はみ出し者のうた
手当たり次第に叫んでる夕陽
絶対をちらつかせて沈んでく光
許せないって握り締めた拳
ブレーキのきかない自転車が
滑走する下り坂
高く舞い上がる一番星
のみ込んだ言葉が跳ね上げる鼓動
潤い始めた緑がしっとりと
行き交う夜の中でひとりさ迷ってるって
誰も知らないあの明るい窓の世界では
闇からはみ出してく手足
悲恋をうたう星座の神話に
場違いな後書き
そんな場所で見おろしてる
ただ光る者の美しさも知らずに
うたうたいたい
耳鳴りのそばで
朝が夜を圧迫するその最後の瞬間まで
果てないものをやり過ごしてきた日々が
近付いては囁く夜明けの審判
何が悪かったのって
冷えいる風が走れば
押し返すようにうたうよ
「何もかも」
うたうたいたい
遮るもののなかで
はみ出してく想いばかりをかき集めて
足りなかったのではなく溢れていたと
ひれ伏す愛ある月明かりの下で
何を怖れていたのって
からかう風が笑えば
微笑み返すようにうたうよ
「何もかも」
噛みつくように広がる朝焼け
絶対ばかりを否定する光
戸惑いが二の足を踏んで
すがり付くために開いた手
サドルを高くあげて空に
近づきたい坂道
うたうたいたい
はみ出し者のために
何を望んでいるのって
濡れた風が問えば
泣きもせずにうたうよ
生きる何もかも