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断章:これまでのあらすじ(第13章までのネタバレ注意)

先月は多忙のため更新できませんでしたが、今月から更新を再開したいと思います。

※ネタバレ注意。第9章から第13章までの物語のあらすじが書かれています。これまでの出来事を整理するのにご利用下さい。



▼第9章

 冒険者リアは親友との別れを経験しながらも魔王ダスクを打ち倒し、長きに渡る魔王戦争を終結させた。

 彼女はこの功績を掲げて王室へと舞い戻る。

 かくして冒険者リアの物語は終わり、途絶えていた王女アステリア・ブレイドワース・ラトリアの物語が再び始まるのであった。


 それから約一年後の天暦1047年11月。

 アステリアは表向き王女として動きつつも、王家への復讐心や「女王となって社会を改革したい」という野望を変わらず抱き続けていたが、彼女を取り巻く状況は大きく変化していた。


 ラトリア国王バルタザールから帝都近郊のウィンスレット侯爵領を賜った彼女は、その地を「ブレイドワース辺境伯領」と改名した上で勢力拡大の為の拠点として運営。飽くまで野望を叶える手段ではあるが、誠実な運営を心がけており良き領主として民から慕われている。

 利用価値があると見て身柄を押さえたルミナス帝国皇帝アウグスト、皇女チャペル、アルケーとは互いに不信感を抱いているものの、表面上は穏やかな共同生活を送っている。

 終戦前からアステリアに目を付けていたエストハイン王国女王レンとは友好関係を築いている。

 一方、かつてのパーティメンバーとは以前よりも疎遠になってしまった。ライルは人生を模索するための旅に出ているし、ウォルフガングは近衛騎士団長として復職し、他の王族に仕えている。

 魔王ダスクを殺害したことから、《夜明けをもたらす光(デイブレイク・レイ)》ともギクシャクしたままである。

 また、政治的対立から友人であったルアやフレイナとの関係も悪化している。二人は第一王子ライングリフを中心とするラトリア国家主義者の勢力である「ライングリフ派」に属しているのだ。

 ただでさえライングリフが仇敵であるのに加え、彼らは不穏分子の弾圧の為、ルミナス帝都を各国で共同統治して流刑地「ソドム」とする「ソドム合意」を推し進めてきた。この急進的なやり方は倫理的な意味でも、「ライングリフに権力が集中する」という意味でもアステリアには認められないものだった。


 そんな状況下で、アステリアは天神聖団の招聘を受ける。

 聖団の最高指導者「法王」とラトリア第ニ王女レティシエル、《夜明けをもたらす光(デイブレイク・レイ)》のアダムが中心となり、《権限》を持つ者の集まりである「聖人会」を結成しようというのである。

 国家や組織に縛られず、天上大陸各地の紛争に介入することで世界の秩序を守るのが目的であるようだが、一騎当千の強者たちを聖団が利用しようという魂胆が見え透いていた。

 その上でアステリアは「であればこちらも立場を利用してやろう」と思い、結成および参加に合意するのであった。



▼第10章

 聖人会の一員として組織を周知させる為の活動にも携わるようになり、より多忙を極めていたアステリア。

 そんな彼女のもとにライルがやってくる。

 彼は旅を経て「終戦によって世界が平和になったどころか悪化しつつある」と悟り、再びアステリアの下で戦うことを求めたのだ。

 アステリアは「ウォルフガングやルア、フレイナと戦うことになるかも知れない」「仇敵であるアウグストたちを形だけでも許さねばならない」「この先の戦いに勝っても自分が幸せになることはない」と覚悟を問うが、ライルは強い意志を示し、最終的には仲間となることを認めた。

 その日の夜、彼女はアウグストたちに自らの野望を打ち明ける。アステリアが単に我欲の為に成り上がるのではなく世界をより良くしようと考えていることを知った彼らは、不信感を完全に払拭するとはいかないまでも、彼女に対する認識を改めるのであった。


 それからしばらく《迅雷剣バアル》の貸与を求めたライルの訓練に付き合うアステリアであったが、ある日、ブレイドワース辺境伯領に大量の凶暴化した魔物が押し寄せる。

 また、それに乗じて盗賊団まで襲来するも、アステリアらが魔物を手早く一掃したこと、ライルが盗賊団の長であるリルを捕らえたことにより早期決着となった。


 リルを尋問するアステリア。彼女の正体はかつての《ヴェンデッタ》の一員、ネルの姉であった。ネルが呪血病であったことを知らず、《ヴェンデッタ》が彼女を死に追いやったと思い込み復讐を果たそうとしていたのだ。

