元寇?
おじいさんのありがた~い おはなし。
十兵衛は600年後の世界で起こっている改変について伝えるために、再び時空の門をくぐった。
「それは、私の力ではどうにもならんなぁ。」
保昌邸に転移した十兵衛は早速、今後600年の世界で起こるの出来事を語った。
「ふんふん、そうなんだ。パパ、どうやら伴善男さんが消えたみたい。」
霊たちと話していた小式部が保昌の部屋に入ってきた。
「え?」
「あっ、十兵衛くん来てたの。」
「はい。で伴善男は消えたというのは」
「大江山事件で酒呑童寺に侵入した鬼退治の者たちを手引きしたのが能信殿の従者の一人でな。事件がおさまった後、酒呑童寺内で昏倒していたところを捕縛されたのじゃ。」
「でも従者は五人いましたよね。」
「まあ、一人は道満殿だが、残りは別のところにいて、逃げられたそうだ。」
「取り調べたのですか?」
「ああ、吉平殿や真が見ても、霊はついていなかったんだ。」
「静に調伏されたんだって。」
「え、小式部、本当なのか。」
「ええ、天神様がおっしゃるには、結界内にいたものを浄化したんだって」
「静が?」
「静君ってまだ9歳ですよね。いまどこに?」
「今、三七日行をおこなっているよ。一日で観音に会えたそうだよ。今はどこで修行しているのやら。」
「小式部さんもいるんでもう一度話しますが、600年後の世界ではこの国が消滅しています。」
「え、何で? ちょっと待って、教通さんもつれてくる。」
小式部を見舞いに来た教通は、奥の部屋で真と、歓と円の二人の娘の面倒をみていた。
「教通さん。ちょっと来て、十兵衛さんが来てるんだけど」
「おっ、じゅうべいきた!」
「じゅーべー」
十兵衛大好きな娘たちが大騒ぎしているのを見て教通は落ち込んでいる。
「この娘たちは私には懐かないのに、十兵衛は大好きなんだ。」
「真、二人の面倒をよろしくね。」
落ち込む教通を連れて小式部が戻ると十兵衛は話をつづけた。
「これから、約200年後に外国が攻めてきます。最初は高麗を中心とした元軍、次は南宋と高麗を中心とした元軍。」
「元、高麗、南宋ってどこの国のこと?」
「元は今の宋の北方にいた遊牧民族で、それが今の宋の北部を占領して建てた国です。それが今の新羅に代わった高麗を従えて日本に攻めてきたのが一回目の文永の役。それからその元が、南に逃れた宋を滅ぼして、その兵たちを使って高麗と攻めてきたのが弘安の役」
「日本が占領されたのか?」
「本来の歴史では、国内が鎌倉幕府の下で、一致して撃退し、二度目は十万を越える大軍の上陸さえ許しませんでした。ところが、国内が朝廷、鎌倉幕府、奥州政権に分裂していて、それぞれ個別に滅ぼされ、元の属国となりました。」
「そんなぁ。」
「反乱は起きなかったのか。」
「その後、弱体化した元を滅ぼした明が手を貸して、日本から元を駆逐したが、そのまま明の属国になり、その明が、満州族が建国した清に滅ぼされて、日本に遷都。」
「遷都?」
「ああ、600年後には日本はなく、明になり明国皇帝が治めている。」
「朝廷は滅びるのか。」
十兵衛は頷くしかなかった。
「大江山の事件が起こる前まではそんなことはなかったのです。ただそれでも将軍が違っていたり、源氏の行く末が変わったりはしてたのですが、今回のは大きすぎます。」
「大きな変換点はその元寇というわけだな。」
保昌にも話の全体が見え始めていた。
「はい。600年後のみんなで話し合ったのですが、正しい歴史にない奥州政権がまず問題だということです。」
「なるほど、奥州の反乱が始まりだということですね。安倍氏ですか。」
教通も腑に落ちたような表情を浮かべた。
「阿弖流為さん利用されたのかしら。」
「史実では奥州藤原氏は鎌倉幕府の初期に滅ぼされました。それが、支配領域を広げ幕府にも対抗できる強固な勢力を持つに至った。」
「悪霊たちが味方したというわけか。」
「多分それだけではありません。」
「朝廷も?」
「ええ、史実では源氏の三代目の将軍が暗殺され、清和源氏の正統が失われた際、朝廷側は幕府を滅ぼそうと挙兵しました。しかし幕府が勝って、西国までが幕府の勢力下になりました。しかし、改変された歴史では朝廷が西国の支配を続けていた。」
「朝廷にも手を貸したものがいたんだ。」
「ね。悪霊さん達って日本を滅ぼそうとしているのかしら。」
「奴らの恨みはわが藤原氏のはずだが。」
「藤原を滅ぼそうとしてやったことが、日本を滅ぼすことになったということなのか。」
【ごきょうくん】
おじいさんとのやくそくだよ。
一度バラバラに壊れたものは元通りに
戻すことは難しいものじゃ。
歴史を修正(鬼生存ルート)できるのか?




