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タイムパラドックス

おじいさんのありがた~い おはなし。

 十兵衛は江戸の時代に戻るため、伏見稲荷のアジトを訪れていた。十兵衛が使っている机の上に風車につけられた矢文が置かれている。

       ―江戸で待つ。 みつくに-



「わしは納豆は好きじゃが、これはのう。」

 ど〇きつねアジトでは、突然転送器から現れた老人と、そのお付きのイヌ、サル、キジの仮面をかぶった男たちが、ど〇きつねたちと、熱々のお茶と「甘納豆」で、午後のティータイムを過ごしていた。

「ふ~ん、お爺さんたち、50年近くも旅をしているんだ。」

「まあな。少し前までは一年に一度旅に出ておった。」

「50年って、おじいちゃんいくつ?」

「さて、いくつなんじゃろうな。この時代のわしはまだ若者のはずじゃな。」

「この時代のわし?」

「うむ。どうやら、現実のわし徳川光圀と、このわしは違うものらしいのじゃ。」

 マーキュリーが衛星端末にアクセスして、データを確認している。

「徳川光圀という人物が、全国を旅したという資料はありませんね。」

更にプルートのおかげで、アクセスできるようになった時空データベースを検索する。

「これから、約200年ぐらい先になって、お話が書かれるみたい。それまでもいろいろな講談はあったみたいだけど、それからさらに50年後には映画になって、更に50年後にはテレビ番組になって毎週悪人を懲らしめていたんだって。そのテレビ番組50年も続いたんだって」

「50年旅を続けたって、このことなのね。」


「後の時代の多くの視聴者が元の霊に力を与えて、変えてしまったんだって」

突然、転送室から出てきた十兵衛が、話に加わった。

「あっ、十兵衛君」

「おかえり、あっ刀見つかったのね。」

 十兵衛は片手に「神通剣(複)」を持っていた。

「御老公、はじめまして、柳生十兵衛です。」

「刀の件、解決したようですな。」

「ええ、多分この剣を含めて、六本になりました。」

 そこで、十兵衛は600年前の世界で、起こったこと、業平や天神様が話したことを伝えた。

「ふーん、それでその小式部って誰のこと。」

「大江山の説話が残ってますね。」

「え、覚えてないのか?都で会っただろう。」

「京では、プルートと観音様には会ったけど。」

「じゃあ、そこでお茶を飲んでいる葛葉さんは?」

「あたし、それは小式部ちゃんにはしばらく会ってないけど」

「江戸の町にも現れたってきいたぞ。」

「まさか。600年も前の人よ。」

 十兵衛は、自分が出発した時点での歴史が変っていることに気付いた。

「ふむ。歴史改変が行われたのじゃな。」

「歴史改変?」

「十兵衛殿が600年前に行ったことで、行った行為が結果として歴史を変えたということじゃ。」

「ちょっとまって、600年前の私?記憶を同期してみるわ。」

 葛葉は、自分の記憶があいまいになっていることに違和感を感じていた。

「なるほど、ループしてるのね。」

「どういうことだ?」

「600年前の私が、今の私と記憶を共有して、今の私が600年前の私と記憶を共有しているの。」

「それで?」

「大江山の銅像よ。」

「あの『酒呑童子』の像があったところ。」

「ええ、あれが改変のヒントとなると思うわ。」


 十兵衛はこの場にいるメンバーを見まわして

「おや、ヴィーナスさんは今日はいませんね。」

「あの子は、きっとどこかに隠れていて、『待たせたわ』とかいって出てくるのよ。」

「いや、実は向こうで、彼女と会ったんだ。」

「昔のヴィーナス?」

「いえ、俺のことは知っていたんで、今のヴィーナスさんだと思う。」

「何で。ヴィーナスが?」


「それは私から話すわ。待たせたわね。金星からの使者、ど〇ヴィーナスよ。」

「やっぱり隠れてた」


ヴィーナスは自分と、鞍馬山にいるクマラは元は金星から月へ移住してきたこと、そして他の天狗たちのことも話した。

 そこで十兵衛は、自分が歴史の改変に関わることをやったのかもしれないことに思い当たった。

「あのさ、マーキュリーさん。鎌倉の将軍は何代続いたんだ。」

「九代まで続いたみたい。」

「それは同じだな。で、全部源氏の将軍か。」

「もちろんよ。だから源幕府でしょ。」

「じゃあ。源義経は?」

「ああ、平氏を滅ぼした人ね。三代将軍実朝を補佐して、政権を乗っ取ろうとした北条氏を弱体化させたみたい。」

「そうなのか。それは良かった。」

「まあ、その後は、実朝の兄、二代将軍頼家の子、公暁に暗殺されたんだけど。」

十兵衛の知る歴史では公暁が殺したのは実朝であった。十兵衛はヴィーナスに向かって言った。

「俺は刀の件をクマラに頼んだだけなんだけど。」

「あのとき、鬼一法眼と頼義殿が戦うのは元の歴史にはなかったのよ。」

「俺が鞍馬山に行ったからか。」

「それで、鬼一とクマラがかなり手を貸したみたいね。」


「ということは、一度、この時代の人に広がった小式部内侍の話が、また消えたのは俺のせいか。」

 十兵衛は自分の行動を思い起こして気が付いた。

「金さんが持ってきた『小しきぶ』の本、渡したままだ。」

「多分それじゃの。見せても残しておくと他のものも見るしのう。」

十兵衛は急いで600年前の世界に戻ることにした。 



【ごきょうくん】

おじいさんとのやくそくだよ。

時間の取り扱いは注意するんだぞ。

タイムパラドックスが起こってしまうぞ。

ややこしいことになっている。

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