37/104
三十七、提案
「その後の記憶は曖昧だけど…何かに操られていたようなんだ。それで、良く分からないけど、暗い感情が流れ込んで来て…。あたしは町の人たちに…気づいてはいたたけど…どうしていいか分からなくて…。」
茉恋さんは、そう言って静かに泣き出してしまった。
話を聞いたところ、昼間は自分の意思で動けていたが、夜になると自分に取り憑いた何かが、この町で悪さをしていた、ということらしい。記憶が朧気ではあるが、概ね悪霊がしていたことは、把握しているとのことだ。
「…茉恋さん。」
私が声をかけると、茉恋さんは顔を上げた。
「この町で起こったこと。それはあなただけの責任じゃありません。だけど、あなたが…操られていた被害者の1人だとしても、自分を許すことができないと言うなら…、悪霊を倒す協力を…して頂けませんか?」