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通りすがりの陰陽師1  作者: チャーハン・神代
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五十一、地獄の修行

 その後、仙太郎さんに会った翌日から、地獄のような修業が始まった。

 本来の日常生活をほぼ全て形代に任せ、3人で毎日ヒィヒィ言いながら、陰陽神社で修業に勤しんでいた。元々ある程度、陰陽道の基礎ができている恭士さんはともかく、陰陽師となって日の浅い私と茉恋さんは疲れから、たまに元の生活に戻ると死んだように眠る毎日を送っていた。


「休憩ー!」


「「「だぁっ…。」」」


 やっとお昼休憩になった。肩で息をして、汗だくになって地面にへたりこむ。


「はぁっ…きっつ…。」


「部活でも…やらないですよ。こんなに…はぁっ。」


「けど…大分楯本、動けるようになって来てんとちゃうか?」


「そう…ですね。段々感覚は戻ってきた気がします。


 私はそう言って、恭士さんに苦笑いを返す。

 修業を始めて暫く経ち、それぞれの問題点、得意分野が分かりつつあった。

 私の問題点は、体力の低下。茉恋さんの能力により、膝や首の怪我は全回復していた。しかし、彼女に出会うまでは、一般人よろしく手術をしてリハビリという生活を長く続けていたため、筋力、体力が相当落ちていた。

 しかし、戦闘的な体の使い方に関しては、3人のうちの誰よりも長けている自信がある。それは、私が所属している部活動が空手部であったことが、大きな一因と言えるだろう。

 茉恋さんは、陰陽術のセンスが少々乏しい様だった。コツを掴めば違うのかもしれないが、術の発動成功率が低迷していた。

 しかし、その代わりと言ってはなんだが、体力があり、体幹がとても安定していた。表向きの職業が騎手であることが、その理由だろう。

 そして恭士さん。彼は、陰陽道の基礎はほぼ完璧であり、そこそこの体力もあった。そのため、私たち2人より一足先に、式神との対話も試みていた。

 が、いつまで経っても、式神とのお互いの理解はできていないようだった。誰よりも先に、式神との理解に近い場所まで辿りついたというのに、だ。

 ふとした瞬間に、対話のための瞑想中である恭士さんの様子を見ると、体力トレーニング時以上に汗だくになっており、苦しげな表情を浮かべたかと思うと、「ぶはっ!」と言って現実世界に戻ってきてしまうのが、お決まりの光景になっている。

 1度、式神の精神世界でどんなことをしているのか尋ねてみたことがあったけど、あまり聞かれたくない、という雰囲気で適当にはぐらかされてしまった。

 恭士さんが隠している何かと、関係があるのだろうか。そう考えていた。

 そしてあっと言う間に、クリスマス・イブ前日はやってきた。

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