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家出令嬢は自由を望む~転移先で謳歌します~  作者: もちる
第二章:いざ、タンザナイト学術院へ
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39.内からの檻


「無事でいてくれるのだぞヴレイメール嬢」


===



馬が森を駆け抜ける。



道の整備はしてあるが手綱の操作を失敗すれば馬の駆ける速さを考えると落馬の可能性はある。

だが今は気にしていられない。


(メル様無事でいてくれ......)


嫌な汗がベルンの額を流れていく。


最初は一目惚れであった。

だが、ヴレイメールが気負わないようにと後ろ盾として提案した婚約。

そのはずだった。


次第にお互い心を通わせ一緒に過ごす時間が当たり前になりつつある。


操り人形の様な聖女ではなく、物事を自分のモノにできる女性であり安心して話せる相手になった。


メル様は常日頃から魔力暴走を恐れていた。


グランツ様はメル様が安心して過ごせるようにと、魔術を使うの制限していた。

事の重大さを理解している本人が自分から腕輪を外すとは考えにくい。



(早く、早く......メル様の下へ!)







雫が水面へ落ちると音を立て波紋を広げてゆく。


真っ暗な空間に浮遊する体。



(久しぶりの感覚だわ......)



数年溜め込んでいた魔力だ、暴走で枯渇した体がどうなっているかは分からない。



(これでは戻っても、私の居場所はないわね)



何度も起こしてきた魔力の暴走。



幼い頃の暴走も、歳を重ねれば重ねるだけ被害が拡大していた



(私の腕輪、どこにいってしまったの...)



体の一部と化している腕輪は盗られてしまった。



(あれは、父様が唯一私にくださった腕輪だ)



それが魔力封印の腕輪であっても。


私は嬉しかったのだ。


国からしたら滅びを招きかねない力を抑える為だっただろう。


それが父子との血は繋がらずとも、無関心であろうとも。


唯一無二の贈り物だった。


失くした悲しみと、大切な人達が守ってくれていた事への仇返し。



(誰かの命を奪ってはいないだろうか)



自分の周囲は生命を失ったはずだ。


私に着いて来てくれた三人が今後無事に過ごせるかが心配だ。


願いが届くことを祈りながら、意識が沈んでいった。




ベルンはその光景に息を呑む。


周辺は焼け野原と化していた。


先程見た強い光がこのような惨状を引き起こしたのだろうか。

背の高い木々は消し飛び、草花は消し炭となり黒くなっている。


浄化された状態ではあるが、その惨状は異質だ。


その黒く焦げた場所の中心源に鎮座た人がひとり入れそうなほどの物体がある。


警戒しながら近づき触れてみると表面の黒い部分が炭のように崩れ緑色の表面が現れた。

どうやら植物のツタが幾重にも重なった物の様子。


魔力が尽きる前にメル様が無意識に自分の防御壁としたのかもいれない。


「お嬢様は......!」

「エクラタン、憶測ですがこのツタに覆われた中に居るのではと」

「ふむ......防御魔法を同時に発動したのか」

「周辺を探してみましたが残念ながらお嬢様の腕輪はありません」

「やはり、持ち去られているか...」


エクラタンは縋るように様子を窺い、ロン先生は冷静に分析する。

アリスターと若手騎士は周辺の捜索をしてくれていたが腕輪や護身用のアクセサリーは見つからなかった。


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