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詩《うた》をきかせて  作者: 生永祥
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☆第11話 オーバーヒート

「何だ、騒がしい」


 驚いて小夜子が後ろを振り返ると、小夜子よりも5センチメートルほど背の高い、小柄な学ラン姿の男子学生が立っていた。


「あ、藤永くん」


 小さな声で「おはよう」と小夜子が声をかける。

 すると藤永大賀ふじながたいがは、小夜子を取り囲んでいるクラスメート達をじろりと見渡した。


「皆、寄ってたかって、立花に何をしているんだ?」


「端から見ていると、弱い者いじめをしているようにしか見えねぇぞ」と言いながら、大賀は溜め息を付く。

 そして右手で頭を掻きながら、皆の一歩手前に身体を突き出して小夜子に質問をしていた美香に向かってこう言った。


「川村。あんまり立花を質問攻めにするなよな。あんまりしつこいとお前、小姑みたいにしか見えねぇぞ」


 その言葉にカチンときたのか、美香が「はぁ!?」と声を荒らげる。すると自分よりも背が低い大賀を、美香は見下ろしながら、右手の人差し指で指差してこう言った。


「チビのあんたの忠告なんか、絶対に受けたくないわ!」


 その言葉に火がついたのか、大賀は顔を真っ赤にして、美香に激しく怒鳴りつけた。


「身長は関係ねぇだろ!人が親切で言ってやっているのに、何だ、その言い草は!」

「親切!?あんた親切って言葉の意味をちゃんと分かっているのでしょうね?」

「現代文で赤点を取るお前には言われたくねぇ!」

「あんたも赤点組の常連でしょうが!」


 ぎゃあぎゃあと騒ぐ大賀と美香に、それまで小夜子に向けられていた興味と視線が一気に二人の方へと移動する。

 どんどん口論が激しくなっていく二人を、おろおろとしながら小夜子は見ている事しか出来なかった。


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