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序章:祈祷

――――この世はなぜ生まれたのだろう。



なぜ、生き、苦労して生きていき、死ぬんだろうか?俺には、よく分からない。俺は、何が目的で生きているのだ・・・。この世界は、こういう疑問が充満している。世界は、どこに向かっているのだろう。そんな質問は、誰も答えられない。なんせ、自分じゃ何もできないから。そう、何も・・・。



俺の名前は、祈祷〈きとう〉。昔の先祖は、色々長い名前だったが、『人』における部族差別がなくなった今となっては、廃止になった。これは、いい事なのだが、俺にとってはどうでもいい。

俺は、この『名のない都市』と言う名の街に住んでいる。名は、あるが、ないので複雑だ。

俺は、この街でハンターをしている。ハンターというのは、『食材集め』ということがおもな仕事だ。

金の価値が無くなってしまった現代において、報酬は、『巻物』『情報』さまざまなものを貰う。

クライアントは大抵、『巻物』を作る『封力師』か、コックぐらいだ。




俺は、いつも通り仕事場に出勤する。俺の仕事場は、『普通のオヒィス』みたいなところらしい。

社長は、超長寿の『エルフ』と言う部族だ。革命後から年をとってないらしい。まじかよ。

社長曰く、「『革命』が、起こる前の世界みたいな感じだ。昔が、懐かしい。」だそうだ。

『魔人』と呼ばれる部族は人間社会に残った部族は多い。一例として、『人』に一番近いエルフなんかは、未だに差別もうけず残っている。エルフと人の大きな違いは、寿命だ。エルフの寿命は、『2千年』らしい。

普通ならもう死んでいるはずなのだ。が、こうして生きていることは、微笑ましいことかもしれない。

「おい、祈祷。仕事がはいったぞ。」

微笑んでいると社長からご氏名を受けた。

「また、俺っすか。」

「ああ、お前だ。うちの社員は、俺入れて4人しかいないんだから、二人が出払ってしまったらお前しかないだろう。」

社長が笑顔で話してくれた。うちの会社は、社員が4人しかいない。ていうか、『巻物』を読めるのはこの街に俺らしか居らず、毎日忙しい。

「で、今回の以来依頼は?」

「今回の依頼は、『魔物』退治だ。」

「げ、本当ですか?」

「二人きりでうそをついても仕方がないだろう。」

「ま、まあ。」

『魔物』退治とは、『魔獣』が自分の力に飲み込まれてしまい暴走してしまたのを止めるという作業だ。

「なんで、そんな難しくて珍しい依頼がこんなところに来るんですか?街のストライプは、どうしたのですか?」

「ストライプが何とかならないから、俺らに頼むのだろう?」

世界は、『海底撈月戦争』以来国という大きなまとまりが無くなり、『ストライプ』という戦闘になれた兵隊を育成する機関を各地域で作った。

それと同時にストライプは、街を守るのを目的に作られた組織でもあり、一つの街に40人ほど送られる。ま、簡単に言えば、戦闘のプロだ。

「今も現場で戦っているらしいから、さっさといって来い。」

「なんで、こんなことに・・・。」

俺たちは、ハンターと名乗っているが、実際は身体能力は並か、それ以下だ。体力ぐらいならつけられる。

が、頑張ってもストライプみたいな瞬時に反応できない。そんな奴が、現場に行ってもあんまり動けないと思うのにな。俺は、『巻物』を三つ装備して会社を出た。



現場に行くと、20人ぐらいのストライプスが戦っていた。手が真っ赤に染まっている者。足が変な方向に曲がっている者。色々な人が、『やばい状態』だった。奥では、まだ戦っている

