10回クイズをしよう
「ねぇ、お兄ちゃん。10回クイズだよ。『ぬいぐるみ』って10回言って」
「ぬいぐるみ。ぬいぐるみ。ぬいぐるみ。ぬいぐるみ。ぬいぐるみ。ぬいぐるみ。ぬいぐるみ。ぬいぐるみ。ぬいぐるみ。ぬいぐるみ」
「じゃあ、ゆるキャラは?」
「着ぐるみ」
「わー、引っかかった。お兄ちゃん、ゆるキャラの正体は、大抵オジサンだよ」
「俺が言うのもなんだけど、答えは妖精であってほしかったよ」
「お兄ちゃん。『円周率』って10回言って」
「円周率。円周率。円周率。円周率。円周率。円周率。円周率。円周率。円周率。円周率」
「じゃあ、円周率は?」
「3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288……って、終わりがない!」
「いや、予想以上の健闘ぶりだよ」
「お兄ちゃん。ここに書いてある文章全部を10回言って」
「教科書丸暗記させる気か?」
「うん、ファイト」
「お兄ちゃん。『ぺったんこ』って10回言って」
「ぺったんこ。ぺったんこ。ぺったんこ。ぺったんこ。ぺったんこ。ぺったんこ。ぺったんこ。ぺったんこ。ぺったんこ。ぺったんこ」
「じゃあ、私は?」
「ぺったんこ」
バシッ!
「お兄ちゃん。物と物の間って意味の間隙って言葉あるよね」
「うん、あるな。確か、隙間って字の逆だよな」
「じゃあ、その『隙』って10回言って」
「隙。隙。隙。隙。隙。隙。隙。隙。隙。隙」
「お兄ちゃんはそんくらい隙があるから、悪い女には気を付けるんだよ」
「……何か、やけに嬉しそうだな」
「え、気のせいだよ」
「お兄ちゃん。失敗の反対は?」
「成功」
「じゃあ、『成功』って10回言って」
「成功。成功。成功。成功。成功。成功。成功。成功。成功。成功」
「ねぇ、したくならない?」
「え、何が?」
「お兄ちゃん。『生麦生米生卵』って10回言って」
「生麦生米生卵。生麦生米生卵。生麦生米生卵。生麦生米生卵。生麦生米生卵。生麦生米生卵。生麦生米生卵。生麦生米生卵。生麦生米生卵。生麦生米生卵」
「もう、そんなに生が良いの?」
「何の話だ……」
「お兄ちゃん。『可愛い』って10回言って」
「可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い」
「じゃあ、私は?」
「妹」
「……」
「お兄ちゃん。『妹』って10回言って」
「妹。妹。妹。妹。妹。妹。妹。妹。妹。妹」
「今、お兄ちゃんの頭の中は、私のことだけで埋め尽くされてるんだね」
「え、悪い。妹って字は、何で『未だ女にあらず』って書くのかなって考えてた」
「こうなったら……お兄ちゃん。『シスコン』って10回言って」
「シスコン。シスコン。シスコン。シスコン。シスコン。シスコン。シスコン。シスコン。シスコン。シスコン」
「これを毎日繰り返すことで、いずれは本当に……」
「妙な暗示を掛けようとするな」
「お兄ちゃん。私をオカズにして10回イって」
「嫌でーす」
「お兄ちゃん。もう1回『妹』って10回言って」
「妹。妹。妹。妹。妹。妹。妹。妹。妹。妹」
「じゃあ、今お兄ちゃんの目の前にいる私は?」
「妹」
「ぶぶー、外れ。正解は義妹でしたー」
「初耳だよ!」
「じゃあ、次は俺が出題するな。『蟻』って10回言ってみ」
「うん。蟻。蟻。蟻。蟻。蟻。蟻。蟻。蟻。蟻。蟻」
「まあ、いつも俺はお前に対してそう思ってるわけだ。じゃあ、夕飯の買い出しに行ってくるから」
「え、お兄ちゃん? どういう……あ! 蟻が十匹……『ありがとう』」