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断章:これまでのあらすじ(第一部ラストまでのネタバレ注意)

※ネタバレ注意。主人公のアステリア視点で第一部ラスト(8章34節)までの物語のあらすじが書かれています。これまでの出来事を整理するのにご利用下さい。

 なお本作は半ば群像劇のような作りになっており、ここで触れられていないキャラクターや出来事、描写も全て重要です。(アステリア視点で分からないことはここには書かれていません。)

 ここから第二部の物語に入ることも可能ですが、第一部を読むことを推奨します。

 母親からの無関心や学校でのいじめ、争いや差別の絶えない世界に絶望して自殺した女子中学生「御剣星名(みつるぎ・せな)」は転生し、アステリア・ブレイドワース・ラトリアとなった。

 彼女はラトリア王国の第三王女だが、母エルミアが平民かつ側室であったため、王妃やその子供である兄・姉からの嫌がらせを受けていた。

 天暦1040年、天上大陸の支配を目論む魔族の軍勢である《魔王軍》が王都に攻め込んできた際、母ともども他の王族から見捨てられ、戦場となった王都からたった二人で脱出する羽目になる。

 その中で母を喪い、ショックで前世の記憶を蘇らせると共に、異能を宿した剣「聖魔剣」を自在に操る《権限》――《乙女の誓い》を得た。

 その後、王家の命令に逆らって二人を救いに来たリーズ、ライル、ウォルフガングと共に王都を脱出し、四人で冒険者パーティ《ヴェンデッタ》を結成する。

 それから五年。《ヴェンデッタ》は冒険者パーティランキングの上位十組、通称「序列入り」と呼ばれる有力パーティの一つとなっていた。


 アステリアは一見、明るく前向きな性格だが、実際は人間不信で強い防衛本能を抱きながらも愛を渇望している、矛盾を抱えた繊細な少女である。

 表向きの性格は冒険者として生きる中で世渡りの為に身に付けたものであり、本質としては後者。

 悪をなす者は種族・階級を問わず容赦なく斬り捨てる一方、人格が善良であれば差別せず、無理のない範囲で手を差し伸べようとする優しさも持っているが、「より多くを救う」為に必要であれば彼らを見捨てることを選べてしまう冷徹さもある。

 冒険者としての活動方針は「世に蔓延る悪の殲滅」であり、困難な依頼を報酬度外視で積極的に引き受けることから冒険者界隈では畏怖されている。



▼第一章

 ある日、王都のスラムで人が連れ去られて奴隷として売買されるという「人さらい」事件を解決する依頼を受ける。

 人さらいを行った無法者たちの拠点に侵入し、壊滅させたことで事件はひとまず終息したが、彼らの裏には《エグバート商会》なる黒幕が存在することを知り、「このままにしてはおけない」と思ったアステリアは依頼とは関係なく独自に調査を行う。

 また、人さらいに捕まっていた身寄りのない獣人の少女ネルを保護することになる。彼女はあらゆる生命が発症しうる不治の病「呪血病(じゅけつびょう)」を患っていた。



▼第二章

 ネルと共に日常を過ごしつつ《エグバート商会》を追うアステリア。

 そんな中、序列入りパーティである《蒼天の双翼》が壊滅するという事件が起きる。

 続けて、同じく序列入りのアステリアたちや《輝ける黄金(ゴールドライツ)》、《竜の目》もならず者の集団による襲撃を受ける。

 彼らは自衛のため、協力して「冒険者連続襲撃事件」を解決することにした。


 アステリアは状況を整理していくうちに、ネルが事件の黒幕に利用されていることに気づく。

 これを逆に利用する形で突き止めた敵拠点を探索し、黒幕の正体が序列入りパーティ《狩人の刃(ウェーナートル・ラーミナ)》であること、そして彼らと《エグバート商会》が協力関係にあることを知った。

