ぶたさん
おじいさんのありがた~い おはなし。
「これは蚊取り線香入れるやつよね。」
「外に置くから、この時代にありそうなものにしたのよ。」
「これをどこに置くの?」
「江戸、京のアジトと、『酒呑童寺』、江戸のお堂かな。」
「でも、改変されたらわたしたちは?」
「だから、この煙よ。この煙の届くところは、改変の影響を受けないわ。」
「ふむ。一つわしにも作ってくれんか。」
「御老公様も?」
「気づいたら、すぐに確認できる。」
「じゃあ、作るの四つかな。」
「あと二つ増やせぬかな。」
「将軍様!」
なぜか将軍様が、金さんと共に現れた。
「江戸城に行ったら、将軍が変っていてな。」
「何か起きてるなと、江戸のアジトに行ったらいねえだろ。転送器のとこ行ったら、転送先がここになっていたのさ。」
そこでマーキュリーの試作機以外に六台の「ぶたさん型蚊取り線香立て式歴史改変感知器」をど〇きつねたちが、天狗の力も借りて総がかりで作ることになった。
「ね、マーキュリー、長すぎない?」
「長い?もっとコンパクトにしろってこと?」
「そうね。」
「これ以上小さくするのは無理ね。」
「そう?『ぶたさん』でいいんじゃない。」
「あっ、名前のことね。」
「だって、これ『ぶたさん型蚊取り線香立て式歴史改変感知器試作機』でしょ。長すぎ。」
というわけで「ぶたさん」の製作をど〇きつねに任せ、十兵衛は600年前の京に再び行くことになった。
「そこまで行けるのは、十兵衛だけなんだ。よろしく頼むぞ。」
「向こうではわしらも力を貸しますよ。」
天狗たちがそういうと、初めて天狗を見た金さんは驚いて
「天狗って、本当にいたんだな。」
というのを長老天狗はちらっと見て
「山に帰ったら、あちらと記憶を同期しておきますよ。」
と言って帰っていった。十兵衛は転送器に向かった。
「銅像を24体も作るのか。」
教通は法成寺の道長を訪ね、計画を報告した。頼通はその膨大な予算に、主だったものを集め朝議を行うことを進言した。
「一連の事件に関わったものたちも集める必要があります。」
「朝議だと建前上、わしは出席できんな。」
道長と教通の反対で、朝議はこちらで打ち合わせが終わってからということで、関係者を集めることにした。
「この計画は急ぐ必要があるので、とりあえず私の私財で始めています。」
「ふむ。これはわしや、頼通も寄進すれば、他のものも出すんじゃないか。」
「そうですね。この寺も費用はそう掛からなかったのでしょう。」
「ああ、作るってなったら、次々と集まったんじゃ。」
「朝廷の予算はいつも不足してるというのに……まあこれで予算の心配は亡くなったかな。」
教通は今の朝廷の財政だと、銅像を24体も設置する予算は捻出できないことは分かっていた。そこで、父道長の力を利用しようと考えたのだった。
それから数日後、法成寺の広間に主だったものが集められた。
四納言、 藤原斉信、藤原公任、藤原行成、源俊賢
武官、 藤原保昌、源頼信、源頼義
その他 安倍吉平、安倍吉昌
これに、道長、頼通、教通が加わり話し合いが行われた。
「この24体、人選はこれでよさそうですな。」
「しかし、24体に限定する意味はあるのですか。」
この話にかかわりがなかった四納言から質問が行われる。これには吉平が答える。
「結界内を維持する核が必要なんです。」
「それから、最も大事なことが、歴史の改変が行われないこと。」
「教通殿、それはどういうことでしょうか。詳しく説明いただけませんか」
教通は、この後行われる歴史の改変が、及ぼす影響について語った。斉信も今は、頭から教通を否定せず、話を聞いてくれる。元々知に長けた四納言筆頭、理解は早かった。
「しかし、その改変が行われたことをどのようにして知るのですか。」
「それは、十兵衛殿!」
控えの間にいた十兵衛が姿を現した。
「これはまた、面妖な恰好をしておる。」
「私は柳生十兵衛と申します。官位でいえば父の宗矩は従五位但馬守でございます。」
「それほど官位の低いもの、しかもその息子」
「しかし、但馬は上国、軽んずるべきではなかろう。」
それまで事の成り行きを見ていた俊賢が、斉信をとどめて
「だが、国司に柳生というものはおりませんが、何かあるんですね。」
「はい。私は時空の旅人、縁あって六百年後の未来から来ました。」
「十兵衛殿は、六百年後の歴史を知っているんです。」
「歴史の成り行きを詳しく語ることは、正しい歴史を歪め、わたしたちの時代に影響を与えることとなります。だからここで必要以上に語ることはできませんし、ここで語ることは、決して漏らさないでほしいのです。まず、現実にここ数十年で何度かの改変が行われている形跡があります。」
「それはもしや、異界の門とかか。」
俊賢は、自分が不覚にも情報を取られていたことに負い目があった。それは斉信も同じで、自分たちにもかかわることだということに気づいていた。
「これが、今回の二十四体」
【酒呑童寺】 酒呑童子、ミスターコブー、茨木童子、金ぴか将軍。
【文官】 藤原道長、藤原頼通、藤原教通、藤原公任、藤原行成、安倍晴明、源博雅、藤原定頼
【武官】 源頼光、藤原保昌、渡辺綱、碓井貞光、卜部季武、坂田金時、源頼信、源頼義
【女官】 和泉式部、紫式部、清少納言、小式部内侍。
「それで、今回私が、あちらを立つ時に確認した銅像」
【酒呑童寺】 酒呑童子、ミスターコブー、茨木童子、金ぴか将軍。
【文官】 蘆屋道満、伴善男、源俊賢、蘇我馬子、蘇我蝦夷、道鏡、藤原能信、藤原頼宗
【武官】 藤原保昌、渡辺綱、碓井貞光、卜部季武、坂田金時、平忠常、安倍頼時、安倍貞任
【女官】 和泉式部、紫式部、清少納言、五月姫。
「12体が改変されているのか。」
【ごきょうくん】
おじいさんとのやくそくだよ。
昔は夏になると「ぶたさん」が活躍していたんじゃ。
大切に使うんじゃぞ。
何でこうなった?