らしいな。


―――――これは、大物だ。


俺は、足がすくみながらも器用に冷笑してしまった。





奥に進むと、『ネメアの獅子』と言う名の『魔物』が暴れていた。

奴は、名の通り『獅子』なのだが、皮膚が硬化し、どうやら自慢の剣が弾かれダメージを与えられてないらしい。それで、『あの』惨事か。なんてざまだ。

「我が名は、祈祷。そちらを援護にきた。」

「おおお!」と声援が起きる。誰かが走ってくる。そして、俺に一人の若い大男が話掛けてきた。

「我が名は、ライジ。ここの指揮官だ。」

こいつか、『あの』ざまの原因は。俺は、殺気の帯びた目で彼を見上げていった。ライジは、黒人でまさにアメリカ人を思わせる感じの人だった。

「今から、奴を倒します。5分俺に近づけないで下さい。そしたら、『言霊』の封印を解くことができます。」

『巻物』の力を発動させるには、『巻物』に書かれてある封字をすべて読まなくてはいけない。封字は、『お経』というものぐらいらしいので、読み終わるのは一苦労だ。

「わ、分かった。」

それを聞いて俺はどこかの木の一番上に登り、読み始めた。木に登るのは、雑音をできるだけ遠ざけるためだ。

「よぉし!皆、ハンターが『巻物』を呼び終わらせるまで、もたせるぞ!」

「おぉぉぉ!!!」

指揮官がいうと兵士の士気があがった。彼は、この部隊のムードメーカーらしい。



「グォォォ!!!」

ネメアの獅子の動き急にキレのある動きになった。

「グァァァァ!!!」

そう言って、自慢の爪を使ってストライプスを切り込みはじめた。

「がぁぁぁ!」

「―――!」

ライジが隊員の名前を叫びながら切られた隊員に近づく。感高ぶっているのか、よく聞き取れない。

近づいたせいで、ネメアの獅子がライジを狙う。そして、ネメアの獅子が手を高く上げて仕留める用意をする。これは、避けきれない。

「隊長、危ない!」

俺は、隊員の声を聞いて目をそらした。


グシャッ。



「・・・ぐ!」

「タイン!」

ライジは、隊員が盾になってくれたお陰助かった。でも、盾になった隊員は、ライジに何かつぶやいて絶命した。あの刀みたいな爪に切り込まれるのだ。ひとたまりもない。

「てめぇ!いい加減に・・・」

そう言ってライジは剣を構える。・・・しかし、ライジは突っ込まなかった。いや、突っ込めなかった。ライジは、急に膝をついて気絶した。多分だが、これが奴の




――――奴の『神が与えてくれた力』。




「―――解!」

俺は、準備を整えた後、ネメアの獅子が、いるところにいどうしながら、必死に奴の『神が与えてくれた力』

について考えた。相手を気絶させるのか?殺すのか?一体なんの能力なんだ?

「とりあえず、ついてから考えよう。」

そうつぶやいてから、1分間無心になった。






ネメアの獅子のところに行くと、すでに前線で戦っていたストライプのメンバーは、隊長を除いていなかった。


絶命したか――――食われたか。

「く、前線には、20人もいたんたぞ!」

俺は、思わず唇を噛んだ。




俺は、覚悟を決めて。奴の目の前にたった。それは、いけなかったかもしれない。

今から、戦うネメアの獅子を見てゾッとした。奴は、爪についていた血をおいしそうになめていたからだ。


「『魔獣』と『魔人』の元は、人間だ。」


そう言って保護しようとする人間がいるが



――――――人間のかけらもない。




そう思いながら『巻物』の力を出す。『巻物』は、人のイメージによって能力を発揮する。例えば、俺の持っている『巻物』は、水を基調としている。そのため、イメージによって何にも形を変えることができる。

『巻物』を理解しないと、『巻物』を発動できない理由はこれだと思っている。


「水は、最強の能力」

って社長は、言う。どうだか、分からないが少なくともそこら辺の能力よりマシなのかも知れない。



「グァァァァ!」

そうこうしないうちに、ネメア獅子が自慢の爪で攻撃してきた。

暴走中は、頭に血が上った状態。そんな奴の攻撃なんて聞かない。余裕を持ってバックステップで避けた。



とりあえず、状況を整理しよう。・・・ここは、森。木や草などがたくさんあって『隠れやすい』。奴から逃げるのは、簡単だが今回の指令は暴走を止めるかまたは、殺害だ。俺は、草木の茂みに隠れて作戦を考えることにした。



