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詩《うた》をきかせて  作者: 生永祥
13/54

★第13話 bitter medicine

痛みを止める

鎮痛薬を飲み干して

霞んだ視界を

クリアにして

目を開く


お前は哀れだ、と

決めつける大人の視線をかわして

街の中を歩いていく


都会の喧噪が心地よい

そんな夜は

どこか夢見心地で

僕は夜の街を独り踊る


この喧噪が

自分の存在を消し去るようで

このまま

この街に溶けたら良いのに、と

密かに祈る

そんな日々に


噛み砕く

bitter medicine

あめ玉のように

優しくは溶けない


思い出す過去の苦さを

消さないように

もう一度、噛み潰した




心を癒す

精神薬を飲み込んで

危ない思考

カオスはまだ消えなくて


他人と同じで、と

言いつける

大人の理想を壊して

海の波間を駆けて行く


耳元の潮騒が気持ち良い

そんなよい

何故か笑いが止まらず

僕は闇の海を振り返る


あの潮騒が

貴方の声色を思い起こして

どうにか

この音が変われば良いのに、と

密かに願う

そんな時は


噛み砕く

bitter medicine

あめ玉のように

丸くはならない


繰り返す日々の嘆きを

消し去りたいと

もう一度、噛み潰した




山が出来ていく錠剤みたいに

降り積もっていく

君の感情


蓄積していく成分のように

散り積もっていく

僕の日常




噛み砕く

bitter medicine

あめ玉のように

優しくは溶けない


思い出す過去の苦さを

消さないように

もう一度、噛み潰した


噛み砕く

bitter medicine

あめ玉のように

丸くはならない


繰り返す日々の嘆きを

消し去りたいと

もう一度、噛み潰した




――『bitter medicine・倉松紅』


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