 アステリアとライルはその誤解を解いた後、ここに至るまでの経緯を聞き出す。

 リルの盗賊団はライングリフの策略に嵌まってソドムに送られたが、妙なことにソドムの兵士から武装や魔物を凶暴化させる薬を与えられたという。

 今回の事件の背後に何らかの陰謀が存在することを知ったアステリアは、その陰謀に立ち向かうため、優秀な人材を増やすため、ネルとの縁を手元に置いておくために、リルと彼女の盗賊団を味方に引き入れることにした。

 そしてアステリアは、自身の協力者たちに《アド・アストラ》という名を与えるのであった。



▼第11章

 ソドムの内情をどう探ろうかと考えているアステリアのもとに聖団の使者が現れる。

 ついに聖人会による武力介入の対象となるかも知れない議題が持ち込まれたようだ。

 議題を持ち込んだのは、世界最大の商業組織《ヴィント財団》の長にして西方連合の代表的存在であるクロード。

 彼はまず《権限》所有者たちに聖団領アレセイアへの即時転移が可能な疑似特異武装を提供した後、説明を始めた。

 西方連合に属する或る国が、民を弾圧するばかりか《財団》が民の為に提供した資金を横領し、ニ番手の商業組織《ドーンライト商会》に流しているため、聖人会による制裁を行って欲しいという。

 クロードが敵対組織を弱体化させる為に聖人会を利用しようとしているのは明らかだったが、「聖人会が動いた」という前例を作り、自分も利用しやすい状況を作るため、アステリアはこの提案に同意することにした。


 後日。アステリアはリルとライルにソドムの潜入調査を依頼し、自身は制裁に向かう。

 調査の結果、各国の高官や軍人、兵士で構成された「ソドム統治軍」が住民を扇動して独立を企てているということが判明する。

 制裁から帰還したアステリアは二人の報告を受けると、「黒幕はライングリフであり、統治軍を陰から操ることで共同統治状態であるソドムを独占しようとしている」と結論付けた。

 また、リルたちに辺境伯領を襲撃させたのは自分たちの力を削ぐ為であるとも。


 アステリアはこの状況を打開するため、聖人会にソドム統治軍に対する制裁を依頼。

 ライングリフ派のルアとフレイナ、ウォルフガング、クロードは反対したが、賛成多数で可決された。

 かくしてソドムを舞台に、アステリア・レン・《紅の魔人》アレス・《夜明けをもたらす光(デイブレイク・レイ)》の面々・レティシエル・聖団騎士長アルフォンスを中心とする少数精鋭の部隊と、ライングリフ派の協力を得たソドム統治軍の戦いが始まった。

 最強の剣士ウォルフガング。高火力の《権限》を持つフレイナ。時間停止という反則級の《権限》を持つルア。アステリアはこれらを作戦によって乗り越え、ソドム統治軍を降伏させた。


 戦いは聖人会側の勝利で終わった。しかし、戦後処理に関する会議が長引いている隙を突いて、ライングリフは「何らかの方法」によりラトリア王国正規軍をソドムに展開、一気に制圧するのであった。

 


▼第12章

 ライングリフは「共同統治という形を取ったために統治軍は暴走した。今後はラトリアが責任を持ってソドムを管理する」と主張。巧みな演出によって世間に自らの正当性を認めさせた。

 ライングリフ派の勢力拡大を抑えたいアステリアは、ライルやリルほか数名を王都に派遣し、ライングリフ派を失墜させるようなスキャンダルを探させることにした。

 また、武力衝突に備えて資金を集めるため、アルケーに「人々の生活水準を向上させる為の市販用《術式》の開発」を依頼する。もともと戦闘の為ではなく生活の為に《術式》という技術を生み出したアルケーはこれに乗り気であった。