 アステリアたちは彼らの本拠地である「ルグレイン伯領」への総攻撃を仕掛ける。

 ルグレイン伯の屋敷に突入したアステリアは単身、《狩人の刃(ウェーナートル・ラーミナ)》の長であるヴィンセントという男と対峙する。

 彼の目的は他の序列入りパーティを排除して序列を駆け上がり、ラトリア王家に取り入って王国を影から支配することであった。

 そして、アステリアが「かつて死んだ筈の王女」であることに勘付いていたヴィンセントは彼女に協力を求め、代わりに「女王になれるよう協力する」と語る。

 苦しみに満ちた世界を改革したいと望むアステリアはその提案に魅力を感じつつも、非道な行いを続けてきた悪であるヴィンセントを許すことは出来ず、激戦の末に討伐する。

 その後、アステリアは屋敷の地下室で兄である第二王子グレアムと再会する。彼は《エグバート商会》を取り仕切り、人身売買で多額の儲けを出していた。

 かつて嫌がらせを受けた恨み、悪行への怒りを胸に、彼を斬殺するアステリア。

 一連の事件の黒幕を仕留め、屋敷から出ようとした彼女だったが、そこに序列第一位の冒険者パーティ《夜明けをもたらす光(デイブレイク・レイ)》のリーダー、《勇者》レインヴァールが争いを仲裁するために現れる。

 怒りに任せて彼を攻撃したアステリアは、戦いの中で彼の正体が前世における友人だった雨宮勇基(あめみや・ゆうき)であることに気づく。

 二人の対決はレインヴァールの仲間によって中断され、アステリアは釈然としない気持ちのまま王都に帰還した。

 その後、アステリアはヴィンセントの提案を思い出し、「より大きな悪を殲滅する」為には世界を動かす立場にならねばならないと考えて女王を目指す決意を固めるのであった。



▼第三章

 アステリアたちは、王侯貴族だけが入学出来る全寮制の名門学院「王立アカデミー」に関する依頼を受けた。

「アカデミーに《北ラトリア解放騎士団》と呼ばれるテログループのメンバーが潜伏しているかも知れない」という情報があり、その真偽を確かめると共に事実であれば対処して欲しいのだと言う。

 調査の為、アステリアとリーズは講師として学院に潜入し、ウォルフガング、ライル、《ヴェンデッタ》に正式加入したネルは学院の外で動くこととなる。


 学院に赴いたアステリアたちは、以前に「レヴィアス公領」という領地に赴いた際に出会った少女、ルアと再会する。

 どうやらルアは他の生徒からいじめを受けており、教師もそれを止めさせないどころか自ら進んで彼女を冷遇しているようであった。

 ルアのルームメイトであるフレイナだけは彼女を案じているようだが、それでもかつては犬猿の仲であったため手を差し伸べられないと言う。

 《術式》の授業でルアの力を見抜いていたアステリアは彼女に自信を付けさせるため、講義の時間を使って戦闘実習を行う。

 しかし戦いの中でふとルアのコンプレックスである猫耳が露わになると、彼女は自信を付けるどころか泣き出してしまった。

 ルアは実のところレヴィアス公領の主の娘、すなわち次期レヴィアス公爵であった。だが産みの母が父の愛人である上、その母もルア自身も人間族より劣った存在として見られている獣人であるが故に見下されてきたのであった。

 ルアの境遇に自分自身を重ねたアステリアは、本来の目的である《北ラトリア解放騎士団》の調査と並行していじめについても調べ始めた。

 やがて、いじめの主犯格が「歴史研究会」と呼ばれる部活動に所属していることを突き止める。

 その部活動の顧問はオーラフという教師であり、部員たちを過激な人間族至上主義と「王都占領前の強く豊かだったラトリア王国を取り戻そう」という復古主義に染めたようであった。


「オーラフこそが例のテログループのメンバーかも知れない」と考え、接触を試みようとしたアステリアだったが一歩遅く、オーラフと学院外に潜伏していた《北ラトリア解放騎士団》メンバーによるテロ計画が開始されてしまう。

 彼らは学院を占拠し、「レヴィアス公爵およびルアの処刑」と「《北ラトリア解放騎士団》をラトリア王国の正式な組織として認めること」を要求した。

「人間族の為の学び舎に紛れた獣人」と認識されているルアだけでなく、純粋な人間族である父の処刑も求めたのは、かつてレヴィアス公領が《魔王軍》の侵略を受けた時、彼は争いを避ける為に魔族らとの共存を選択した為である。これは多くの貴族や愛国者、人間族至上主義者にとって「惰弱な裏切り行為」に過ぎなかった。

