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石魔羅様

おじいさんのありがた~い おはなし。

 その円柱は、天狗たち数十人によって日が暮れた後に運びこまれた。

 この石造りの円柱は晴明からの指示で、真が天狗たちに依頼したものだった。ただその意図を知ったのかクマラが余計なアレンジを加えたため、かなりリアルなものになっていた。

「なんか変な形になったわね。」

 真がその石柱をさすると、それを顔を真っ赤にして和泉式部が止めている。様子を見に来た上東門院と脩子も顔を真っ赤にしている。

「わあ、おっきい石の柱、立派ねえ。」

「そうでしょ。天狗さんたちが作ってくれたの。」

 何もわからないのか、禎子も真と一緒に石の柱をペタペタ触っている。

「ねえ。天狗さん。あの形どうにかならなかったの?」

 和泉式部が長老天狗に囁きかける。

「いや、クマラが悪乗りして色まで付けようとしたので、止めるのが大変でした。」

「色?もう…。」

 天狗たちは地上に降りると顔を隠して人の姿になっていた。そこに安倍吉平がやってきて、配置する位置を指示している。枇杷殿に道鏡の怨霊が入ったころ合いを見て、こっそりと移動させる予定であった。

「しかし、あんなものが空を飛んでくるとは。」


 夕方の時間帯であったが、姿を隠した天狗たちが運んできたので、普通の人の目には巨大な男性器が空を飛んでようにしか見えなかったようである。しかし、そのようなことは誰も口に出せる訳もなく、秘密は守られたようであった。ただしその夜は、逢瀬を楽しむ人が多かったようであった。


 そして深夜になった。

「みんな、来てる。準備はいい。」

<よし、配置につけ。>

<おらが、最初に飛び込むんだな。>

<経はこちらで観音様に稽古つけてもらったから最強ですよ。>

<こっちの赤子は強力だぞ。> 

<切る!>

 頼光と四天王、改め悪霊退治隊(ゴーストバスターズ)が周囲に隠れた。

 真は禎子と手をつないで枇杷殿が見える位置に座っている。

「霊って本当にいるんだ。私も声が聞こえたよ。」

「でも、ここからは聞かない方がいいかも」

「えー、だってママが心配だよ。」

「本当は禎子ちゃんが狙われているのよ。これ持ってて」

 真は、晴明からもらった五芒星の札が入ったお守りを渡した。

<今、来たみたいですね。>

 晴明が真に告げると、真は手を挙げて天狗たちに合図を送った。天狗たちはこっそりと石柱を裏鬼門の位置に運ぶ、この頃には追いついた鬼一が軽々と持ち上げている。


 やがて枇杷殿から嬌声が聞こえ始めた。その声は次第に大きくなっていく。

<いまだ!>

 枇杷殿の寝所の四隅を頼光、綱、金時、貞光が取り囲んでいる。

<おまえらわしに敵うと思うのか。>

<この女性から離れてもらおう。>

<お前らにできるかな。>

 貞光が妍子に近づいて、観音経を唱え始めた。

<馬鹿な。わしは高僧だぞ。お前ごときの経で縛れるものか。>

 貞光の法力では確かに道鏡には敵わないと思われた。しかし、その声は二重になって聞こえてくる。水が吹きあがる音がし始めた。

<まだ修行が足らんな。わしも力を貸そうかのう。>

 突然現れた、観音様が加わって、次第に道鏡の霊が、妍子から離れていく。

<うっ、それは卑怯だぞ。>

 そして、道鏡は逃走を図ろうとしたが、頼光、綱、金時が逃がさない。道鏡は唯一空いた貞光がいた裏鬼門の方角へ向かった。その時であった。

<えい!!!>

 少し離れて、この位置に道鏡が来るのを待っていた季武が、霊界版スーパー赤子を発射した。

 ゴッツーン


 赤子は道鏡の頭に命中しそのまま道鏡は裏鬼門の方角に飛んで行った。


 ドーン!


 飛ばされた道鏡は石柱に激突し、そのまま石柱に吸収された。

「今よ!」

 真が叫ぶと、吉平が石柱に封印の札を貼り、しめ縄を石柱に巻きつけた。

 石柱は揺れて次第に赤くなっていったが、しばらくすると動かなくなった。

<封印成功ですね。>




 突然、噴き出した温泉を、さっそく女性たちは楽しんでいた。

「彰子様。あれ、どうします?」

「こんなもの人目につくところに置いとくわけにはいかないわね。」

「封印したけど、封印が解けないように監視する必要があるって晴明さんが言ってたよ。」

「それでは、この石柱を納めた祠を作りましょう。」

「ご神体ですか?」

「いしまら様とかw」

「多分、道鏡さんだから、この石柱をたまにさすってやったり、アワビでも備えておけばいいんじゃないんですか。」

 和泉式部がそう言うと、女性たちは安心した表情で笑い合った。


 この一件で真は、正式に出仕することとなり、禎子付きの女官、真子として仕えることとなった。もちろん、禎子が再び狙われないようにとの配慮である。

 

 この石柱は、後の時代「石魔羅様」として子孫繁栄の象徴として祀られることになり、年に一度巨大な円柱を裸の男たちが担いで歩く祭りが始まった。その祠の周りにはアワビの貝殻が常に祀られるようになったとさ。 

 

【ごきょうくん】

おじいさんとのやくそくだよ。

アワビを備えるのがお約束だぞ。

日本の各地にある祭りですね。

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