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酒呑童寺24像

おじいさんのありがた~い おはなし。

「銅像を作るのか?」

「うん。できるだけみんなの姿に似せてね。」

「まあ、俺の像は一番立派なものにしないとな。」

「そうね。酒呑童子さんは後の時代には、人を殺して生き血を飲む悪い鬼で、退治されたことになっているから、そうじゃないことを残した方がいいわね。」

「しかし、それだけだと鬼退治は無くならないぞ。」

 『酒呑童寺』の会議室では、小式部の提案で、銅像を設置する話が進んでいた。もうお腹の大きさが目立つようになってきた小式部は、安倍吉平と葛葉、そして鞍馬山のカラス天狗も呼んでいた。警備途中の頼義と、保昌、和泉式部の夫婦、そして教通も来る予定であった。ここまでの出来事とあまり関わらなかった鬼たちには事情がよくわからなかった。

「でも、何で銅像なんだ」

「あのね。歴史がおかしくなっているみたいなの。」

「どういうことだ」 

 先ほどから、600年後の自分と同期していた葛葉が説明を始めた。

「まず、あなたたち鬼族は、わたしたちと同じ月世界から移住してきたわよね。」

「どうしてそれを……、」

「あのさ、私、月世界人だったっていったでしょ。」

「そうか。ど〇うさぎですね。」

「わしらも金星から月、月からこちらに移住してきたんじゃが……。」

 長老天狗が口をはさむ。

「あのね600年後には鬼族は3人になっちゃってるの。」

「なんで?リーダーが酒ばっかり飲んでモテないからか。」

「鬼退治が続くのよ。本来の歴史だったら、ここであなたたちは退治されて絶滅するの。」

「絶滅……。鬼退治が流行ったもんな。」

「ここに逃れた俺たちは運がよかったんだな。」

「そう、あなたたちが他と違うのは、人を集めたのは音楽やダンスだった。それは、何がきっかけだった?」

「最初は、金ぴかの将軍様のダンスで、こぶとりなミスターコブーが現れたことか。」

「そう。歴史上はそんなことはなかったの。あなたたちは鬼退治でここで滅びているの。」

「誰が滅ぼしたんだ?」

「源頼光さんと四天王、保昌パパよ。」

「あの日、頼光さんと四天王攻めてきたな。」

「歴史の強制力か。」

「で、どうやっておさまったのかしら。」

「保昌殿の笛と……。将軍様だ!」

「そう。あの人はどうやら、あなた方の絶滅を防ぎたかったみたいなの。」

「でも600年後には……。」

「そう、まだ何か足りないの。」

「あのね。小式部ちゃん。」

「何?」

「600年後の私と同期したら、また小式部ちゃんのことが忘れられてるって」

「どういうことですか。」

「わたしが今までやってきたことが、ほとんどなかったことや、他の人がやったことになってるんだって」

「小式部さんの『酒呑童寺』での活躍は消せませんよ。」


「いや、そうでもないんだ。」

 保昌夫婦と共に、急いで戻ってきた十兵衛が答えた。

「どうもこの時代の何かを消そうとしているものがいるらしいんだ。」

「十兵衛さんが持ってきたお話だと、藤原家の人たちが消されて、私も変なところで消えてるわ。」

「狙いが、分かりませんな。それがわたしたち鬼族の絶滅と関係があるのですか。」

「あっ、そうかあなたたちは知らないのね。」

 葛葉が説明を始めた。

「月で生まれたあなたたちの魂は、地球の輪廻の輪に入れないの。で、それが地球の恨みや憎しみを持って死んだ人の霊魂と合わさると、大きな災害が起こるの。理由もなく退治されるあなた方の恨みと重なって、大災害や戦乱が起こるらしいの。」

「『小しきぶ』でも600年後の童話でも、酒呑童子さんは酒で酔わされてだまし討ちにあって退治されるんだ。『酒呑童子』レベルの鬼が悪霊になったら取り返しがつかないことになりそうだな。」

「なるべく、穏やかに寿命を全うするといいんですかね。」

「そう、その魂を回収するのが、本来の私の役目だったの。でも私はここで殺されて、悪霊になる所を晴明さんに救われて、式神になったの。」

 

「あのね。死んだ人の霊の強さはその人のことを信仰したり、大事に思っていたりすることで力を得るんだって、観音様も八幡様も天神様もお参りをして信仰する人々が力になっているらしいの。」

「だから、ここで存在を忘れられるということは、霊界での力を失う。よほど奴らには小式部さんが都合が悪いみたいだね。」

 途中から入ってきた頼義が話をまとめた。

「しかし、何から何を守ればいいのだ。わしは家族を守るので手一杯のようだ。」

「そうですね。わたしの家族が亡くなり、父や兄も狙われています。」

 頼義と共に入ってきた教通も答えた。そして

「私があの時見た悪霊たち、蘇我親子、伴善男そして道鏡が関係していることは確かだと思います。」

「あの阿弖流為さんのようにその力を取り入れようとしているのか……。つまり、自分の戦力を増やし、相手の戦力を削ぐという単純なことなのではありませんか。」

「まずは命を守る。魂はどうしたらいいんだ。」


「そこで、小式部さんと相談して考えたんですよ。」

ここでこれまで、黙っていた安倍吉平が一枚の図面を広げた。

「この『酒呑童寺』の周囲にこのように、守護の呪を施した巨大な結界を作ります。そしてここに、連続した怪異事件で活躍したり関わった人物の像を配置します。」

「わかったわ。600年後に失われている人を確認すれば、救うことができる。」

「それって、俺や葛葉さんがいること前提ですか?」

「そうね。まあヴィーナスやクマラもいるしなんとかなるかも。」


 そこで、みんなで話し合って、酒呑童子の正門から周囲にかけて24体の銅像を配置することになった。

 酒呑童子、ミスターコブー、茨木童子、金ぴか将軍。

 源頼光、藤原保昌、渡辺綱、碓井貞光、卜部季武、坂田金時、源頼信、源頼義 

安倍晴明、源博雅、藤原公任、藤原道長、藤原頼通、藤原教通、藤原行成、藤原定頼

 和泉式部、紫式部、清少納言、小式部内侍。

以上、現在亡くなっているものも含め、この時代最高の仏師たちによって銅像が作られることとなった。


【ごきょうくん】

おじいさんとのやくそくだよ。

この24人をなんと名付けようかな。

こちらは一日おきに更新しています。

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