 テロ計画を止める為、ウォルフガング達は動き始めたテロリスト達を撃滅する。

 一方アカデミーに居るアステリアたちは、自らの素性を明かしたオーラフとの戦闘で追い詰められていた。

 そんな中、ルアが時間減速の《権限》――《熟考の誓い》を覚醒させたことで状況を打開。オーラフを無力化することに成功する。

 戦いが終わった後、アステリアはルアを《ヴェンデッタ》に誘うが、彼女は「苦しくても敷かれた道の上を進む」というアステリアとは真逆な選択をするのであった。



▼第四章

 ネルの呪血病が悪化し、重い空気に包まれる《ヴェンデッタ》。

 そんな時、《魔王軍》および彼らと密接な協力関係にある敵国「ルミナス帝国」の軍隊がラトリア北部の平原に展開しているという話を耳にする。

 ラトリア勢力はこの挑発行為を受けて自分たちも軍を展開することに決め、兵士の募集を始めた。

 アステリアは《ヴェンデッタ》の地位を上げるため、そして女王を目指す者として世の動きを見極めるため、これに応じることを決意。

 リーズとライルはネルが心配で十分に戦える状態ではなかったため、彼女たちに気を使ってウォルフガングと二人で参戦することになった。

 ラトリア北部に向かったアステリアたちであったが、レヴィアス公爵を中心とする穏健派による停戦交渉が行われていたため、しばらくは両軍の睨み合いが続いた。

 しかし、「何者か」によって公爵らが殺害されてしまう。

 ラトリア王国はこれを「《魔王軍》の宣戦布告」と判断し、進軍を開始する。

 序列入り冒険者パーティが中心となって破竹の勢いで前進するが、そこに敵将エメラインが立ち塞がる。

 アステリアはレインヴァールと連携してこれを撃破し、北部平原の戦いを終結させた。


 

▼第五章

 王都に帰ったアステリアたちはリーズやライルと再会する。

 二人はネルを救うために一縷の望みをかけて、「二度目の人生を与える力を持つ」と言われる伝説のエルフ、トロイメライが滞在しているとされる「聖団領アレセイア」に向かっていた。

 しかし、そこで《崩壊の空》と呼ばれる「未知の化け物が空から出現する異常現象」に巻き込まれ、トロイメライを探すどころではなくなってしまう。

 最終的にはトロイメライと遭遇したものの、誰もが彼女に期待した「人を蘇らせる力」などは存在しなかった。「二度目の人生を与える」という伝説が意味するものは「再生」ではなく「転生」だったのである。

 リーズたちは悲しみながらもこの結末を受け入れ、来世での再会を誓い、呪血病で苦しむネルの命を絶った。



▼第六章

 アステリアたちはとある依頼のため、東方諸国の中心的国家「エストハイン王国」に招かれる。

 依頼主は女王レン。現在、東方諸国では議員が立て続けに失踪する事件が発生しており、その調査と対処を頼みたいとのことだった。

 東方諸国は世界最大級の商会である《ドーンライト商会》が特に権勢を振るっている地域であり、失踪している議員は商会反対派ばかりであることから、犯行は彼らの仕業である可能性が高いと言う。

 単なる政治的抗争の色が強いため依頼を受けるべきか迷うアステリアであったが、レンが「《ドーンライト商会》の設立者は《魔王軍》を生み出した巨悪である魔王ダスクであり、現在も《魔王軍》と通じているかも知れない」という話を持ち出したことで受諾を決断する。


 アステリアたちは同じ依頼を受けた《輝ける黄金(ゴールドライツ)》と共に街での調査を開始した。

 その途中で、何らかの洗脳を施されていたと思しき一般市民に襲われる。

 更には《輝ける黄金(ゴールドライツ)》の長であるフェルディナンドまでもが異常をきたし、突然、仲間に斬りかかった。

 これまでのことから「敵は男性を洗脳する能力を持っている」と推察したアステリアは、状況が行き詰まる前に黒幕に辿り着くべく、リスクを承知で《ドーンライト商会》の開催する社交パーティに潜入することにした。

