改変の原因は?
おじいさんのありがた~い おはなし。
「ここまで、大きく改変されるとはなあ。」
「これだと我々自体も存在しないことになってしまうかも知れないな。」
「どこが原因なのかを探るのじゃ。」
将軍様、金さんも加えて、御老公と十兵衛は今後の対策を練ることになった。ど〇ぎつねたちは、葛葉とヴィーナスを除いて、「ぶたさん」の制作と、異界のものを異界に帰す装置の探索、完成を急ぐこととなった。
「で、十兵衛殿。600年まえの世界で変更があったと思われることを挙げてくれぬか。」
「はい。まとめると、小式部襲撃、酒呑童寺襲撃、法成寺での能信失脚」
「ひとつずつ検証しよう。」
「そうですな。」
「いえ、その前にどの件についても、武士団が動員されているんですよ。」
「そりゃ自分の家来っているんじゃねえか。」
「いや、少なくとも公家は武士団の力を借りるのがこの時代じゃ。」
「摂関家に対する不満が原因か?」
「いや、藤原摂関家の荘園支配に対する不満が大きかったのは史実通りじゃ。」
「それに『鬼退治』という正義が加わったということかな。」
将軍様は自分がか関わったことだけに気になっているようだ。
「少なくとも、法成寺では鬼と友好的に関わっていると頼通、教通兄弟が弾劾されました。道長殿も同じ理由で失脚させようとしていたようです。」
「酒呑童子は鬼だしな。」
「ええ、大江山を囲んだ兵たちは口々に鬼退治を叫び、桃マークの鉢巻きを巻いていたそうです。」
「なるほど、鬼退治=藤原摂関家の失脚という図式ってわけか。」
「『平忠常の乱』は史実よりも4年、頼信、頼義の参戦だと6年早いの。」
「そうやってまで、酒呑童子の魂を奪いたかったってことかい。」
「そうだ、酒呑童子はどうなった。」
「笑って逝ったそうです。その後は魂は小角様が回収され、後鬼に封じたそうです。」
「『酒呑童子』を悪霊に取り込まれずにすんだんだろ。それなのになぜ?」
「もしかして、私がクマラに力を貸してやってほしいと行ったのが原因でしょうか。」
「どういうことじゃ?」
「クマラが『鬼切』の複製に『薄緑』って名付けた時に、その刀を後の時代に鞍馬山にやってくる義経公に渡してほしいと頼んだんだ。それで鬼一法眼とクマラが味方することになったそうなんだ。」
「それで、義経軍が強くなったってかい。そもそも平家を滅ぼしたのは義経だぜ。」
「そうですが、奥州政権が出来たことと関わってますよね。」
「そうね。でも義経くんは鎌倉との講和を望み、交渉していたわ。それで藤原泰衡に裏切られて衣川で戦死したわ。鬼一も立往生したって」
「その辺りは史実通りじゃのう。立往生は弁慶じゃったが。」
「鬼一は武蔵坊弁慶って名乗ってたって。」
「じゃあ関係ないんかな。」
「いや、その奥州政権が強すぎて、鎌倉幕府に降りなかったのが史実と違うんじゃ。」
「そうか。悪霊たちが関与するとすればここか。」
「しかし、朝廷の動きはどうなんだ。」
「え?」
「確か『承久の乱』って源氏の将軍が三代で途絶えた時に朝廷側が反乱を起こしたって覚えてるぜ。」
「そうじゃな。それで朝廷側が敗れたことで、西側の武士も鎌倉に従うようになったんじゃ。」
「いいえ、西側の武士たちが鎌倉に従うようになったのは元寇の時よ。」
「って、ことは朝廷側にも誰かいたんだ。」
「確か。蘇我親子、伴善男、道鏡だったな。」
「大江山襲撃に失敗しても無事だったということか。」
「源氏物語はどうなっていますか?」
「源氏物語?」
「源氏六十帖って常識だろ。」
「えっ、襲撃は防いだはずなのに」
「あっ、それね。石山寺が収奪にあったときに観音像から発見されたって、そこから六十帖が常識みたいね。」
「まあ、そっちは問題だけど、問題ないか。問題は朝廷と奥州か。」
「で、十兵衛どうするんだ。」
「まず戻って、この事実を伝えて、悪霊を退治しないと」
「悪霊たちも元は日本のもの。この国が滅びることは望まないのではないか。」
「そのことも含めて向こうの人たちと相談します。ところで、」
「ん」
「なんじゃ。」
「静と真という小式部内侍の子は何者ですか。」
「うむ。ちょっと待て、歴史にはないぞ。」
「法成寺執行静円僧正と真子内侍司よ。」
ヴィーナスが口をはさむ。
「二人ともとてもいい子。静くんは私好みの男の子に育てたいわ。」
十兵衛はヴィーナスがわかって関わっていたのかとちょっと呆れた。
「この二人が鍵になるそうなんです。実質静が酒呑童寺を法力で守りました。」
「それは史実にはないぞ。」
「わずか九歳ですが役小角が守護しているそうです。」
「それで後鬼か。」
「もしかして、日本をこの二人に託すことになるのか」
【ごきょうくん】
おじいさんとのやくそくだよ。
みんなで話すときは論点を明確に
するのじゃぞ。
歴史改変の原因はどこにあったのか?




