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清少納言

おじいさんのありがた~い おはなし。

 ここまであまりこの話に登場しなかった「枕草子」の作者として有名な清少納言は、父の勅撰和歌集選者、「梨壺の五人」の中心人物、清原元輔の娘として誕生した。自分が下手な歌を詠むと父の名誉に関わると、人前であまり歌を詠まなかったらしい。藤原斉信の家令、橘則光の間に則長、再婚した藤原棟世との間に小馬命婦の二人の子が知られている。


 藤原道長の兄、関白藤原道隆の娘、定子が、一条天皇の皇后となった際にまだ十五歳の定子を補佐するため定子付きの女官として、清少納言は出仕することになった。源俊賢がその才気に内侍に推薦したとの話や、藤原行成が、接触してきて「世に逢坂の関は許さじ」という百人一首に残る歌を送ったという話も残っている。この頃の出来事は「枕草子」に多く書かれ詳しい。


 関白道隆が病死し、道隆の弟である道長が政治の実権を握ることになり、道隆の子、伊周(これちか)、隆家は、道長と対立した上で、長徳の変を起こし左遷されることとなった。

 左遷の命に従わない兄伊周、弟隆家を定子が匿い、兄弟が流罪となった際、定子は出家の身となることで、宮中を去った。これに清少納言も従ったらしい。


 定子はその後、最初の子、脩子(しゅうし)内親王を産み、道長の尽力で伊周らが赦されたことで、再び入内することになった。そして間もなく、藤原家待望の男子、敦康親王が誕生した。道長は後ろ盾がない親王を庇護したが、また、定子は出家の身であるので皇后ではないという理屈で、自分の長女、十三歳の彰子を入内させた。歴史に残る「一帝二后」という事態が発生したのである。


 しかし、定子、彰子が対立することはなく、その後、中宮定子は媄子(びし)内親王を産んだが、媄子を出産した直後に亡くなってしまった。

 清少納言は仕えていた中宮定子が亡くなった後、その残された遺児である三人の子たちの行く末を案じながら、父の清原元輔が残した月の輪の別宅で隠棲したと言われている。


 零落した清少納言の伝説も現代に残るが、夫たちとの連絡も取れ、社交的な性格であったので、子の橘則長や小馬命婦、則長の舅である能因法師、公任や斉信、俊賢らや、赤染衛門との交流があった。



 後年、中宮彰子と、その周囲の女官(紫式部など)たちとの対立が語られるが、実際には上東門院彰子は定子の遺児である敦康親王を母の倫子(頼通、教通の母)とともに愛情をもって養育し、その後生まれた実子の敦成親王を、無断で皇太子にしたた道長と頼通に猛抗議を行ったほど、大切にしていた。


 その彰子も今や、二人の天皇の母となり、政争や利権に忙しい男たちと違い、皇室内のあちらこちらに気配りをして、藤原家全体に目を配っていた。それを支えたのが、今や二代の天皇の姉になる定子の長女脩子内親王であった。


 清少納言の娘、小馬命婦は彰子に女官として、紫式部。和泉式部、小式部内侍、大弐三位らと共に仕えていた。そのようなこともあって、清少納言は宮中とは常に連絡を取り合い、何かと宮中の相談事に関わっていた。

 その上、暇していると思われて強引に誘われた「三人官女」の活動で結構多忙であった。


「誰よ零落したなんて伝説作ったのは、紫さんがあんな悪口書くからよ。」と霊界で愚痴るようになるらしいが、それはもう少し先の話。


 そんなわけで、清少納言の月の輪の庵は、見舞客でにぎわっていた。

「次の勅撰集には私の歌も入選させてくださいよ。」

「あの能因殿の白河の関のことか。」

「あれは、ちょっと大げさだよな。」

「まあ、一首なら考えてもいいがな。」

「いえ、もっとありますよね。」

「どうだったかなぁ」

 寝ている清少納言そっちのけで、能因法師が公任に自作の歌の売り込みを図っている。それを回し読みした、斉信と俊賢は首をひねっている。

 

 そこに真を連れた和泉式部が到着した。

「おお、真も来たのか。」

 早速、義孫の姿を見た公任が、能因の和歌が書かれた短冊を放り出してやってくる。

「お義祖父さま。具合はどう?」

「わしは、元気じゃぞ。そうだ静は?」

 公任は見舞いに来たはずの清少納言のことはすっかり忘れて、かわいい孫の心配をしている。

「公任様からいただいた観音経で一日で三七日参り終わらせるやら、大江山守るやら、すごいことになってます。」

「あの子は末恐ろしいのう。で、今どこに?」

「あのね。静は弘法さんのところに行ったみたい。」

「え?高野山に入ったのか。まだ九歳だぞ。」

「いや、このあと小角という人と山に登るんだって」

「小角?山?山岳修行をするのか。」

 もうすでに公任の常識を大きく外れていた。そこに和泉式部らを見つけた小馬命婦が挨拶にやってきた。

「ああ、命婦さん。清少納言さんの具合はどう?」

「ママは、うるさいなぁって言いながら寝てますわ。ちょっと起こして来ますね。」

 小馬命婦が清少納言が寝ている枕元に近づくと

「え?ママ、死んでます!」

 清少納言は楽しそうな顔で眠っていた。 


「偉そうな人と、きれいな女の人、それに男の子と女の子が迎えに来てたわ。」

 真がそういうと、公任は納得したような顔をした。

「ふむ。一条帝と定子様、敦康親王と媄子内親王といったところじゃろうな。」

「悪い霊はいなかったわ。」


「私の和歌に悪霊たちも降参したのですな。」

 能因は相変わらず、自作の歌を売り込んでいた。


【ごきょうくん】

おじいさんとのやくそくだよ。

じがじいさんは醜いぞ。

清少納言さんは安らかにお亡くなりになりました。

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