表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
体育大学まるごと異世界転移 ~帝体大魂が世界を変える~  作者: 空腹原夢路


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/33

第21章 勝者と敗者の宴

ワールドカップの熱狂が去った帝体大グラウンドには、夜風が吹いていた。

篝火の残り火が揺れ、焦げた芝の匂いがかすかに漂う。

勝利の余韻を胸に、学生たちはまだグラウンドに立ち尽くしていた。


その前に、ゆっくりと魔王軍のキャプテン・血斧ガルドが歩み出た。

巨体の影が揺れる。

彼の背後には、双牙バルゴ&バルガ、幻影ヴァルナ――魔王軍の猛者たち。

その表情には怒りも憎しみもない。ただ、戦いを終えた者の静かな光があった。


「……人間ども。」

低い声が響く。

「お前たちは、俺たち敗者に――何を望む?」


会場が静まり返る。

宰相も、王国の兵も、学生も息を呑んだ。

矢田が一歩前へ出る。

その顔には笑み。


「そうだな……」

一拍置いて、拳を高く掲げた。


「とりあえず――宴だ!!!!」


「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」


グラウンドが割れんばかりの歓声に包まれた。

王国兵が笑い、教授陣が顔を見合わせ、魔族たちが一瞬ぽかんとする。


「……宴、だと?」

ガルドが唸る。

「ああ、そうだ!勝っても負けても、やることは決まってる!」

矢田が胸を叩く。

「うまい飯と音楽と笑い!一緒に戦った相手が隣にいる、それでいいじゃねぇか!」


神宮寺が頷いた。

「俺たちは敵じゃない。今日から、同じスポーツの仲間だ。」


***


数時間後――

帝体大の広場は、再び光と笑いで満ちていた。


鉄板の上で肉が焼け、甘いソースの匂いが風に乗る。

炊き出しの大鍋では王国の料理人がスープをかき回し、

その隣で魔族の料理人が巨大な骨付き肉を振る舞っている。


「うおっ、この肉うめぇな!」

「ふん、我ら魔族の狩りの獲物だ。人間の舌に合うとは思わなんだ。」

「何言ってんだ、帝体大コロッケだって負けてねぇぞ!」

「こっちは肉汁で手がベタベタだぁ!」


グラウンドの中央では、応援団と魔族の太鼓隊がリズムを刻み、

チア部とヴァルナが即興のダンスバトルを繰り広げていた。

「おい、動きキレすぎだろ魔族!」

「あなたたちこそ、体幹がいいわねぇ!」


王国の将軍アレクサンドロスはジョッキを掲げ、神宮寺の肩を叩いた。

「今回はお前たちの勝利だ。だが……次は負けんぞ!」

「上等だ!今度はラグビーでもやるか?」

「ふはは!なんだか知らんが面白そうだな!」


そこへ、ガルドがゆっくりと現れる。

彼の巨大な手には、帝体大のジョッキが二つ。

ひとつを矢田に差し出した。


「……本当に、何も望まぬのか?」

その目には、まだ戦士の光があった。


矢田は笑い、ジョッキを受け取った。

「そうだな……」

泡が弾け、夜空へ消える。

「強いて言うなら――またやろうぜ。」


「……やる?」


「マジーナ王国と、魔王軍と、俺たち帝体大で!ワールドフェスティバル開催だ!!!」

矢田が拳を突き上げた。

「おぉぉ!!!次は、もっと派手にいくぞ!!!」


「「「おおおおおおおお!!!」」」


ガルドが噴き出すように笑い、

ヴァルナが微笑み、双子のバルゴ&バルガが尻尾を振る。

「お前たち……本当に変な連中だな。」

「そうか?」矢田が笑う。

「でも、これが帝体大だ!」


***


夜空に、無数の花火が打ち上がった。

赤、青、金――三つの旗の色が、光の軌跡となって交わる。

人間も、王国兵も、魔族も肩を組み、笑いながら歌をうたう。


「帝体大!帝体大!」「ワールドカップ!ワールドカップ!」


その輪の中心で、矢田が空を見上げて呟いた。

「戦いじゃなくて、正々堂々と競い合う世界。……それでいいんだ。」


神宮寺が隣で言った。

「ああ。スポーツってのは、勝敗だけじゃねぇ。お互い高め合い、認め合う“心”だ。」


篝火が燃え、笑い声が響く。

剣と魔法の世界で、人々が初めて“競い合う喜び”を知った夜。


こうして、帝国体育大学による――

異世界初の“スポーツの祭典”は、

笑いと友情の中で幕を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