今から来る敵を始末してくれ。」

キジが一旦読むのをとめてに三人に指示を出す。三人が皆をみて頷く。キジは続ける。

「祈祷、ライジに何があった?」

「ライジと俺は一週間前に『魔物』退治の依頼でネメアの獅子と戦ったんだ。多分操っているのは奴だ。」

「・・・。」

キジが黙り込む。だが、なぜライジが操られているんだ。何が原因なんだ?そう考えているとライジが俺に突っ込んできた。

「おらおらおら!!しねぇ!!!」

大振りで攻撃してきたので軽く避けた。

「当たるかっ!」

前転で避ける。


どかぁーん。


気のせいだろうか。変な音がした。

「お、おい、祈祷。クレーターが出来てるぞ・・・。」

キジが震えながら言った。見ると直径5cmほどのクレーターが出来ていた。

「ま、まじかよ。早めにとめねえと、こちらが危ない。いくぞ、キジ!」

「おう!」

そう言って二人が挟み込むような陣形をつくる。

「「覚悟、ライジ!」」

見事にハモった。





「「――――解!!」」

俺とリンは、長い長い封字を読み終わり、敵の討伐に向かう。

「京子ちゃん、あなたと私が唱えた『巻物』は属性から言って真逆なの。だからあわせないと打ち消しあっちゃうわ。」

リンの言う通り、俺の『巻物』は『風』。リンの『巻物』は『土』だ。土は、風の通りを塞ぎ、風は土を風化させる。

「わかってる。こんびねーしょんって奴をすればいいいんでしょ?」

「社長の言葉を借りればそういうことね。」

「ガルルルルルル!!!!」

「「!!!」」

二人で喋っていると、俺とリンの前に戦うと思われる敵が現れた。硬そうな皮膚で全身が覆われていて片目が塞がっている。

一見、獅子ライオンに見えるが太陽の光に浴びるたびに光るところをみると普通じゃないことが分かる。

「じゃ、いくわよ、京子ちゃん。」

「わかった、いつでもいいぜ!」

「こら、いつでもいい『わよ』でしょ!」

そんな雑談しながら戦い始めた。

どうも、作者の封雷光です。

今回の話は下手したら一万五千字超えてしまいそうに二回に分ける事にしました。長くて申し訳ございません。

さてと、今回のお話ですが、急にメンバーが増えてしまって混乱する方もいる(と思いたい)のでキャラの自己紹介を一話につき一人していきたいと思います。

じゃあ、まずは主人公(?)を



名前:祈祷 19歳

性格:おっちょこちょい、ほとんどのことに面倒がる。

友達のこと第一に考え人の死を見るのを人一倍嫌う。

まんだか、いじめたくなるオーラがある

外見:純日本人。背が高く、なにげかっこいいが本人

が気付いてないので普通。

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