ホーガンvs虎仮面
おじいさんのありがた~い おはなし。
「おれは、鬼一法眼。この山で修行をしている。そこの二人、俺と勝負しないか?」
「二人?」
十兵衛とヴィーナスは顔を見合わせたが、その後ろに頼義がいることをすっかり忘れていた。
「俺か?」
ここまで、誰よりも状況についていけない頼義は、ただただ呆然と後をついてきたのだ。
「ふむ。私は話についていけませんから、後から十兵衛さん説明してください。私はその間この鬼一殿と手合わせをいたしております。」
と、言って部屋の隅で、いきなり服を脱ぐと、黒パンツ、そして服から仮面を取り出した。 そして、なぜか虎柄のマントを翻し、部屋の隅にある杭のようなもの上に立った。よく見ると、部屋の床はマットになっている。そして奥の壁の前にはロープが張ってあった。 そして、杭の上に立ったのは、虎の仮面、虎のマントの男!
虎仮面は片手を高く挙げると、一本の指を立てた。
「勝負だ!」
「頼義さんも訳が分からないことになってますね。」
「ヴィーナスさんは初めて会ったんでしょ。」
「ええ、そうですね。で、クマラあいつは何者?」
「鬼一はわれわれと鬼族とのあいの子だ。気性が荒いもんでここで修行と称して保護しているんだ。」
三人が話している目の前では、法眼と虎仮面が熱い戦いを繰り広げていた。静と真も小天狗たちと一緒になって応援している。
「頑張れ、タイガー!」
「出た!ローリンソバット。」
「おっと、アックスボンバーだ。」
「鞍馬山以外にも天狗の話は聞くが、俺の時代にはあまり聞かないな。」
「俺たちは鬼たちみたいにコロニーは造らず、人が近づかない山奥でそれぞれ住んでいるよ。友達に会いたくなったら、飛んで行けるしな。まあ物好きな人間が時々修行と言って登ってくるんだが、俺たちの恰好を真似てくるんだよな。」
「その山伏の恰好のことか?」
「ああ、これは俺たちの民族衣装だったんだがな。まあ、真似てくれたおかげで、うまく隠れることができたよ。」
「鬼退治はなかったってことだな。」
「まあ俺たちは飛べるからな。」
「ふん、それでお前は本当に鞍馬天狗じゃないのか?」
「人が鞍馬山の天狗だからそう呼んだんだろ、俺はサナート・クマラさ。漢字では魔王となってるけどな。」
「護法魔王尊だっけ、600年後にも鞍馬山の秘仏になってるよ。」
「おお!そうか。でも仏になっているのか。」
「まあ、祀られているんだから、悪霊にはならないだろうさ。」
「悪霊?」
「なんでも、異世界の者がこの世界で死ぬと、地球の輪廻の輪に入れず。怪異となって、地球の死者の怨念と結びついて災難を起こすらしいんだ。」
「じゃあ、鬼たちは?」
「鬼退治が流行って、集落ごと滅ぼされたらしい。俺たちの時代にはもういないよ。」
「コロニーがいくつも失われたとは聞いていたがそうなんだ。」
「この時代に退治された酒呑童子は、将軍様が助けたらしいんだ。」
「ああ、大江山の。」
「知り合いか?」
「酒好きな奴だから、退治される前に病気で死ぬんじゃないかな。」
クマラと十兵衛は話しているうちにかなり仲良くなったようだった。ちょうどそのころゴングの音が鳴った。マットの上には鬼一と頼義が倒れていた。決着はダブルノックアウトだったようだ。二人は小天狗たちに助け起こされていた。
起き上がった二人は硬く抱き合い互いの健闘を.たたえている。
「これだけ強い人間にあったのは初めてだ。」
「いや、鬼の強さと、その身体で天狗の素早さ見事です。」
頼義はマスクを取り、渡された手拭いで身体を拭くと、直垂を着て元の姿に戻った。その様子を見ながら、鬼一法眼はいいことを思いついたように話しかけた。
「お前を友と呼んでよいか。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「それでは友の証に何かほしいな。」
「友の証ですか。」
「うむ。その刀を貸してはくれぬか。」
鬼一は頼義の腰に差された「鬼切」を指さした。
「いや、これは我が家累代のもので渡すわけには……。」
「くれと言ってない。ちょっと貸してくれ。」
「必ず返してくださいよ。」
頼義は「鬼切」を心配そうに手渡した。
「ちょっと待っててくれ」
と、言うと鬼一は「鬼切」を持って隣の部屋へ入っていった。しばらく待つと、鬼一は二本の刀を持って戻ってきた。
「これは?」
「こちらが頼義殿の刀、こっちは同じものを複製機で作ったものだ。」
頼義が二本の刀を見比べ持ち比べても差がなかった。わずかに自分の刀の柄についた汗染みで自分のものと判断できた。
「そうだな。この刀に名はあるのか?」
「この刀は渡辺綱殿が茨木童子を切った『鬼切』っていうんだ。」
「そうか。それじゃ俺のは『鬼切丸』っていうのはどうだ。」
二人の会話と様子を見て、十兵衛は唖然としていた。クマラも二人を見て
「いいな。俺にも一本作ってよ。いいだろ。」
「友の証だから、無理だよな頼義殿。」
「うるせー!」
といって、クマラは鬼一の刀を取り上げて、隣の部屋に入っていった。そしてうれしそうに二本の刀を持って戻ってきた。
「よし、おれも名を付けよう。お前たちセンスがないんだよな。おれはそう『薄緑』ってのはどうだ?」
十兵衛はもう気絶しそうになっていた。
「クマラ様」
「どうした改まって」
「その剣、これから約180年の後、現れる頼義殿の子孫に渡してあげて欲しいのです。」
十兵衛は約180年後にこの鞍馬山に現れる源氏の子孫、『薄緑』の名刀を持つ男のことを知っていた。そしてその男が悲劇の英雄であることも
「そうか。何か起こるんだな。」
「ええ、ここでは言えませんが」
「俺も頼義の子孫なら、力になるよ。任せとけ」
そうこの悲劇の英雄、源義経は鞍馬山で天狗に剣術や兵法を学び、「薄緑」の名刀を持ち平家を滅ぼし、やがて平泉の地で非業の死をとげることになるが、その最期まで鬼一は供として仕えたという。武蔵坊弁慶という名前で。
【ごきょうくん】
おじいさんとのやくそくだよ。
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やめような。
昭和のプロレスw




