おやつを求めて三千里
おじいさんのありがた~い おはなし。
稲荷山のアジトでは今日もど〇きつねたちが優雅なティータイムという名のおやつタイムを取っていた。今日のおやつは「鳥腑」という南蛮渡来のお菓子だった。
「この西欧団子はやっぱり珈琲かしら。」
「さすが御泥婆ね。」
「御老公、おつかれさま。ありがとね。」
「いくら旅の頭巾があるからといってものう。白耳義は遠かったぞ。」
「おやつを求めて三千里って」
「いや、お忍びで行ってもな。この格好ではじろじろ見られて大変だったぞ。」
御老公のおやつ買いはついに地球の反対側まで到達していた。なんだか、御老公の存在意義がと、イヌ、サル、ギジがこそこそと話している。
「うむ。これは美味だのう。」
「え、将軍様?」
「ムーン、またなんかやった?」
「わたしまだ、何もやってないよ。何で?」
「いや、いつものことなので来たよ。」
将軍様もいつものようにおやつタイムに参加していた。
「ぶたさん」から細い煙がまっすぐに上がっている。
「あっ、何か変化があったようね。」
「源氏が復活しているわ。」
「おーっ、うまく行ったようだな。」
「五歳の子を口説いたの?」
「頼義さんが炉理魂で良かったってことかな。」
「ちょっと待って、調べるわ。」
マーキュリーはデータベースを検索した。
「なるほど、ここで婚約したみたいですね。婚儀が七年後、義家誕生が十五年後」
「本来の歴史に戻ったようじゃの。」
「十兵衛さん上手くやったみたいね。で、それ以外は?」
「奥州合戦の結果が変わっているわ。」
「安倍氏が生き残って抵抗を続けて、清原氏を吸収して、やっぱり奥州政権が成立している。鎌倉幕府が成立した後に約50年もの間抵抗して、国土が荒廃。再建している間に元寇。上陸を許して約10年もの激闘、何とか元の内乱で撃退したしたみたい。」
「占領も高麗進出もなかったのね。それで?」
「長く続く戦乱で、朝廷も幕府も力を失い、群雄割拠の時代になるわ。」
「戦国時代か?」
「歴史が百年前倒しになったのか。」
「その後は東北から信越、北関東と広い領地を持った安倍氏が南下して、これを武田、上杉、北条が連合して阻止している間に……」
「じゃあ、今は」
「徳川幕府よ。」
「はぁ?」
「中部から東海近畿中国地方と領地を広げた織田氏が、安倍氏と連合して挟み撃ち、でも本能寺は起こって、豊臣氏の天下統一、その後関が原で徳川幕府は同じ、でも長門から西はイギリスとオランダの植民地ね。」
「待たせたわね。残りはあと一人になったわ。」
「あっ、ヴィーナスお帰り。」
「だいぶん戻ったみたいね。」
「どうやら、安倍氏が問題になっているわ。」
「そうみたいね。静くんのところに行ってくる。」
ヴィーナスはテーブルの「鳥腑」を一つ口に入れると姿を消した。
「ヴィーナスってショタコンなのかしら。」
「諸他魂とはなんじゃ。」
もちろん御老公や将軍様には理解できない。
「子供好きというか……。」
「家庭的でいいではないか。」
「そうじゃなくって……。」
「呼んだ?待たせたわね。」
ヴィーナスが再び現れて、「鳥腑」を二つ、紙に包んでしまった。
「静くんの分ももらっていくわね。二人で食べるの。」
といって、また姿を消した。
「うむ。子供にやさしいのじゃのう。」
「なかなか、ほほえましいですな。」
「いや、多分違うと思う。」
ムーンの疑惑だけが大きくなって行った。
「……って、あれ私の分よ。」
【ごきょうくん】
おじいさんとのやくそくだよ。
子供好きに悪い人はいないけど
恋愛対象にはならないぞ。
御老公の旅は続くw




