第12章 競技の協議
帝体大キャンパスに再び王国の使者が訪れた。
宰相が正門前に立ち、朗々と声を響かせる。
「マジーナ王国は、帝国体育大学、そして魔王軍の挑戦に対し――第三の参加者として名を連ねる!」
その一言に、広場はどよめきに包まれた。
「三つ巴!?」「マジかよ!」
***
急遽開かれた三者会談。
帝体大の講堂に王国の宰相と将軍たち、帝体大の教授陣と学生会、さらに魔王軍からの使者が同席した。
宰相が口火を切る。
「問題はただ一つ。どの競技で雌雄を決するかである」
「魔法や武器は使わない。貴様らのフィールドで戦ってやる」魔王軍の使者が低い声で言う。
「互いに納得できる“競技”を選ぶべきだ」
黒崎が顎に手を当てた。
「なら剣道は無理か。武器は全部ダメってことだな」
「ラグビーは?肉体勝負なら任せろ!」神宮寺が拳を鳴らす。
王国の将軍は渋い顔で言う。
「威信を示すにふさわしいものを」
その言葉に矢田が勢いよく立ち上がった。
「あります!サッカーです!!」
「さっかー?」宰相が眉をひそめる。
矢田はボールを掲げて説明した。
「足だけでボールを操り、相手のゴールに入れる。それだけ!シンプルだけど、走って、蹴って、仲間と連携して戦略が鍵になる、一番熱くなれるスポーツです!」
「ほう…足だけの球技か」宰相が呟く。
「だが、連携と戦略が鍵……軍の陣形にも通じるな」
「もちろん武器も魔法もなし。体と知恵だけで勝負です!」矢田が胸を叩くと、神宮寺も頷いた。
「相手を蹴散らしても良いのか?」
「本来はなしだけど…」
「我ら魔王軍は戦場に立ったら誰にも止めることはできないぞ」
「確かにな…じゃあ、ファールもなしだ。ぶつかっても転んでも続行。それで行こう」
「無茶苦茶だな…」黒崎がため息をついたが、王国の将軍は逆に目を輝かせた。
「面白い!戦場そのものではないか!」
魔王軍の使者も低く笑った。
「よかろう。我ら魔族も体で競うことにかけては誰にも劣らぬ。サッカーとやら、受けて立つ」
矢田は立ち上がり、布告の羊皮紙に筆を走らせた。
「この三つ巴の勝負――『第1回ワールドカップ』の開催だ!」
講堂が揺れるほどの歓声が上がった。
「ワールドカップ!ワールドカップ!」
太鼓が鳴り、チア部が飛び跳ね、王国兵まで拳を振り上げる。
剣と魔法の世界で、スポーツによる史上初の世界大会が幕を開けたのだった。