 彼女が招待客の代理を装って単身で会場に向かうと、そこに商会の幹部であるリゼリットという女がやってくる。

 やがてリゼリットと二人きりになったアステリアは刃を突きつけて尋問しようとするものの、彼女は正体を明かしてアステリアを殺そうとする。

 リゼリットの正体は洗脳能力を持つ淫魔族の《魔王軍》幹部リゼッタであり、彼女が反対派の議員を始末していたのであった。

 アステリアはリーズと合流したが、物量だけでなく個としての強さも併せ持つリゼッタを前に苦戦する。

 そこに追い打ちを掛けるように洗脳されたフェルディナンドが現れる。

 だが実際のところ彼は洗脳を克服しており、リゼッタの隙を突く為に「命令に従っている」と思わせていた。

 フェルディナンドの策略に嵌まり、傷を負うリゼッタ。そこにアステリアが追撃し、彼女を無力化することに成功する。


 こうして戦いは終わったかのように思われたその時、ダスクと《魔王軍》の幹部の一人であるグリムグレイが、その場に開いた転移ゲートを通って現れる。

 ダスクはアステリアと二人っきりで話す場を設け、彼女が転生者であると勘付いていることを打ち明けた。

 それを受けてアステリアもまた、ダスクが転生者――かつて自分やユウキの知人であった「時崎黎司(ときさき・れいじ)」であることを悟る。

 不幸の原因を作ったことを謝罪しつつも自らの正当性自体は疑わないダスクに激怒したアステリアは、彼に剣を向ける。

 そこにウォルフガングも加勢したが、圧倒的な強さを持つダスクを追い詰めることは出来ず、リゼッタともども取り逃がしてしまう。

 納得いかないながらも事件の結末を報告するアステリアに対し、レンは提案をする――「もしアステリア第三王女が今も生きているならば支援してやろう」、と。



▼第七章

 北部平原での戦いに勝ったラトリア王国はその勢いを活かし、より大きな軍勢を編成して本格的な攻勢に出ることにした。

 そこに加わることを決めたアステリアたちは来る決戦に備え、束の間の平穏な時を過ごしていた。

 そんな中、アステリアはリーズが呪血病を発症していることに気づく。

 実は人さらい事件の時点で既に発症していたのだが、心配されるのが嫌でずっと隠していたのであった。

 親友の人生最後の記憶が戦いになる可能性が高いことを気に病むアステリア。しかし従者として、仲間として意地でも同行することを望むリーズの想いを汲み、せめて彼女に勝利を贈ろうと意気込むのであった。



▼第八章

 ついに《魔王軍》とそれに対抗すべく編成された連合軍の決戦が始まった。

 冒険者や傭兵、民兵、各国の王侯貴族やそれに仕える騎士、兵士、聖団系勢力が集い、北方のルミナス帝国を目指して進軍する。


 連合軍に立ちはだかる最初の障害は、何かに追い立てられたかのように迫ってくる無数の魔物であった。

 アステリアたちを含む冒険者、傭兵、民兵で構成される前衛部隊が中心となって戦い、幾らかの犠牲を出しながらもそれらを退けることに成功。

 しかし、この初戦で早くも怖気づいた一部の傭兵が連合軍から離脱し、ルミナス帝国圏の村に対する略奪を行おうとする。

 そこにラトリア王国第二王女レティシエルが現れて《権限》と思しき力で怒り狂っていた彼らを宥め、事態を収拾した。


 それからしばらく進軍し、「空洞域」と呼ばれる地域の手前で連合軍は二手に分かれることとなる。

 空洞域は非常に道幅が狭い上に強力な魔物であるワイバーンが生息しているため、大軍勢で突破することは困難であった。

 アステリアたち前衛部隊はこの危険地帯を渡り切った後、遠回りをする連合軍本隊の援護に駆けつけねばならない。

 《ヴェンデッタ》が先陣を切って道を進んでいき、何とか空洞域の出口が見えてきたが、そこには《魔王軍》の幹部であるバルディッシュとその部下が待ち受けていた。

 圧倒的な強さを見せるバルディッシュ。先の魔物の群れはこの男に怯えて南に逃げていたのであった。

 アステリアは、彼と因縁があり「個人」としては世界最強と目されている序列第二位の冒険者アレスにその相手を任せ、部下を倒して本隊の援護に向かった。

 アステリアたちが本隊と合流すると、ちょうど《魔王軍》幹部グリムグレイと交戦している最中であった。

 グリムグレイもまた規格外の強者であったが、アステリアは《熟考の誓い》という切り札を隠し持っているルアに協力を要請し、更にはレインヴァールなどの手も借りて一斉攻撃を行い、グリムグレイを討伐する。