さてと、・・・どうやって、どうやって攻撃してダメージを与えるか。問題は、あの硬い鎧みたいな皮膚。

剣を通さなかった。・・・。とりあえず、俺は『巻物』を発動させナイフをイメージする。そうすると、周りに出てきた水がナイフになった。これが、イメージの『大切さ』なのかもしれない。とりあえず、移動しながら投げてみる。

「はっ。」


キン


そんな音がした。聞かなかったことを物語る。どうやら、奴の皮膚は金属でできているらしい。

多分、こっちに気がついただろう。そんな気がしたので、奴の目に水を掛けるイメージを膨らます。そして、奴がこっちを向いた瞬間水を目に掛けた。

「キャン。」

そんな声が聞こえ・・・!弱点発見!目だ、目が弱点だ。俺は、移動しながらドリルをイメージさせる。『巻物』を発動させ、手を軸にドリルを作る。「よし!」といい、ダッシュで奴の目がけて走った。


しかし、俺は弱点を知った瞬間油断した。奴は、『神が与えてくれた力』を使えることを。



ゾクッ。この表現が正しいだろうか。一瞬だった。一瞬だけ奴の目と目が合った。その瞬間底知れぬ恐怖が全身に走った。うお。この無言の重圧。

今にも食われるかと思えるぐらいの殺気。ライジが倒れるのも納得だ。これは・・・これは


―――――ヤバイ。



俺の本能がそう伝える。今にも倒れそうだ。奴は、ゆっくりと歩いてくる。立っていられなくなる。

膝をつく。手、背中、頭からすごい量の冷や汗が出てくる。・・・怖い。怖すぎる。何がこんなに駆り立てている?俺は、弱点を知っているんじゃないか。・・・そう、弱点を。




そう思い奴に、精一杯の力を込めて近づこうとした。が、できなかった。恐怖は、俺の四肢の自由さえ効かなくしていた。足が震える。手があがらない。考えることができない。俺は、このまま動けないまま死ぬ。

「うわっぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

そういって、俺はしゃがみこむ。そして奴は、笑ったような顔をした。そして、アッパーをするように

「ガァァァ!」

そういって奴が俺の肩を切り裂く。

「がぁぁぁぁ!!!」

ち、奴は、この戦いを楽しんでやがる。元の人間の本能は、健在ってことか。

血が大量にでてくる。死が待っているのかもな。



――――――死。



その言葉が頭をよぎった瞬間、俺は、何も考えられなくなった。・・・このまま死ぬ。俺は、まだ死にたくはない・・・・。

奴は、俺の近くに来てを上げる。まるで人を殴るかのように。俺は、急に涙が出てきた。

俺の人生が終わりを告げるのを感じたかのように・・・。






奴が、手を振り下ろしてきた瞬間、横から誰かに押された。

「よけろぉ!」

その声が俺を暗闇から引き戻す。

「あ・・・!」

横を見ると、気絶していたはずのライジがおきていた。

「が、はぁ。」

そう言って、血を吐く。体を見ると、横腹がえぐれたような傷ついている。重症だ。

「どうやら、助けられたな。」

「ぐ、そんなこと言ってねぇで・・・早く・奴を倒しやがれ。」

「ああ。もう倒す。」

そういって、『巻物』の力でライジを運びながら移動する。

「これが・・・お前の能力か?」

ライジがたずねてくる。

「ああ。『水を制御する能力』だ。」

「これを使っていても・・・代償とか・・・は無いのか?」

「代償?」

「何の力を手に入れるにも何かしらの代償は・・・つき物だ。」

そういうことね。何かしらの代償か。

「そうだな、集中力をすごく使う。あとは、・・・ない。」

俺は、傷の痛みに耐えながらも俺の命を助けてくれたライジに恩を返さなければならない。

ま、手が無いわけではない。が、もし失敗なんてしたらライジは死んでしまうだろう。

俺もライジも精神的にも肉体的にも限界に近いかもしれない。そんな奴に複雑な作戦なんてできるのか?

