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詩《うた》をきかせて  作者: 生永祥
10/54

☆第10話 注目の的

 次の日、学校の教室に入ろうとすると、出入り口のところで、いつもは話しかけないクラスメート達が一斉に小夜子を取り囲んだ。


 いきなりの事で訳も分からず困惑する小夜子を横目に、クラスメート達は口々に言葉を発した。


「立花さん、昨日、若菜先生に大怪我をさせたんですって!?」

「あの鉄面皮に怪我をさせたのだから、相当怒られたんじゃない?」

「下手したら一生恨まれるな。くわばら、くわばら。あぁ、可哀想な立花!」


 クラスメート達は興味津々といった様子で、嬉々としながら、小夜子に次々と声をかける。


 そんなクラスメート達の様子に混乱した小夜子が、恐る恐る声を出した。


「あ、あの、なんで皆、その話を知っているの?」


 するとこのクラスの中の中心的な存在である川村美香かわむらみかが、クラスメート達を代表してこう言った。


「立花さんが若菜先生に怪我をさせたって話、学校中の噂になっているのよ。何でも立花さんが若菜先生に突進してぶつかって行って。倒れた拍子で頭を打った若菜先生は、打ちどころが悪くて、今、病院に入院しているんですって?」


「にゅ、入院!?」


「噂ではそうなっているけれど……。あれ?違うの?」


 さぁーっと顔が青ざめていく小夜子をよそに、美香はどんどん話を続ける。


「物静かな立花さんが、そんなに大胆な事をするなんて意外だったわ。若菜先生に向かってぶつかって行くなんて。……立花さんって、意外と度胸があるのね。すごいわ、私には絶対に真似出来ない」


 次々と言葉を紡ぐ美香の声も耳には入らない程、小夜子の頭の中は、昨日の若菜との一件でいっぱいだった。


――わ、若菜先生が大怪我。しかも、私のせいで。


――にゅ、入院ってことは、どこか打ちどころが悪かったのかなぁ。あぁ、どうしよう!


 クラスメート達の質問も加熱し、収集が付かなくなり小夜子が困っていた、その時だった。

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