 合流した連合軍はルミナス帝国の手前まで辿り着いた後、再び部隊を分ける。一方は正面に展開している帝国軍の殲滅を行い、もう一方は帝国東の「ウィンスレット侯爵領」を制圧する。

 後者に同行することに決めたアステリアは、仲間達に野望を打ち明ける。

 彼女は連合軍に先んじて独自に魔王ダスクを討ち倒し、「戦争を終結させた英雄」となることで王家に復帰しようとしていた。

「王女アステリアの復活」を望んでいた《ヴェンデッタ》の仲間達は、この無謀とも言える計画を受け入れる。

 アステリアたちを含む分隊がウィンスレット侯爵領に辿り着くと、「連合軍の男たちが突然、仲間を攻撃し始める」という異常事態が起こる。

 こちらに同行しているフェルディナンドは以前の経験からこれがリゼッタによるものだと気づき、アステリアたちに伝えた。

 アステリアはリゼッタの洗脳を受けない「死人の部隊」《黄泉衆(よもつしゅう)》を操る女王レンに協力を求める。

 また、レティシエルが先に見せたものと同じ力を使い、洗脳を洗脳で上書きするような形で人々に正気を取り戻させていった。

 その後、《黄泉衆》、レティシエルの護衛を行っている序列入りパーティ《シュトラーフェ・ケルン》、フェルディナンドと彼の傍に残った唯一の仲間である少女エミルがリゼッタと交戦する。

 個人戦闘力も高いとはいえ本領は洗脳能力であるリゼッタ。それを完全に対策されたことであえなく敗北してしまい、今度こそ命を落とした。


 リゼッタの死によってウィンスレット侯爵領の制圧も時間の問題となったところで、アステリアはリーズ、ライル、ウォルフガング、事前に助力を頼んでいたフレイナと共にルミナスの帝都に赴く。

 そこで彼女たちを待ち構えていたのは、ルミナス帝国皇帝アウグストとその親衛隊、そして《術式》という技術を生み出し歴史に名を残しつつも行方知れずとなっていた女性、アルケーであった。

 世界最高の《術式》使いを前に苦戦するアステリアたち。そんな時リーズが突破口を開き、アステリア一人を魔王ダスクが居ると思しき帝城に送り出す。

 アステリアは城の最奥でダスクと再会し、そして最終決戦が始まった。

 聖魔剣の能力と《権限》、《術式》をフル活用して必死に立ち向かう彼女であったが、それでも並外れた強さを持つ魔王を抑えられない。

 彼もまた転生者、アステリアやレインヴァールと同じく《権限》――《絆の誓い》を持っており、それが自身や幹部達の戦闘能力を大幅に引き上げていたのである。

 加えて凄まじい能力を宿している魔剣も解放し、アステリアは絶体絶命の状況となる。

 そんな時、レインヴァールが二人の対決に介入した。

 彼はダスクの善性を信じて説得を試みるが拒絶され、やむを得ずアステリアと共に戦うことになった。

 二人は巧みに連携し、レインヴァールの「一度見た技が当たらなくなる《権限》」《不屈の誓い》の恩恵もあってついにダスクを追い詰めることに成功する。

 だが、彼は戦いの中でダスクの正体が前世で尊敬していた兄貴分であるレイジであることに気づいてしまう。

 レインヴァールの心に罪悪感を刻みたくないダスクは頑なに真実を明かさず、彼を冷たく突き放す。

 そして彼を気絶させ、アステリアに「自分を殺すこと」と「ルミナス帝国皇女チャペルを救うこと」を求めた。

 彼女は望み通りダスクの首を断ち、チャペルが匿われている奥の部屋へ向かう。

 そこにはチャペルだけでなく、敗北の末に転移してきたアルケーやアウグストも居た。

 アルケーは「自分たちには利用価値がある」と交渉を持ちかけ、アステリアは先に「何故か」チャペルを救う約束をしたというのもあり、この取引に乗ることを選ぶ。

 そしてダスクの首を持って人々の前に姿を現し、勝利宣言と共に自らが王女であることを明かした。

 その後、仲間たちのもとへ向かうと、そこには呪血病で余命幾ばくもないリーズが居た。

 アステリアは《ヴェンデッタ》を解散させ、この悲劇に満ちた異世界で得た、大切な親友に別れを告げる。

 こうして「冒険者リアと《ヴェンデッタ》の戦い」は終わりを迎え、物語は次の段階に移行するのであった――。

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