・・・ここは、シンプルな作戦しかない。うまく、もう一つの『巻物』の攻撃が成功すれば何とかなるかも知れない。

「ライジ一瞬でいいから奴の気をひきつけてくれないか?」

「・・・分かった。」

「頼む。」

「・・・了・解。」

そういって、ライジは、獅子へ突っ込んだ。

「うおおおお!!!」

声に反応して、奴はライジをみる。そして、獅子はライジの方に目標を定めた。奴はまるで、

ライジを哀れみの目で見ている気がした。まるで、「自暴自棄になった人」を見るような顔で。その後、奴は笑ったような気がした。『獲物を仕留められる喜び』のように。

その時だけ、奴は油断した。多分だが、奴は俺の存在を忘れている。目の前の飯にありつけるよろこびから。

「やぁ!!!」

そしてその時を無駄にしないため俺は、『巻物』の力でつくった剣の形ににしたやつ奴の目に放り込む。

「ギャァァァァ!!!」

見事命中!うまく入ってやつは苦しんでいる。俺は、奴が苦しんでいる間に3つのうちの一つの『封印』の『巻物』を取り出す。時間を無駄にしないためできるだけ早く封字を読む。

「―――――解!」

そして、その言葉が引き金のように獅子の周りの地面から無数の鎖が出てくる。これが、『封印』の力だ。『封印』といっても動きを止めるだけである。

「キュウゥゥゥ。」

そういう声をあげて、獅子が落ち着く。暴走がとまったようだ。ていうことは、どうやら、封印は成功したようだ。この『封印』は、相手の動きをとめるまでに時間がかかる上に、逃げられやすい。

とてもではないが、動いている相手に『封印』の攻撃を当てるのは、不可能。

今回のように弱点を突いて弱らせるか、普通にダメージを与えて弱らせるかしてからしかつかえないらしい。

「・・・終わった・・・のか?」

俺とライジは、とりあえず木の幹に寄りかかって座る。

「ああ。」

「よ・・・・かっ・・た。」

そう言ってライジは倒れた。

「え?」

バサ。ライジがおれの体に寄りかかってくる。

「おい。まだ死ぬな!やっと、生き残ったのにしぬなんてゆるさねーぞ!」

ゆすってみたけど、ライジの出血がひどい。急いで病院にいかないと死んじまう。

そう思い、3つ目の『連絡』の『巻物』を出す。これは、ほとんどの人が使える簡単な巻物の『装幀巻物』と呼ばるものの一つだ。これが初歩中の初歩であるため、こういう名前がつけられた。


『連1。』

この『巻物』封字はこれだけ。3つまで指定した公共の場所と連絡できる。

「ここは、名のない都市、病院一棟。」

「二人、急患だ。」

「了解しました。そのまま、力をだしつづけてください。」


それから30秒もしないうちにジェット機に乗った救急の隊員がきた。

「さ、乗って。」

そういられ、俺たちはそのジェット機に乗った。『巻物』の出現おかげで『進みすぎた科学』が後退した。

それは、いい事でもあるが悪いことでもあった。いい事というのは、『巻物』を制御しようとするために昔の技術が使われ、エネルギーを最小限しか使わないようになったこと。悪いことは、『巻物』を使い今俺の乗っているジェット機などの機会の性能を百倍以上に上がってしまったこと。これにより、より戦争時に被害が出やすくなった。



「さ、病院に着きましたよ。」

そう隊員にいわれた。ジェット機から降ろしてもらう。隊員に運ばれている俺は、病院のマークを見てため息をついてから意識を手放した。





こんにちは、作者の封雷光です。

この小説は、現代から3000年後のお話ですが、あんまり現代とかわりません。国というまとまりが消え、言葉が統一された世界です。地方で国の文化は残っているという設定も加えといてください。

質問等ございましたら、感想のところにお書きください。

更新は、半月ごとくらいですが、世界の利、僕の利をよろしくお願いします。

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