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詩《うた》をきかせて  作者: 生永祥
9/54

★第9話 漣《さざなみ》

コバルトの海を映すその瞳は

危うげで

波が来れば

攫われそうで


僕なんて

潮風より軽いのだろう?


塩辛い水を舐めて

地団駄を踏んだ


かもめは見ていた

浅はかな恋の

行くすえ、知るすべが浜辺にあること


さざなみのように揺れる小さな肩

波を掻き分けるよう

その肩を引き寄せたい




あかつきの海をなぞるあの瞳に

くっきりとあとを残す

……消えないように


僕でなく

そうしたのは誰だったんだ?


仄暗ほのぐらい海の底へ

堕ちていく心


素肌に刻んだ

日に焼けた恋の

行く末、知る術が「今」にはないこと


漣のように迷う小さな肩

砂をきしませるよう

その肩を抱きしめたい




ぽつりぽつりと

君が吐いた泡より儚い言葉が

くらりくらりと

僕を酔わす


掻き消す勢いで





漣のように揺れる小さな肩

波を掻き分けるよう

その肩を引き寄せたい


漣のように迷う小さな肩

砂を軋ませるよう

その肩を抱きしめたい




――『漣・倉松紅』


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