四十一、初訪問
「へぇ。ここが陰陽神社か。」
私と恭士さんは、茉恋さんを連れて陰陽神社に来ていた。茉恋さんに式神のことや大災厄のことを説明してから、初めての陰陽神社訪問である。
茉恋さんを見てみると、多少物珍しそうにはしているが意外にも落ち着いている様だった。
「あんまり驚かないんですね。科学的にあり得ないことが次々起こってるのに。」
「あはは。まぁ、自分が取り憑かれたりもしてたからね。ちょっとやそっとの事じゃ驚かなくなってるのかも。」
「成る程…。」
茉恋さんは、大災厄の話を聞いた際、快く仲間探しを引き受けてくれた。理由を聞いても、はっきり答えてはくれなかったけど、なんとなくその答え方から、贖罪の気持ちがあるように思えた。
「な…なんや…これ…。」
茉恋さんと外で話していると、拝殿の中から恭士さんの驚く声が聞こえてきた。不思議に思い、拝殿の中へひょこっと顔を出した。
「どうしたんですか?大きな声だして。」
「これ見てみぃ。」
恭士さんはそう言って、ちゃぶ台の上にある、十二支が動き周る地図を指差した。前回見た時と同じく、漢字たちは忙しなく地図上を飛び回っている。「卯」と「未」そして「午」は、各々の主人の元に戻った地で、静止している。
しかし、大人しく留まっている漢字の中に、身に覚えの無い文字が混ざっている。四国の上で蒼く光っているその文字は、「戌」。
「えっと…どういうことですか?」