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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お嬢様が婚約破棄をされたので浮気相手に戦車で特攻(ぶっこみ)した忠義メイドの話

作者: 山田 勝

「エリザベスのバーカ!バーカ!婚約破棄だぜ!」

「エリザベス様、ごめんなさい。この人、私がいないとダメなのです・・」



 お嬢様が婚約破棄を宣言された。

 私はケリー、17歳のお嬢様付のメイド。


 お嬢様は15歳の公爵令嬢・・

 相手は王子様。


 お嬢様は深い青の目をキィとつり上げて扇で口元を隠してフワと黒髪がたなびくぐらいの勢いで背を向けて会場を後にした。私は慌てて後を追う。



 お嬢様は釣り目だけど美人さんだ。

 顔は一見厳しいけども、実は優しいということはなく、とても厳しい見たまんまな方だ。


 さすがに、王家の裁定を待つだろう。


 と思っていたら。



 公爵家に私の弟と妹が来た。お嬢様に招待されたらしい。



「フフフフ、トム君とリリーちゃん。気に入ってくれたかしら」


「ワーイ!エリザベス様、有難う。これ欲しかったんだ。勇者セット」

「エリザベス様、クマのヌイグルミちゃん有難う・・」



 プレゼントされている。

 何故?



「わ、お姉ちゃん。こんなに優しいお嬢様にお仕えできて羨ましいわ」

「姉ちゃん。エリザベス様が勇者セット買ってくれた・・」


「フフフフ、日頃のケリーの献身に比べたら、どうってことはないわ」



 な、何?私、褒められているが、弟と妹が物で釣られている・・・・買収?何故?

 嫌な感じしかしない。


「さて、これから仕事だわ。トム君、リリーちゃん。馬車で気をつけて帰ってね」


「「はい」」



「ケリーついて来て」

「はい・・」


 この家には公爵夫人がいない。お嬢様が小さい頃に亡くなられた。

 そして、公爵はいつも遊び歩いている。


 実質、お嬢様がお屋敷の仕事をしている。



 庭のお抱えのドワーフ工房に来たわ。


 カン!カン!


「あ、お嬢様、出来ましたぜ」

「そう、間に合ったのね。さすが親方だわ」


 何かしら、鉄の荷車に、長い鼻がついているわ。



「動力は魔道炉です。ギアは水車の歯車で応用しました。バックできます。二人乗りです」

「そう、異世界戦車が出来たのね。で、大砲は?」

「はい、お嬢様が言われた夢の国には遠く及びませんが、黒色火薬仕様、37ミリ砲の単発です・・」

「分かったわ。実地で威力を確かめるわ。ケリー入って」


「はい」



 私は箱の中に乗り。簡単な操縦の仕方を習った。


「これがハンドルね。前へ行きたいときはここを踏んで・・・」


 いつもは厳しいお嬢様が優しい。


「では、パンツアーゴーよ」

「はい!」


 どうやらこれは魔道車のようだ。

 前は小さな窓しかない。良く見えない。


 お嬢様は上から顔を出して、指示を出してくれる。


「まっすぐよ」


「とまれ!」

「ここは王城だぞ!」



「あら、私はガーランド公爵令嬢のエリザベスよ。ケリー!ゴーよ」

「はい」


 ガタガタガタ!



 何か、戦車の前に大勢の騎士様たちがやってきたわ。

 これって。



「お嬢様、もしかして、この魔道車で王子を・・・殺そうとしていませんか?」

「・・・・・」


「何故、無言なのですか!」


 そしたら、お嬢様は名乗りをあげだした。


「ガーランド公爵家の総領娘エリザベス!とその忠義メイドのケリー、ゲオハルト殿下の愛人、マリアに後妻討うわなりちに参った!」


 え、後妻討ち?浮気された奥様が、浮気相手を襲撃する風習?


「あの、お嬢様、何故、私が正式に王家を襲撃しているスタッフになっているのですか?」



「一発、撃ったら進むわ!」


 ドン!


 黒煙が魔道車内に入ってきたわ。


 黒い鉄玉がシュルシュルととんで、王宮の部屋を壊したわ。


「んだこら、ボケ、馬鹿、阿呆、エリザベスと思ったらやっぱりエリザベスか?!」


 ゲオハルト殿下が出てきたわ。


 ドン!


 と撃って、黒い球が王子の腹に当たったわ。


「グゲー!」


「まあ、黒色火薬で100メートル先だから、死にはしないわね・・残念」


「ヒィ、お嬢様、もう、お止め下さい。何故、襲撃するのですか?」

「だって、王子に未練はないのだけども、面子があるじゃない」

「この場合、浮気相手でしょう!」


 ヒィ、もういやだ。

 と思ったら、王子の浮気相手、マリアがやってきたわ。



「エリザベス様、ごめんなさい。殿下は私がいないとダメなんです・・」

「そう、本当にダメよ。いつも見ていない振りをして胸元を覗いているのだから」

「知っています。あんなダメな男、放っておけません」


「そ、なら仕方ないわね・・ケリー、バックして」

「は、はい、帰れるのですね!」


 バックギアをいれて思いっきりアクセルを踏んだら。


「ウワワワワー、暴走魔道車だ!」

「何てことを、こっそり捕まえるハズが、察知していただと」

「運転している奴は誰だ?」



「あら、ケリーやるじゃない」

「ヒィ、もう逃げますから!」


 私は何故か城壁まで登ってしまって。


 そのまま堀まで落ちた。


 バチャン!


 しかし、魔道車は沈まない。


「あら、水陸両用と書いている。このボタンを押せばいいのかしら・・」

 ポチッと押したら。


 戦車の後方からスクリューが出て、そのまま水の中を進めたわ。そのまま騎士団をまいて屋敷に戻れた。



 その後、婚約は破棄になり。お嬢様に多額の賠償金が支払われた。


 私は他のメイド仲間から、敬遠されているわ。


 ヒソヒソ~

「まあ、狂忠義メイドよ・・・魔道車で騎士様を追い払って」

「事故が起きなかったのが不思議と言っていたわ」


 ヒソヒソ話が聞こえているわ。


 赤毛の男に道を塞がれた。



「おう、お前、おもしれー女だな」

「し、失礼ですよ」


「気に入った!俺は辺境伯家の騎士、アレックス、気の強い女が好きなのだ」


【もう、そういうのいいですから!】


 私が絶叫したら、殿方は喜ぶ。


「そうだ。騎士の妻はそれぐらいが丁度良い」


「じゃないわ!」


 ズボッとみぞおちに頭突きを喰らわせた。

 これでさすがに好き好きにはならんだろうと思ったら、釣書が来た。


 もう、どうしたらよいか分からないが、お嬢様はお給金をあげてくれたからもう少しいようと思う。



最後までお読み頂き有難うございました。

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