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通りすがりの陰陽師1  作者: チャーハン・神代
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二十一、勾玉

「でもまぁ、形代が自分の代わりしてくれてるから、どれだけ夜遅くなっても困る訳じゃないですけどね。」


「せやろ?」


「開きなおるな。」


 私はこの場に来るまでの期間、陰陽神社にあった書物を借りて術の特訓をしていた。その際始めに覚えたものが、形代。陰陽師が使役する式神の一つであり、和紙や藁で人の形を作ったものに霊力を込めたものだ。

 今後陰陽師絡みで外出する際、自分の本来の生活を送ってくれる代わりが必要だと思い、習得した。因みに、記憶も本人と共有される。

 恭士さんと小雪が千晶の家にやってきた際、恭士が使用したものがこれらしい。


「お前、覚えんの早いよなぁ。急急如律令も、少しは使えるようになってんねやろ?」


 恭士さんにそう言われたが、私は首を振った。


「まだまだですよ。5回に1回は失敗してます。それに小雪にも言われましたけど、実戦になれば、動きながら術を発動させなきゃならない。まだ使えるとは言えません。」


 急急如律令とは、悪霊や妖怪を浄化する為の呪文の一つである。私が陰陽師化した際、恭士さんと唱えたものがこれにあたる。使いこなせるようになると、一部の詠唱のみで、術を発動させることができる。恭士さんによると、普通自力で急急如律令を発動できるようになるには、3ヶ月〜5ヶ月はかかるらしい。出会った際、術が発動したのは、恭士さんと重唱を行ったためだ。

 因みに小雪はどこにいるかというと、私の手首にくっついている。正し、白い水晶の勾玉の中にいるのだが。小雪曰く、初めて陰陽師化した時に現れた水晶がこの勾玉であり、パートナーとなる式神は出入りが可能らしい。

 京都の廃神社では、陰陽師化後すぐ気絶してしまったため、陰陽神社を訪れるまで、恭士さんがこれを預かっていた。私は陰陽神社で、恭士さんの式神である羊の姿が見えないことを不思議に思った。それを尋ねた際、勾玉の中にいるという仕組みを説明されて、私の手元に勾玉が届いた訳だ。ちなみに、術者によって水晶の色は違うらしい。

 恭士さんは自分の黒い勾玉を紐を通して、ペンダントにしていた。私はブレスレットにして、勾玉を持ち歩くことにした。始めは、せっかくだからお洒落にしたいと勾玉の他にビーズを紐に通してみたんだけど…。おばあちゃんのもつ数珠のようになってしまったので、ミサンガに勾玉だけ通すデザインに変えたという小話があったりする。

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