 更には聖人会にソドムへの再介入を要請するも、これは否決に終わってしまう。しかし、会議の場でレティシエルと個人的に協力関係を結ぶこととなった。


 天暦1048年4月下旬。

 アステリアは王都から帰還したライルたちの報告を聞き、ライングリフ暗殺未遂事件が起きたこと、自分が暗殺教唆をしたということにされているのを知る。

 また、王妃マリーシエルが国王に毒を盛っていることも。レティシエルの陰からの協力もあり、ライルたちはその証人である薬師を確保していた。

 アステリアはリルを再び王都に送り、暗殺未遂の真犯人を探らせる。


 そんな中、暗殺教唆疑惑を理由に第一王女ローラシエルが兵士を連れて辺境伯領にやって来る。

 証人の身柄を奪われることを避けるためアステリアが強行調査を拒否すると、ローラシエルが戦いを挑んでくる。

 はじめはローラシエルのプライドを利用して一対一の対決を行っていたが、ライングリフ直属と思われる兵士が割り込み、結局は全面衝突が始まってしまう。

 アステリアは自軍を守るため、切り札として隠していた魔王ダスクの剣――《魔王剣アンラマンユ》を召喚。敵軍を壊滅させ、ローラシエルをも殺害した。

 憎き姉への復讐を果たしたと同時にひとまず脅威を凌いだアステリアであったが、まだ疑惑が晴れておらず、立場は危ういまま。

 彼女はリルの部下から「暗殺未遂の実行犯はテログループ《北ラトリア解放騎士団》の残党であり、現在の彼らの雇い主であるローラシエルの指示によって動いていた」と聞く。


 アステリアは王家の罪を告発して彼らの支持を下げつつ身の潔白を証明するため――そして、この窮地を逆に活かす形でライングリフに宣戦布告を行うため、証人と共に王都へ赴いた。

 彼女はライングリフ派が王位継承を早める為に国王に毒を盛ったこと、ローラシエルが暗殺教唆疑惑を演出して辺境伯領攻撃の名目を作ったこと、更には冷遇された過去すらも民衆の前で明かす。

 その上で「国王の保護」「腐敗したライングリフ派の打倒」を目的とした戦いを挑むことを宣言し、「共に立ち上がりましょう!」と締め括った。

 これを受けたライングリフは全ての罪を母マリーシエルに押し付け、彼女を処刑するのであった。


▼第13章

 王都に赴く前、アステリアはアウグストたちに今後の計画を伝えていた。

 これまでの戦いから、ライングリフ派がソドムに兵を転移させる「何らかの方法」を有していると察した彼女は、まずソドムを取って背後の安全を確保せねば最終目標である王都の制圧は叶わないと考えた。

 そこで、まずはソドムを制圧すべきだと語った。その上で皇帝家にルミナス帝国の復活を宣言することを求めた。

 自身が王座についた後は対等な国として協調していきたいとも。

 既にアステリアのことを信頼していたアウグストとチャペルはこの作戦に乗ることにした。

 帝国復活後、アルケーは皇帝家に付き従おうとしていたが、アステリアは「女王になったら呪血病の研究環境を整える」ことを条件に、自身の傍に居ることを要求する。

 アルケーはこれを承諾したのち、今まで話していなかった魔王ダスクことレイジとの出会い、そして地上世界で見たものについて打ち明けるのであった。

 この世界にはまだまだ謎が多いことを実感したアステリアは、改めて「女王にならねば」と決意した。


 時は現在。

 アステリアは聖人会が体制の変更によって実質的に法王やレティシエル、アダムといった中心的メンバーの私兵になったことに不穏なものを感じつつも、レンとその配下の《黄泉衆》、冒険者パーティ《竜の目》、《魔王軍》の残党が集まった組織の一つである魔興旅団とその長ヴェルキンなどとの協力関係を結んでいく。

 

 そして六月半ば、ついにソドムへの進軍を開始した。

 立ち塞がるのは王国正規軍の亜人部隊とその長メリサンド。その部隊の隊員だったことがあり、メリサンドの古くからの知り合いでもある《竜の目》のゲオルクを中心に対抗する。

 一方、ソドム目前まで抜けたアステリアたちは防衛部隊の遠距離攻撃やフレイナの砲撃によって多くの犠牲を出しながらも辛うじて城壁を攻略し、内部に突入。

 防衛部隊の指揮官である第三王子ローレンスとの対決の末、彼を殺害した。

 また、人員を転移させる手段であった疑似特異武装の破壊にも成功する。


 戦いはアステリアたちの勝利で終わったかに思われたが、そこに聖人会が介入。

 アダムの狙撃魔法によってアウグストが殺害されてしまう。

 その後、聖人会の面々が撤退したものの、今度は辺境伯領がフェルディナンドの父率いる部隊による襲撃を受ける。

 アステリアは悲しみに暮れるチャペルを置いてすぐに領地に向かい、部隊を殲滅したがもはや手遅れであり、既に家屋の殆どが焼き払われ、住民も虐殺されていた。

 

 必死に運営してきた領地を喪ったアステリア。父を喪ったチャペル。

 しかし二人は絶望に屈しない。

 王女は「外道」として生きる決意を改めて胸に抱き、皇女は後継者としての責任感と配下の忠誠心に支えられ、前に進み続けるだろう。

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